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小論考宿輪ゼミ3/これからもトルコはEUに参加できない

宿輪ゼミ小論考 その3
これからもトルコはEUに参加できない
 
筆者は経済学部の学生だった頃から「通貨」も専門の研究分野の一つだった。当然のことながら、欧州通貨統合(European Monetary Union:EMU)は大きいテーマであった。欧州は、歴史的に見ても、域内で戦争が多かった。第1次世界大戦、そして第2次世界大戦を経て、親戚同士が戦うようなことは無いようにしよう、戦争をしない様にしようと平和を強く意識するようになった。
 
 戦争を無くすためにはどうすればいいのか、それは国境を無くせば良い、一つになれば良いという方向、すなわち「統合」に向かうことになる。当初、主要産業の石炭鉄鋼分野での欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC:European Coal and Steel Community)、EC(欧州共同体:European Community)となり、現在のEU(欧州連合:European Union)となり、統合を強めている。
 
 統合の強化とともに進められたのが「拡大」である。以前、ソ連(ソビエト連邦:1922年~91年)という共産主義国の影響下、ソ連に近い東欧諸国を交え、西側資本主義諸国と冷戦が繰り広げられてきた。しかし、ソ連の崩壊により、東欧諸国が西側のグループに参加し始め、東欧諸国も交え、最盛期には小国も交え28か国になった。(その後、英国が脱退したが)
 
 ソ連の崩壊後、その主要な国土はロシアが引き継ぐこととなった。西側諸国は93年にEUとなり、更に統合が進む、ともに東欧諸国を取り込んでいくこととなった。今回のロシアのウクライナ侵攻もロシア(ソ連)を取り囲む形の東欧諸国が次々とEUに加盟していくこと、それはすなわち、軍事同盟であるNATOに参加することと同義語となり、ロシアは国防上の不安を抱いたのもその一因である。ウクライナはロシアと国境を接している国でもある。
 
 そのような大きな流れの中、注目に値する国がある。トルコである。トルコには西側諸国が使用できる空軍基地もある。主としてドイツへの移民など人的交流も深い。しかし、トルコはEUに参加する気配もない、いや出来ないのである。それは、、、、、

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