入社直前記

３月１日に旅先の岩手で「へえ、就活ってやつが解禁されたんだな」とテレビを見ていたあの日から、もう1年がたった。

最近あったことといえば、このブログに通い詰めていた一つ学年が下の友人が「お前がやらなかったことを全部やった」と言いながら就活で大成功をおさめていた。
私でも知ってるような大手にすでに内内定をもらっているらしく、
やはり失敗から人は学ぶのだと思った。私の失敗にも価値があったよ。

失敗、といっても、入社を予定している企業は「失敗Death！」といった雰囲気ではない。むしろ、あそこからよくここまで巻き返せたよなとは思う程度のところに拾っていただけた。
最近、そんな御社（いつかは弊社）の内定者との飲み会に参加してきた。

突然だが私は爆モテ社会人になると決めている。
先に断ると、ここで言う「モテ」とは、異性を惹きつけると言った意味ではなく、万人から満遍なく愛される、と言うニュアンスが強い。
私は高校、大学、バイトと、環境が変わるたびに毎度この決意を固めるも、いつもいつも挫折し、結局「爆走ちゃん終わってんな笑」と嘲笑の対象になってきた。
採用に際して「新卒カード」という言葉があるが、これを私はモテ人生リセットの言葉として認識している。疲弊無賃労働幹事職とはおさらばだ。
今度こそ、最強の「新卒カード」を切り、仕事ができ万人から愛される最強の人間になるときが来たのだ。

その為にはまず、下拵えとして自分を再構築する必要がある。
例えば私が今趣味を聞かれたらこんな感じになる。

趣味→ラジオ（三四郎ann、ライトニングカタパルト、トノサマラジオ、宮下草薙の15分）、旅行、マンホール集め。

この中であれば「深夜ラジオ好きなんだ！私も！」は比較的に広がりやすいテーマであり、実際に大学入学に際してラジオを共通項として人も会話した覚えがある。
しかし、ラジオが好きという話題で度々登場するのはオードリーやハライチであって、三四郎に課金していますというケースはなかなか無い。
そりゃあ私も三四郎課金リスナーがいれば非常に仲良くなりたいが、初手で三四郎を挙げるのはややギャンブルである。
そこで私は「趣味はないけど最近こんなこと始めた！」という報告を持ってこの場で勝利をキメようと決意した。
「最近登山を始めました！」とか「最近フルート習い始めました」とか。
これなら疎くても問題はないし、本当に始めたものなら嘘じゃないし、あわよくば道の先駆者と仲良くなれる。
しかも今の私にはポケモンがある！
ルカリオにせんせいのツメを持たせていた私を笑って叱ってくれ、先駆者たちよ。
相棒になってくれ、ボールはなくとも。

それから、進路的にも「好きなコンテンツの話」にもなるだろう。
今の素直な手札はこんな感じ。

好きな映画→マッドマックス　怒りのデス・ロード、怒り、RRR、岬の兄妹
好きな漫画→ギャグマンガ日和、神様お願い、

奇しくも「怒り」というワーディングが重複しており、字面として憤怒のイメージがつきまとうラインナップとなったが、実際問題なのはそこではない。

見るからに嗜好が躁鬱であるということだ。
爆発及びギャグのハイカロリーコンテンツか、鬱屈体調不良直結コンテンツのどちらかしか見られないことがよくわかる。
実際、他に好きな映画をあげたってどこまでも、爆発、00年代のウキウキ邦画、鬱屈胸糞映画の3本立てと言った雰囲気である。
正直言って、非常に頭が悪そうで、友達になりたいラインナップではないだろう。

映画好きの友人に懇願し、「好きな映画はララランドとこの世界の片隅に辺りを挙げれば良い」「もしララランドの監督の話になれば、セッションの話をしたら大丈夫」と教わった。
セッションは未視聴だったので助けを乞うと、「1234の4で弟子をぶん殴る人間の狂気のはなし」とのことだった。どうしよう。あまり憤怒から遠ざかれていない。
けれど、ララランドは見たし、終盤のままならなさは非常に好きだ。冒頭のテーマソングは訳あって歌える。
問題があるとすれば、ナンパ氏を経てホストに羽化した元彼と見たという微妙な味わいの記憶を引きずった映画であるという点ぐらいだが、その辺りには思い切り目を瞑ろう。

そんなふうにして私は会合・内定者GOHAN会に参加してきた。
過去に知り合った可愛い子、愛されキャラ、優しかった彼、みんなをインプットし、この新卒という更地で無双してやろうと意気込んだ。
私はここでついに念願の愛されキャラになるのだ。
あわよくば飯を食うだけで可愛がられたいし、無賃労働が回ってこないところに落ち着きたい。でも働いてる同僚にコーヒー淹れて持ってきたい。お疲れ様ってメモも添えたい。

私は前に予定があってやや遅刻してそこについたのだが、つけばそうそうに自己紹介、内容は趣味などという流れが生まれていた。
データキャラの私に死角はない。趣味はないが最近ポケモン始めました！仲良くなりたいです！で勝つ。道の先駆者よ、手を引いてくれ。

はずだった。

はずだったのに、上記の旨を伝えた返事は

「や！😄趣味ないってことはないっショ！」

だったのだ。
嘘、論破。撃墜。
しかしここから抗える術も、意味もない嘘でしたというわけもなく、「えへへ….特には………..  」と言って床を見つめる最悪ムーブをかまして終了した。
Oh！爆走さん。飲み会の床の隙間の虚空watching…….ﾆｼﾞｶﾝ…ﾆｼﾞｶﾝだね…

今年の目標は「趣味を作る」にする。
みんな私を、おんもに引きずり出してくれ。