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その人の大事な物が、私の苦手な物だった。

先日、1か月半お世話になったホームステイ先から新しいホームステイ先へ引っ越しをしました。都会でのモダンで刺激的な生活から一変、郊外のゆったりとした牧歌的な暮らしが始まりました。街のいろんな表情が見れてラッキーです。

一番のカルチャーショックと言ってもいいでしょう。お世話になったホストファミリーは、マリファナを好む人たちでした。ある朝ホストマザーが、二日酔いの様子でリビングにやってきて「昨日新しいマリファナを試したら、合わなくて頭痛いんだよね~」と言っていたシーンは忘れられません。カナダでは2018年から嗜好用としての大麻が合法になったそうです。幼いころから「ダメ、ゼッタイ」と学んできた身には、これはちょっとしんどいことでした(勧められたことはなかったのですが)。逆にホストファミリーにとっても、一緒に住む人間が自分にとって大切にしているものを文字通り"煙たがっている"、という状況はストレスだったに違いありません。
学校や仕事の人だったら、静かに距離を置いていたところですが、ホームステイとなるとそうもいきません。

折り合いの悪い日々が続きましたが、それでも2人は優しくて、一服するときに最大限の配慮をしてくれたり、晩御飯は必ず一緒に食べてくれたり、その後NETFLIXやマリカーで遊んでくれたり、毎日「学校どうだった?」と聞いてくれました。
私も私で2人の優しさに応えたく、そしてせっかくなら仲良くなりたいなあという気持ちもあって、英語がうまくしゃべれなくてもなるべく傍にいる、とか、ご飯の連絡を忘れない、とか、スモークタイムにはさりげなく部屋に戻る、とか工夫して暮らしました。

するといつの間にか、一緒に過ごす時間が居心地の良いものに変わっていきました。一緒にいるときに笑う回数が、圧倒的に増えた。1か月もいればそりゃあ、とも思いますが、もし私かホストファミリーのどちらか一方が距離を縮めることを諦めていたら、ここまでにならなかったと思います。

「自分と合わなそうな人とは距離を置く」。それまで私が信じていた処世術のひとつです。ですが、「しぶとく向き合って友情をつくる」という方法もあるのだなと学びました。友達づくりに手間暇がかかるということを、久しぶりに痛感しています。

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