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コンサル転職ケース対策①陸上競技の人口と競技人口を増やす施策は?

前提
・競技人口の定義は、最低数年に一度は陸上競技の大会に出ている人と定義し、市民マラソンなどは含めない。

競技人口の推定(フェルミ推定)

結論:32.5万人

基本的な考え方としては、人口×競技人口率ということになります。

ただし、社会人になって陸上競技に挑戦してみようと思う人は、ほとんどいないといっていいと思いますので、中学校、高校で陸上部だった人が続けているという仮説を念頭に考えたいと思います。

具体的には、人口を年代でセグメントし、各年代の陸上競技率を推定していく方法を取りたいと思います。

また、小学生以下で陸上競技会に参加する人はほとんどいないと思いますので、ここは考えないものとします。

中学生、高校生の陸上競技率

・人口:600万人(6学年×100万人)
・陸上競技率:4%
 → 24万人

陸上競技率の算出ロジックは以下の通り。
・運動部所属率を70%と置く(男子90%、女子50%)。
・運動部は20個あり、陸上部の加入率は全体平均と同じ5%と仮定する。
・以上より、70%×5% = 3.5% → 4%

陸上部加入率が全体の4%とすると、1クラス40人当たり、陸上部は1.6人、つまり2人いるかいないかとなり、感覚値ともおおむね合う。

18~22歳(主に大学生を想定)

・人口:600万人(4学年×150万人)
・競技人口率:0.5%
 → 3万人

※中高の陸上経験者の10%程度が継続すると考える。1学年3000人の大学だと、部員60人となり、おおむね感覚値とも合う。

22~82歳

・以下のように20年で半減していくと考える。
 -22~42歳(3000万人):0.1% → 3万人
 -42~62歳(3000万人):0.05% → 1.5万人
 -62~82歳(4000万人):0.025% → 1万人
 → 5.25万人

合計値

以上を合計すると、32.5万人になります。

競技人口を増やす施策(正攻法)

結論:
①中高生向けのSNSで陸上部の楽しさをPRするコンテンツを発信する。
②各校に体験入部生を集めるためのプラカードと、体験向けの練習メニューを配布する。

ボトルネックの特定

フェルミ推定の結果は以下の通り。
・12~18歳(600万人):4%、24万人
・18~22歳(600万人):0.5%、3万人
・22~42歳(3000万人):0.1%、3万人
・42~62歳(3000万人):0.05%、1.5万人
・62~82歳(4000万人):0.025%、1万人

12~18歳のセグメントに注力した施策を考えるのが良いと考えられる。
・陸上競技率が1.1倍になった時のインパクトが最も大きい
・ここの数値の強化は、中長期的には上の年代の競技率UPにもつながる。

以上のことから、以下の問いについて考える。
中高生を陸上部に所属させるためには?
= 中高生が陸上部に入らない理由は何か?

対象セグメントの分析

中高生、特に運動部を志望する生徒が運動部を選ぶ際の軸を意識して、スポーツを分類してみたいと思います。

ここでは、以下の2軸でスポーツを分類してみたいと思います。
・チームプレイ  or  個人プレイ (友達と楽しく練習できるか)
・テクニック or  体力/筋力  (キツくないか)

チームプレイ × テクニック:サッカー、野球、バスケ
チームプレイ × 体力、筋力:駅伝
個人プレイ × テクニック :テニス、バトミントン、剣道
個人プレイ × 体力、筋力 :陸上、水泳、柔道

このようにしてみると、チームプレイであり、テクニックが重視されるようなセグメントに人気スポーツが集まっているように見えます。

実際、チームスポーツのほうが、友人が増えて楽しく練習できますし、テクニック要素が強いほうが、肉体を追い込むような練習がなく、カッコいい印象を受けるように思えます。

となると、陸上部が選ばれない理由は、以下の2点にあるのではという仮説が立てられます。
個人プレイだから楽しくなさそうで
・体力/筋力勝負だからキツそうに見えるから

施策コンセプトの立案

この仮説が正しいとすると、これをひっくり返すことで、陸上部の加入人数が増えるのではと考えられるので、それぞれ検討します。

1,個人プレイだから楽しくなさそう
この点は、以下を強調することで払しょくできるのではと思います。
 ・リレーや駅伝などは団体競技である
 ・男女一緒に練習することが多く、青春間のある部活である点
 ・練習、特に種目ごとの練習は仲間と一緒に行う点

2,体力/筋力勝負だからキツそうに見える
この点に対しては、以下のメッセージを伝えることが考えられます。
 ・ハードルや走り幅跳びなどテクニック要素の強い競技も多いこと
 ・テクニック要素が弱い = 頑張りが数値となって現れる楽しさがあること

施策の立案

部活動加入までのプロセスを、購買行動のフレームワークである、AIDMA的に考えると以下のようになります。

①認知   :陸上という競技を知っている
②興味・関心:陸上に仮入部してみたいなと思う(仮入部前)
③欲求・記憶:仮入部で体験をして、正式加入したいなと思う(仮入部)
④行動   :正式加入する。

陸上競技は、認知は取れていると考えられるため、②、③の過程において、選ばれない理由を払しょくするコミュニケーションを取りつつ、プロセスを進めていくのが良いと考えられます。

②の仮入部前の生徒向けの施策
中高生向けのSNSでインフルエンサーを起用し、陸上競技の部活としての楽しさをPRする。

仮入部前の生徒向けにはオリエンテーションやポスターの掲示などがあると思いますが、学校によってオペレーションが違う中、統一的に施策を実行することは不可能と思われます。

そのため、陸上競技連盟などが主導でインフルエンサーなどとタイアップをして、SNSなどで陸上部の楽しさを伝えていき、サッカーや野球などと同じように、仲間と一緒に楽しくできる部活であり、ゴリゴリに肉体を追い込むような練習をする部活ではないということを広く伝えるのが良いと考えられます。

③の仮入部をした生徒向けの施策
陸上競技連盟が、勧誘用のプラカードと仮入部部員向けの練習メニューを各校に配布し、仮入部しやすく達成感のある体験をしてもらえる手伝いをする。

まず、②→③への移行には、物理的に陸上部の練習場所に来てもらうということが不可欠です。これには、下駄箱付近でどこ部活を体験しようか迷っている生徒や、陸上部に行ってみたいけど場所が分からないという生徒を誘導し、機会損失を防ぐことが重要です。それを各校で徹底してやってもらうためには、プラカードなどの配布が有効であると思われます。

また、体験を通して陸上部に関する誤解を払しょくできるように、練習を通して友人や先輩とのコミュニケーションが多く、テクニックを磨くことで記録が伸びることを体感できるような練習メニューがあると望ましく、そういったメニューを陸上競技連盟が作成し、配布するということは施策として考えられると思います。


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