3,アレルギーは祭りのあとに 後篇

呆然とする僕と、愛想笑いの僕がいた。
落ち着こうと腕組みする僕と、大丈夫と何度も呟く僕もいた。

グルテンフリー生活を続けたいと告げようと
ドクターを訪ねた僕の5分後はだいたいこんな感じでした。

「申し訳ないですが、食べられないものがまた増えちゃいました」

ドクターは控えめの笑顔で、何でもないような軽さでそう言う。
前回、念のためにと行ったアレルギー検査でいくつかの食品が
引っかかったそうで、乳製品全般、卵の白身、蟹、一部の豆類が
NGになったという通告でした。

でも上の空だった僕の頭の中は、
乳製品か・・・じゃあカフェオレはNGか、ピザ、あんバターもだな。
卵の白身?・・・ということは卵丼や親子丼はダメだな、かけ卵もそうか、
炒飯は卵抜きだな。
乳製品に卵って・・・洋菓子はゼリー以外全滅なのかな。
蟹・・・高いからまあいいや。
あれだけ苦しんだグルテンフリーの延長で少し食べ物が減っただけと
捉えることが出来たからでしょうか、ただただ冷静に、これからの食生活を
支えてくれるメニューばかり考えている自分がいました。

そういえば子供の頃、卵、牛乳が嫌いで、大人になるまで食べなかったし、
蟹は母の田舎から送られてきても、大喜びで貪る両親を横目に自ら箸を
伸ばすことはありませんでした。
ドクターによると、子供が嫌いとか食べたくないと言う食品は、
アレルギーの可能性があるので、今は嫌がる食品は無理に食べさせないん
ですよとのこと。

「怒られ怒られ、泣きながら食べさせられたのに、どうしてくれるんだよ」

と叫びかったが、無理矢理食べさせた両親はすでにいない。

いや、それよりも驚くのは、グルテンをやめることになった際はかなりの
パニックだったのに、今は、まるで空から自分を俯瞰して見ているような
クールさなのです。

「そういう運命なんだよ」
「身も心もシェイプしろって言ってるんじゃない?」

そんな声が聞こえるような気がして、
そして、体全体が小さくなっていく感じすらしたのです。
60になってのアレルギーはとても精神世界的なメッセージのようでした。

そんな話を、行きつけのアジアンダイニングでしていると
「うちの店なら、ほとんど食べられますよ!」と笑うのです。
確かにメニューをチェックしてみても、卵が使われているものは
無理にしても、多くのメニューがセーフです。
小麦不使用の醤油を持参すればメニューはもっと増えるでしょう。
和食の店でもそうでした。

大好物のゴルゴンゾーラのピザとはお別れですが、
これまで以上に和食やアジアンフードを楽しんでいこう!と思えれば
もうパニックにも自暴自棄にもならなくてすみそうです。

でもここではっきり言っておきます!
今、一番食べたいのは、コンビニの「ジューシー ハムサンド」です!!!

前篇では、グルテンフリーになった時の気分が蘇り、パニックになって
書きすぎました。

これからは冷静に楽しく書いていきますので、引き続きよろしくお願い
します。

PS, 和食とアジアンフードで生きてますが、体重は変わってません。残念!

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