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業界別 月次から緊急事態宣言解除後の行動パターンを仮説しみてた

コロナの感染者数は未だ収まらず、油断できない状態ですが、5月25日に緊急事態宣言が解除されて以来、徐々に人が街に戻ってきていることを実感している方も多いのでしょうか。そこで、業種別の月次報告を元に、6月の非人々の行動を仮説してみます。月次は既存店をベースにしており、業種は任意のジャンル分けをしました。

通常に戻りつつあるコンビニ

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4月、5月でも大きく落とすことはありませんでしたが、6月は概ね前年度水準に戻ってきました。元々、コンビニは場所問わず点在していますし、営業休業店舗も少なかったと思うので、純粋に外出動向と同じ傾向になったかと思います。

好調キープのドラッグストア

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緊急事態宣言下でも、ライフライン的な役割を果たしたドラッグストアは4月、5月も前年比を上回り、6月もほとんど落としていません。ドラッグストアは出店している値域にばらつきがある(例えば、ある特定の値域に展開している)ので、売上もそれに左右されていると推測されます。マツモトキヨシがこの中だとかなり影響を受けているのは都市部に出店しているので、インバウンド需要分が無くなったことが大きいように思われます。

コロナ前に戻りつつある寿司チェーン

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6月でかなり回復しました。寿司がそもそも人気が高い=あえて食べに行く習慣が強いので、需要がまっ先に回復するのかもしれません。今はまだ外出に対して抵抗感がある人が多そうですが、外出する相手としては、家族が一番抵抗感が無いはずなので、家族層を取り込んでいる回転寿司は強いのかと思いました。お持ち帰りを始めている寿司チェーンも多いので、その辺りも売上を支える理由かもしれません。

完全回復にはいたらないファミレス

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70%程度の回復でまだ、本調子では無さそうです。寿司チェーンとの相違で考えてみたのですが、「商品のパワー」の差に加えて、「繁華街での営業店舗割合」、「深夜時間での売上割合」が多いのも一個の理由としてはありそうだと推測しています。今、新宿や渋谷などの大きな繁華街に夜行くと、コロナ前に比べると、かなり人の数が減少している実感があり、繁華街と夜というキーワードがかなりネガティブな印象をありそうな気がしております。

5月に比べると少しペースを落としたハンバーガーチェーン

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緊急事態宣言下でも強かったハンバーガーチェーン。客数は落ちても、客単価でカバーしたようです。6月は5月に比べると少しペースダウンしているようにも見えますが今、マクドナルドなどに行くと、Uber Eatsの配達の人がひっきりなしに出入りしているので、ハンバーガーのデリバリーの習慣が根付いた感があります。郊外店ではドライブスルーも活況だったようなので、この辺りも好調の理由かと思います。

前年比90%キープし続ける牛丼チェーン

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ハンバーガーチェーンに比べると弱いですが、前年比90%は維持し続けた牛丼チェーン。元々、持ち帰りの習慣があったのと、吉野家では持ち帰り割引キャンペーンを実施していたので、大きくマイナスにならなかったのかもしれません。一人客が多いのも大きいかもしれません。カウンター席には隣席との間にアクリル版を置く対策をしている店舗もありました。

客足が戻らない居酒屋

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4月、5月は店舗を休業していたところも多く壊滅的な月次でした。6月も回復にはほど遠いです。最近、新宿でとある居酒屋チェーンに行きましたが、かつては毎日ほぼ満席だった店舗が、2割程度でしかお客さんが入っておらず、この数字には納得感はあります。

前年比80%弱まで回復した百貨店

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緊急事態宣言下は大手百貨店は休業していました。6月になって客足は戻ってきたようですが、前年比80%程度。新宿など繁華街の店舗ほど客足は遠のいている傾向です。新宿高島屋のレストラン街に昼時に昨日行きましたが、かつてはどのお店も列をなしていたのに、その時、並んでいるお店は0でした。

前年比90%まで回復したカジュアル衣料

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しまむらはかなり高いですが、前年比90%程度は戻った印象です。今年は天候の関係で夏商品の立ち上がりが良かったということで、そちらも追い風になっていそうですが、思ったより戻っているというのが正直な感想です。

コロナ前の不調から未だ抜け出せない紳士服

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オフィスのカジュアル化でコロナ前から、かなり厳しい状態でしたが、コロナでさらに逆風となりそうです。今後、リモートワークが浸透していくと、スーツを着る機会が一層、減っていくので、今後どこまで戻せるのかは注目しています。

50%まで回復した輸送機関

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小田急や京王も入れてかったのですが、この記事を書いている段階では、まだ6月の月次が出ていなかったのでJRだけです。JRは新幹線の売上にかなり引っ張られるので少し偏りがありますが、まだまだ街に人が戻っていない表れかもしれません。ただ、定期収入は前年比水準に戻っていたので、通勤、通学をする習慣は基本的には変わっていなそうで、リモートワークに完全に移行した企業や人はまだ少ないのかなとも推測しました。

総括

さて、ここまで見てきた上で外出動向について仮説を立ててみたいと思います。好調だったハンバーガーチェーンですら、客数は減少していたので、内食の習慣がかなり強く進んだことは間違い無さそうです。都心部や繁華街に出店している店舗や業態の戻りが鈍いことを考えると、いかに訪日外国人によって支えられてきた分が大きかったと実感できます。

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この点は、百貨店の店舗別の売上を見るとはっきりとその傾向が見て取れます。もう一つ、大きいのは外で過ごす時間帯です。夜の街に出ると、分かりますが、コロナ前に比べて人が減ってしまったことを昼時以上に実感できます。通勤で街に出てきた人たちも、今は真っ直ぐ帰路についてるのでしょう。この点は、居酒屋チェーンの月次がかなり如実に表していると思います。人の出足という意味では、80〜90%程度は回復したように思えますが、外にいる「滞在時間の総量」はかなり減少してしまったのではないかと思ってきます。より少ない外出時間の中で、利用する店舗や業態に自ずと優先順位をつけるので、戻り方にもグラデーションがついてるのだと推測できます。

7月にどのような売上動向になっているかは気になるので、来月また書いてみようと思います。