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よその部屋の火災で自分ちは燃えなかったけど住めなくなった話

前回記事で申し上げた「事件」の最大のトピックです。

いつにも増して日記なんですが、記録として。


「消火活動による水損」という罹災

3月の下旬。
それは担当書籍の入稿と責了のあいだ、それと「明後日には(自著が)店頭に並びますよ!」とご連絡いただいた週末でした。
「今日がんばったら終わりも見えるし、土日のどっちかで書店に行ってみよう〜」なんて、呑気に思ってたころ。
住んでいたアパートの上階1室から出火し、けたたましい警報音が鳴りました。

小さい木造のアパートながら建物が密集していなかったことなどから、幸い延焼はなく、住民も全員無事。たまたま通りかかった男性が迅速かつ冷静に声掛けをしてくれ、消防への通報だけでなく火災に気づいていない住民を呼びに行くなど、住民総出で協力して対処できたのも幸いしたのかなと思います。
みんな無事でよかった。それは間違いないし、時間が経つと腹が立ってくるのは事実だが、根っこはそう思ってます。

私も世間知らずだな〜とつくづく痛感したのは、その後の話です。
出火から3時間ほどで鎮火し、安全が確認され、消防や警察の方の説明を受けて部屋に入っても良いと促されました。
が、消火活動の放水によって、浸水しているから今日は部屋で休めないでしょう、とのこと。

今考えるとそりゃそうなんだけど、このあと「今日は」どころか、もう二度とこの部屋に住むことはかないませんでした。

家電も設備も水浸し(あああ俺の相棒、高機能ドライヤーが)
キッチンは、狭いこの部屋の中で一番のお気に入りの場所だった
翌朝の様子。居室の可能な範囲には、消防士さんがビニルシートをかけてくださっていた
コンロにも水が溜まっており、まったく使えない。作り置きのおかずも全て廃棄。ムカつく〜〜〜

火災のための「備え」は天災とは違った

この日から、いわゆる「避難生活」が始まりました。
地震や火災、あるいは空襲などで何もかもがなくなるような被害に比べたら、ただ部屋やものが水浸しなだけなのですが、それでもかなりの負担でした。

まず、これは地域差や属人性があることだとは思いますが、行政のサポートは概ね満足で感謝しかありません。消防、警察、区役所、関わったすべての方の指示や説明はこれ以上ないくらいわかりやすく、優しい心遣いもひしひしと感じ、頼もしかったです。
1つ文句があるとしたら、行政指定の避難宿泊先があるのに、そこが全部見事に満室で1泊もできなかったことくらい。全損認定されれば保険で宿泊料が支払われはするんだけど、行政から指定されてんのに1人が1泊もできないのってどうなの?と疑問には思った。春休みで繁忙期という事情もわかるけど、指定されてる意味とは?みたいな。
まあでも、本当にそれだけですね。
練馬区最高だな、って思いました(旧住所)。

部屋に入れたのが日付の変わる直前で、余計に即避難の準備をしなければならなりませんでした。前にこんな記事も書いたように↓

地震などの天災時用の避難持ち出しリュックの準備はあったんですが、今回は単にホテル泊するだけなのでこの備えは意味をなさず。
これとは別に、普通に1泊するためのセットみたいなものを用意しておくことも想定したほうがいいのかも
と思ったりしました。私は出張&遠征慣れをしているので、たった1泊の準備なんて1分あればお釣りが来るタイプなんですが、パッキングが苦手な人とか持ち物が多い人は、普段からお泊まりセットは用意したほうがいいかもしれない。
私は7泊のハワイですらリュックで行くようなヤツなので楽勝だったけど、普通の人はここでまず慌てるだろうなと感じた部分でした。

というのも、部屋で避難の準備をしているあいだ、しばらくは消防士さんや警察の皆さんが撤収の準備をしながら見守ってくださるんですね。これも属人性があると思うけど、女性の住民には「エントランスや玄関先は見張っていてあげるから着替えておいで」と声をかけてくれたりとか。(※水浸し&シートが敷かれているからドアや窓を早々に閉められないため)
繰り返すけど、マジでいい人たちだった。単にアタリだった、幸運だったのかもしれないけど。

とはいえ、彼らもずっと待っててくれるわけじゃないから、いてくださるあいだに準備をして、さらには簡単に溜まった水や、臭いのしそうなゴミはある程度片付けたりまでしなければならない。
宿泊慣れしていない人、パッキングが苦手な人は焦るだろうな〜と思いました。

これって経験したことがないとわからない苦労なので、せっかくこんなオバハンの日記にたどり着いてくださったからには、ちょっと覚えて帰ってくださると嬉しい。

あと、もう1個、住民の子たちと話してて「ダメだよ〜!」と思ったんだけど、備え付けの避難ばしごはちゃんと窓際で保管しましょう。
窓で使うもんなのに、DKの方に置いてるとか、どこにあるかすぐわからないみたいな子がいた。ダメですよ〜〜〜〜〜

こいつですね(遠)。窓の近くに置くんだぞ、おばちゃんとの約束だ

在宅ワークって、罹災した際には意外と足枷になる

翌日から罹災の諸手続き、保険の申請、ライフライン(ガスと電気)系への連絡と点検などなどを、宿泊避難しながら、仕事もしながらやることになりました。
編集職かつ個人事業主という定時の概念がない働き方なのは、来訪される業者さんへのアポイントの面では利点で、スムーズに進めることができました。

が、在宅ワークということは、イカれたのは「住居」だけじゃなくて「仕事場」でもあるということ。幸い消防士さんのスーパーファインプレーでPCとiPadは水濡れしなかったんですが
(「中が濡れてるかもしれないから今電源つけちゃダメだよ!絶対明日の朝まで待って!いいね!!!」との念押しもしてくれた。マジで最高でしょ練馬区)
それ一式を持って避難先を転々とし、諸手続きの合間に作業を進め……という生活になりました。

保険会社によって規定はさまざまだと思うのですべて鵜呑みにはしないでほしいのですが、私の契約していた内容だと、全損の場合は決められた上限の宿泊日数 or 料金まで宿泊費が保証されるようになっていました。
「お仕事をされながら引越し先も探すとなると大変でしょうから、友達やご家族の家を頼って、飛び石でホテル利用というのももちろんOKですよ〜」
という説明も。
結果、私はちょうど実家帰省の予定(宝塚の全ツと前回記事の法要)があったので、それをキャンセルせずに実家に身を寄せた期間はありましたが、都内の友達や弟の家を頼ることは現実問題できなかったです。

なぜなら、「泊まっていいよ」と言ってくれる人もいてありがたかったんですが、家主が出勤している間家にいるわけにいかないから……。行政や保険の手続きのアポイントで移動するのに加え、家主の出勤に合わせて家を出て、仕事をするところを探して移動するなんて、余計な時間とコストがかかりすぎるなと。

あと、最大の問題は校了前だったことです。4月1週目某日が校了でした。
編集者の校了前の生活って人間のそれではなくて(人間のそれではない)、前倒してやってた方だったにもかかわらず、上記のような理由で稼働効率が実質30%くらいにまで落ちました。となると、定時で企業にお勤めの方には迷惑な時間まで、ブルーライトをギンギンに光らせて画面に向き合っていることになってしまう。寝入った後にデザイナーさんの戻しや、原稿チェックの戻しがあることもあります。(著者さんもご自身の名前を冠する本とあれば必死なのは当然。いつも寝る間を惜しんで連絡を取り合うのです。)

だから、必然的にホテル泊するしかなく、上限ギリギリまでホテル生活をしました。
先述の通り、行政指定の宿泊先が役に立たなかったのと、春休みでどこも連泊が空いてない&値段が高すぎて、いろんなところに転々と泊まったんですが、最初に泊まった高田馬場のホテル以外はとても良かったので、気が向いたらまた紹介します。日比谷へのアクセスも悪くないので参考になるといいかなと。
てか、今東京のホテル高すぎない? 遠征民どうしてんの?

あと、これは余談なんですが、宿泊費保証と実家以外にも使った奥の手が、両親が持ってるタイムシェアの権利でした。
親のすねかじりで大変お恥ずかしいのですが、コロナ禍で本人たちが国内の旅行や外食すら自粛しており、管理費だけ払い続けている状況だったので「使えるもんはつこて〜」という厚意で。ありがてぇ!
世相もそうだし管理費も高いしで、ゆくゆくは売るつもりなのかな〜、私の代になった時に継続するか迷うな〜と思ってたけど、自分の代でもゼッテェ管理費払うぞ! と心に決めたできごとだった。
繰り返すように、私の場合は「住居=仕事場」なので、部屋に投資するのは道理だなと思って。
ちょっと前から、脱賃貸して住宅購入することも検討してたんだけど、こういう他人の不始末によるリスクを考えると、やっぱり家を資産の柱にすんのは怖いっすね……。拠点を身軽にした上で、他に保険をかけといたほうが圧倒的に良さそうだなと。
出張もするし遠征もするし、何より旅行が好きだからな〜

日本ではあんまりタイムシェアって浸透してないけど、旅行が好きな人にはマジでおすすめのシステムですね。親のネジのハズレた思い切った買い物のおかげで救われました。しっかり受け継いで恩返し、恩送りせねばという所存。

メイクしてセットアップ着たときの「上がる」感じは忘れられない

結局いつも通り長くなったけど、最後に、美容業界誌編集らしいことを。

家閉め出されたのが金曜ということもあって、3〜4日は髪も顔も起きっぱなし、すっぴん+マスクで家と宿泊先を往復する日々だったんですが。
週明け2日立て続けに、人に会う仕事が入っていました。1つは大阪出張、1つは校了作業で出社。
2週間に1回くらいしかオフィスに行かない働き方してんのに、よりによってこのタイミングで……しんど…と思ったんだけど、結果、このタイミングで人に会う仕事があって本当に良かったです。あれがあったから、あのあと頑張れた感、とてもあるよコレ。

取材先の方が素敵だったこと(記事はこれだ、読め)、会社の人たちが気のいい仲間たちであることももちろん理由の1つなんだけど、会いに行くために装うとき、一番気分が上向いたんですよね。
出不精で引きこもりなので、普段外務に出るときのメイクはあんなに「だる〜〜〜」って感じなのに。
眉揃えて、まつ毛あげて、髪に整髪料つけたら「あ!私だ!!」ってなった。

いや、素顔はすっぴんのはずなんだけど、私にとってはこのオンの顔が「私」なんだなぁ、とか、そんなことを思いました。

汚い水で濡れたり、濡れてなくても焦げ臭くなったりした服をせっせとクリーニングに出したりコインランドリーに運ぶ中で、ヘトヘトになりながら選んで先に洗った「仕事着」に袖を通したのも感慨深かった。

こんな柄ガラのセットアップですが、一応仕事着なんすよ

私、メイクや装いは社会的行動・コミュニケーションだと思ってて「自分のために綺麗になる🥺」なんてことカケラも思ったことがないし全く共感できない考えで、その信条は変わらないし変えるつもりもないんですけど、自分のテンションが上がるというのはわかるな、と身にしみて感じました。
介護美容とかって、その最たる活用ですもんね。

パッと具体例は思いつかないけど、災害とか困難な状況にある人向けへの美容やファッションのサービスってどんなものがあるんだろう、何かできないかな〜みたいなことも、今漠然と思っています。

長い。
4月の事件簿でした。
早く全ツと哀ちゃんの話書きたいんだけど!!!

最後になりますが、元気だった頃の旧宅の写真でも見てやってください。狭いのと、管理会社が田舎モノの悪いところ詰め込んだみたいなクソ企業なの以外は大好きな部屋だった。

ゴミ箱とか揃える前で、狭いながらにどう使おうかワクワクしてた頃
お馴染みの神棚
このソファも廃棄しました。マジムカつく

★★★2023年3月末・書籍を上梓します★★★

宝塚の座付き作家を推す!   スターを支える立役者たち 七島 周子(著)
四六判  280ページ 並製
定価 2000円+税
ISBN978-4-7872-7453-3 C0074

https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787274533/

ISBN978-4-7872-7453-3 C0074
ISBN978-4-7872-7453-3 C0074
ISBN978-4-7872-7453-3 C0074
ISBN978-4-7872-7453-3 C0074
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