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The Power of Cutting(3)編集は連想ゲーム

bird and insectのDirector/Editorの主馬です。
前回まで編集の歴史であったり、カット点をどう見つけるかみたいなことを
まとめてきましたがそれらをどう繋げていけば良いのかという考え方について今回はまとめていきたいと思う。


編集=モンタージュ

映像編集をする上でもっとも大事なのがモンタージュ。
モンタージュとは…

後のカットが先のカットを受けて新たな意味が生まれること。

どういうことかというと、
カット1→カット2と見ることでそこにストーリーが生まれたり、それを見た人にエモーションが生まれることです。
編集って撮影された素材をただつなぐだけだと思っている人も多いと思うけど、新しいものを生み出す作業だと思っています。
この感情が生まれるわかりやすい例を有名な実験を見ながらまとめていきます。

クレショフ効果

レフ・クレショフという方の名前から名付けられた「クレショフ効果」と呼ばれる理論があります。こちらの実験動画では、前にくるカットによってそれに続く無表情の男が何を考えているのか、その感じ方が変わってくるということを検証しています。視聴者が編集された2カットの映像に意味を見出している分かりやすい例ですね。

映像は写真と違い1枚の絵をじっくりと読み解くというよりは、流れの中でそれをしていきます。前後のカットで意味合いが変わってくるって複雑だなーって思うんですが可能性がいくつもあって楽しさでもありますよね。


モンタージュ=連想ゲーム

なんか新たな意味を生みだしたり、意味づけをしたりモンタージュってなんだか連想ゲームに近い。

先ほどの映像は人だったけど、人に限った話ではありません。
例えばこういうカットが並んでるとしましょう

画像1

画像2

画像4

画像4

どうでしょう?
人によって感じ方は違うかもしれないがこの4つのカットが並べば季節を感じるのではないだろうか?
これが編集です。

前のカットからの影響を受けつつ、グループとして見たときに強い意味を生むという例ですが、桜はそれだけで春という強いイメージを持っているけど
雲や落ち葉、枯れた木とかは1カットではそこまで強くない。
だけどこの順番で見ていくことで日本人ならば四季を連想する。
もしオープニングをこんな編集で始めたなら視聴者はこれを見て四季をテーマにした映像なのかと思うかもしれないし、
時間の流れが生まれているので何か長い時間をかけた話が始まると思うかもしれない。そうやって物語を作っていくこともできる。

このように人がカットに対して抱いたイメージがあって、それを強化するためにもっと夏をイメージさせるカットを追加したり、秋を想起するインサートを入れてみたり、逆に4カットで積み上げたものを裏切るためにこれは実は四季ではなくて全然違うテーマなんですというカットを5カット目に持ってくるとか、選ぶカットや順番で見ている人の感情を動かしていく。
具体的なテクニックとかいろいろあるんですが、どうやってカットを繋げたらいいかという考え方はこんな感じです。

さいごに


伝えたいテーマとか思いがある、それをどのようにして見ている人に伝えるか?その伝えたいゴールまでの道筋を作ってあげることこそ編集であり、編集をする醍醐味である。



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