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富士 シングル•ブレンデッド

 前回の記事では富士御殿場蒸留所のことと、2020年に発売が開始されたシングルグレーンウィスキーの富士を紹介しました。サントリーやニッカ以外にも、大手メーカーのキリンもウィスキーの蒸留所を持ち、質の高いウィスキーを世に送り出しています。これまで試してきたグレーンウィスキーとは違う味わいです。

 前回の記事でも触れましたが、富士御殿場蒸留所から新作のウィスキーが発売され試してみることにしました。それが今回紹介します、シングルブレンテッドウィスキー富士です。

①シングルブレンテッドウィスキー

 国産のブレンテッドウィスキーはサントリーの響やニッカのザ・ニッカ等が有名です。響は山崎蒸溜所と白州蒸溜所のモルト原酒と知多蒸留所のグレーンウィスキーをブレンドされています。ザ・ニッカは余市蒸溜所のモルト原酒と、宮城峡蒸溜所で生産されているモルト原酒とグレーン原酒がブレンドされています。二ヶ所以上の原酒を用いて一つのウィスキーが生産されます。スコッチを含め、ブレンテッドウィスキーの大半がこのタイプです。

 一方のシングルブレンテッドウィスキーは、一ヶ所のみの蒸溜所で原酒を揃えてブレンドし、ラベリングし梱包されて流通されます。富士御殿場蒸留所は今回初めてこのタイプのウィスキーを世に送り出しました。白州や宮城峡でもモルト原酒とグレーン原酒の両方を生産していますが、私が知る限りでは両蒸留所から一般向けでシングルブレンテッドを発売していません。今回の富士が初めてシングルブレンテッドウィスキーを世に送りだしたと言えます。 

②ボトルの外観

 皆さんはお酒を含め飲み物を買う時は何を基準に買うかを決めていますか?

 味と香りを知っていれば選び易いですが、多くの場合は知らずに買うことが多いと思います。そういう時は容器のデザインが決め手になってきます。私もウイスキーを含め、お酒を買う時はボトルの外観でイイなと感じたものを手に取ることがよくあります。本で読みましたが、サントリーの創業者である鳥井信治郎氏は酒瓶に貼るラベルにもこだわっていたようで、創業当時の主力製品である赤玉ポートワインの瓶の口の錫箔のシールの付け方やラベル印刷時に色合いに気を配っていたそうです。

ラベル部分の拡大写真



 ラベルは和紙に富士山を白黒で描かれた背景に、漢字で「富士」、アルファベットで「FUJI」と書かれています。瓶の底は富士山を模したガラス細工が施されています。瓶の蓋を覆うフィルムはグレーのため、和紙の白と文字の黒と合わせてモノトーンとなっています。各社ともボトルデザインに力を入れているでしょうが、キリンも例外ではなく、日本で生産されたウィスキーなのを物語った外観です。 

③開戦後の香りとストレートでの味わい

 グレーのフィルムを剥がし、黒色のスクリューキャップを開けると、完熟メロンの甘い香りが漂ってきました。アルコール刺激はほとんどなく、この時点で美味しいと確信しました。グラスに注いで口に含んでみると、メロンの甘味にほんのりと樽由来の新しい木の香りとオレンジの香りが重なってきます。香り同様にアルコール刺激が柔らかいために、口当たりが滑らかです。余韻にバニラの甘味と若干のスモーク香を感じることができました。

④他の飲み方では

 ロックだと樽とメロンの風味がチョコレートに変わり、ミルクチョコ系のウェハースの如く、甘く香ばしい味わいとなりました。ハイボールではバニラと柑橘系の香りを感じられ、スッキリとした味わいになります。
 氷で冷やすことで、元々の濃厚な甘味が大人しくなります。それほどにバランスがとれていると言えます。個人的にはストレートでじっくりと味わうのが良いのではと思います。

⑤最後に

 キリン発売と言える本格的なブレンテッドウィスキーは完成度が高いです。価格は6,000円前後とやや高いですが、払う価値はあります。もし実店舗で売り切れて買えない際は、BARで一杯試してみることをお勧めします。

 ここ数年は大手メーカー以外にも、日本各地の蒸留所から生産されたベンチャーウィスキーが台頭しています。ですが、キリンも大手の資本力を活かして生産量を増やしていくことで、長い歴史を持つサントリーやニッカ、新参のベンチャーとは違う立ち位置でウィスキーを世に送り出し続けていくことを期待したいです。

 今回の記事は以上です。最後まで読んで下さり、ありがとうございました😊

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