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The Power of Cutting (1)映像編集の歴史

bird and insectのDirector/Editorの主馬です。
「映像の時代きてる」「やっぱり映像だよね」
ビジネスマンから近所のおばさん 誰もが口にしている 映像の力
もう10年ほど映像を作ってきたが未だにその力が分からない。
ちなみに映像は動くとかそんな当たり前のことを言ってるんじゃない
絵でもなくて、写真でもなく、文章でもないし、音楽でもない
映像でやらなければいけない理由はなんなんだって話し
って考えていくと映像の力は「編集」にあるよね?

映像の幕開け

キネトスコープ(1889)
トーマス・エジソンによって発明された映画を上映する装置
現在のようにスクリーンで見ることはできず覗き込んでみる

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Lumiere, Workers Leaving the Lumiere Factory (1895)
フランスのリュミエール兄弟によって発明されたシネマトグラフにより
撮影され比較的完全な形で上映された第1回目の作品
まだ編集というものは存在しないフィックスで撮られたもの

大半の人が言ってる映像の力ってこの辺なのかなーって思う。
とりあえず動いてるから写真よりも情報量が多くて伝わりやすいだけ。
当時リュミエール自身も映画に未来はないと思っていたそう。

ちなみに日本には1897年(明治30年)にはシネマトグラフが紹介され
そのうち活動写真と呼ばれるようになり普及していったらしい。

最初の編集

Life of an American Fireman (1902) Edwin S. Porter
消防士の日常を記録撮影と演出をミックスさせてドキュメントタッチで描きクロスカッティングの手法を用いた作品。映画の創世記に作られた作品だが、舞台演劇をカメラで記録するだけではなく映画的な手法「編集」を用いた記念すべき作品

初めて編集をするまでに5年以上もかかっていることに驚き
すぐに思いついていたのか、それともすごく画期的だったのか?
クロスカッティングという2つの関係ないシーンを交互に見せることでストーリーや緊迫感が生まれた それは映像の可能性を大きく変える技術だった
しかしまだ演劇とかでもできるような気もする。

編集技術の基礎の形成

Intolerance(1916) D. W. Griffith
4つの物語を並行して描くという構成や、クロスカッティング、大胆なクローズアップ、カットバック、超ロングショットの遠景、移動撮影などの画期的な撮影技術を駆使して映画独自の表現を行い、アメリカ映画史上の古典的名作として映画史に刻まれている。そんな本作は映画文法を作った作品として高い芸術的評価を受けているだけでなく、ソ連のモンタージュ理論を唱えた映画作家を始め、のちの映画界に多大な影響を与えた。

映像が生まれて20年ぐらいですかね?その知識の結晶のような作品が生まれたわけですが、この頃はフィルムを切ってつなぐという作業柄か女性のエディターが多かったという(ちなみにそれが逆転するきっかけの一つが音声という要素が入ってきた頃だったそう)、またエディターが脚光を浴びることはほとんどなかった。その理由の一つとして当時の編集技術はいかにスムースにつなぐかというシームレスな編集が良しとされていた、いわゆるアクションつなぎってやつ。なので編集を感じなければ感じないほど良いという感じでした。今自分はまだこのフェーズにいる感じがします。本当の意味で編集の力を感じてないのも、、そして革命が起こります。

編集の革命

Battleship Potemkin (1925)
エイゼンシュテインが唱える「アトラクションのモンタージュ」などといった独創的なモンタージュ理論を実践しており、世界各地で大きな反響を受けるとともに、後の映画人にも多大な影響を与えた。

ソ連ではこれまでアメリカで作られていたものと違い、リアルライフをテーマに表現が模索されていきました。そこで生まれたのがモンタージュ理論です。映画が誕生して20年ぐらい、ようやくカットとカットが繋がることで生まれる可能性を人が発見したのがこの頃なんですね。
この可能性についてはまた別のnoteでまとめます。

編集の多様化

Nouvelle Vague
1950年代末に始まったフランスにおける映画運動

1950年代以前の編集というのは結構ルールに縛られたものだったそうです。それは例えば2人が会話するシーンであればロングショットから入り、2ショット、そして肩越しのショットからの切り返しみたいに型式ばったものが多かったと言います。そんな中フランスでは元々映画評論家であった人たちが監督になり個々人の作家性を発揮させる作品・編集が生まれていきました。今まででは考えられなかったジャンプカットや結構乱暴な繋ぎなど斬新な編集方法が模索されていきました。

そのニューウェーブがハリウッドにも広がり、いろいろな可能性が模索され続け、現在の映像へとつながっていくのである。

さいごに

映像も完成されたメディアだと言われていますが、youtubeとかのSNSの登場で少し編集にも変化が出てきてはいます。今後どんなふうに変化していくのでしょうか?身近になったからこそ改めて考えたい映像編集。最近忘れかけていた映像の無限の可能性をもう一度考えてみたいと思った。

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