The Power of Cutting(2)編集点をどう見つけるか?
bird and insectのDirector/Editorの主馬です。
映像を編集することは撮られた素材をカットしてつなげることです。
そのカットポイントをどこにするか?その積み重ねがいい作品になるのか、それとも心地悪い違和感に変わるのかが決まります。
今回はそこについてまとめたい。
編集が必要な時
「映像を撮るということは真実を切り取るということ、
そして編集をするということは嘘をつくということ。」
ということを念頭において考えると真実を伝えることが最も効果的だと思えるシーンでは編集をせずにそのまま使うべきだし、逆に嘘をついた方がより伝わるならば編集をするべきです。つまりカットするタイミングはそこで絵が変わった方が伝えたいことをより表現できるという時ということになる。
編集点を決める指針
「そのショットの役割が始まり、役目を終えたときにカットする。」
多くのエディターが皆この言葉を口にします。一言で言えばそれしかないと思います。ここでは編集点を探っていく上でもあるし、編集をする上で非常に大事な要素も合わせてまとめてみます。
感情/ストーリー
カットする上で最も大事なのはやっぱり感情、そしてその感情を動かすきっかけになるアクションや言葉です。ここでいう感情はそこに映っている被写体の感情でもあるし、また見ている視聴者の感情でもあります。
e.g.)何かを見ている人がいます、その人が何を見ているんだろうと疑問に思う。そしてそれを見たいと思った瞬間にカットする、またはあえて焦らす。
リズム
次にリズムは見る人にとって心地よい、または動きが心地よく見えるタイミングでカットをするわけですが、映画やCMとMVのような映像ではこのリズムの捉え方も変わってくる。リズムに関してはまた詳しくまとめたい。
またYoutubeでよく見る極限まで間を削るジェットカットなど感覚は年代によって大分差があると言えます。
(視線の)動き
どこに見ている人のアテンションがきているか?それを意識していくとカットラインを探る手がかりにもなります。これはどちらかというと流れを維持するためでもあります。ただ必ずしもその流れをスムーズにする必要もなくその流れを断ち切ることで違和感や動きが生まれることもあります。
e.g.)画に動きがある時はそこに意識が集中します、それは誰かが物をとろうとして手を動かしたり、カメラの前を物体が通り過ぎブロックした時など。そういう瞬間にカットして他のカットへ渡すとスムースにトランジションできます。
2次元空間
イマジナリーラインなどの平面的なラインを守ることもカットしてつなぐ時の指針になります。それを無視する際はキャラクターに何らかの心理的な変化があったり、ストーリーが動くといったことがあるのかもしれません。
3次元空間
演者の立ち位置や物の位置関係を混乱させないように考えることも良い編集をする上で大切な要素の一つです。これを無視するとしたら、混乱している様を表現できるだろうし、必要以上に距離を遠く、または、近く感じさせることもできるかもしれません。
さいごに
あるエディターは「私がここでカットをしたいと思ったから全てを無視してでもここでカットするべきだ」と言いました。それも正解だと思います。
ただエディターに必要なのはあくまで理屈が9割、残りの1割が自分の感覚だと思っています。それは視聴者が感覚で見るからです。その感覚を最大限に引き出すためにはエディターが理屈で導いていかなければならない。なので何故ここでカットしたのか?その理由を説明できるようにならなければならないのです。全然まだまだできてないけど、、
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