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話を聞くために準備すること

先日、FABTALKの第一回目の収録を終えた。クリエイターと会って話を聞くのは刺激的で新しい世界を体感できるpodcastになった。まだ、Spotifyなど一部のコンテンツでしか聴けないが、またApple podcastに登録されたら報告する。

Podcastでラジオ配信というのは僕にとって新しい挑戦になった。根が研究者なので、普段インタビューなどする機会はなく、始めて『人に話を聞く』ということについて考えさせられた。

せっかく始めるなら、自分が会いたい人に会おうと思い、Twitter上で交流のあったオートマタ作家の原田さんにお願いした。知り合うきっかけは、僕が有馬玩具博物館でからくり人形(オートマタ)に惹かれて日本の作家を探していた時にみつけてフォローしていたのだが、たまに僕自身もオートマタ関連の自作をあげていたり、ファブラボの立ち上げに興味をもってくれたからか、そのうち相互フォローになり、ちょっとしたやりとりがあった。それでも、これまでのやり取りはいいねや短文のみで、面と向かって話をするのは初めて。にも関わらず原田さんは最初から最後まで丁寧に接してくれた。クリエイターの原田さんがものすごく協力的だったので、慣れない初めてのインタビューでも、良いコンテンツがつくれた。

これまでの僕の経験では、研究成果をプレゼンテーションするなど『話をする』ことについて考えることが多かったので『話を聞く』という行為をどうやって深めていくのか悩んだ。これは本当に勉強になった。人に聞くというのは、自分だけでは絶対に成り立たないコンテンツで僕に新しい価値観をもたらしてくれた。試行錯誤の結果を備忘録として残しておく。

メモをはじめる

まずは、何を聞きたいか思いついたままにメモしていった。僕は普段からプレゼンで話す内容の整理などiPhoneのデフォルトメモ機能をよく使う。まずはいつもの自分のやり方でやってみようと思った。しかし、書いていくと何故かありきたりな質問しか浮かばない。そう、普段の研究成果とは異なり自分がよく知らない分野について質問を考えているので、深いところに思考が及ばない。最初はその領域、その人のことをよく知る必要があると思いなおした。

いろんな角度で調べる 

有馬玩具博物館にいくと原田さんの経歴が紹介されていた。作家を目指すきっかけとなった本が載っていた。有馬玩具博物館の館長だった西田さんという方の本で、僕もちょうど買って持っていたので改めて読んでみた。設計図が載っている貴重な本でこれがあれば初心者でも気軽にオートマタづくりが始められる。原田さんがこれをみながらオートマタづくりを始めたときのことを想像してみた。
次にTwitterとFacebookをみた。ここでは、日頃の活動の様子や思想が垣間見れる。どんなことに興味を持ち、何に喜び、何に腹を立てるのか。感情が少しでもみえると人間性がイメージできて、実際に面と向かって話しているイメージが少し湧いてくる。
さらにinstagramとサイトをみた。ここでは作品画像や動画がみえる。ひとつひとつにユーモアがあるのがわかってくる。昔と最近の作風の変化もみえる。
最後に動画を探した。イベント動画など第三者が編集したものをみると、また違う視点がみえてくる。どんなコンセプトの中に作品が溶け込んでいくのか。子どもたちが一生懸命キットをいじくりまわしている様子。自分もその場に立ったつもりになって想像してみる。

マインドマップ化してみる

調べるのと並行して、枝葉に分かれたマインドマップをつくっていく。箇条書きのメモよりも、視点が広がっていくのを可視化出来るので、偏りをみたり新しい視点をみつけやすい。


こんな風に準備をしてきた。話を聞くという行為は一見簡単そうで実は、それによって話し手の会話の方向や深さが大きく変わることがわかってきた。だから、準備の質がすごく大事。これからのFABTALKでも話し手の魅力を引き出せるような聞き手になっていこうと思う。



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