成美堂出版発行の書籍の内容で一部改訂されている箇所が見つかりました
成美堂出版に対しては、こちらの記事で報告したように、抗議文を送付し、回答を頂いておりました。
成美堂出版発行の書籍「こう動く!就職活動オールガイド」(高嶌悠人著・2021)において、一部、改訂されている箇所が見つかりました。
2020年発行の版「こう動く!就職活動オールガイド '22年版」においては、以下の2点を含む様々な点について改善要望を出していました。
①p.80コラム「女子学生へのアドバイス」内
「ハードな仕事に耐えられるか、自分より組織を優先する覚悟があるかなど、女子は『本気度』を問われるだろう。」
「さすがに『結婚までの腰かけ』などといった考えで就職する女子はいないだろうが、仕事において向上心をもちつづけることが大切だ。」
「女子は、たとえば面接のとき、『結婚や出産をしても仕事を続けますか?』といった差別的な質問を受けることもあるに違いない。しかし、そうした場合、本当にその会社に入りたいと思っているなら、怒った顔を見せないようにして、『家族に協力してもらいながら、働き続けます』というふうに働いている姿をイメージさせたい。」
(団体からの指摘:面接において、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問することは、男女雇用機会均等法で禁止されています。こういった差別に加担し、差別を温存し、差別に対して声を上げるその口を塞ぐような指南はやめてください。このような差別にあってしまったときにどのように対処すれば良いのか提示するのが、あるべき指南本の姿です。)
②p.173 「面接の間の姿勢」内
「女性 両膝を閉じて座る。両手のひらを重ねて膝にのせる。」
「男性 両膝を少し開けて座る。にぎりこぶしをつくり膝にのせる。」
(団体からの指摘:他者から一方的に括られる性別ではなく、本人のアイデンティティや服装によって座り方を考えるべきです。また、その下に、「男女とも」という書き出しがありますが、人間の性は男女の2種類ではありません。)
【上記、①および②の点が、2021年発行の版「こう動く!就職活動オールガイド '23年版」では、下記のように改訂されていることが分かりました!】
①p.80コラム「女子学生へのアドバイス」内
上記で指摘した、'22年版における問題表記がすべてなくなっていました。
代わりに、
「産休や育休の制度が気になる、結婚や出産などのイベントを経験した後も長く仕事を続けていきたいという希望をもっているのであれば、その制度があるのかどうかを調べてほしい。」
「その制度は生きた制度であるかどうかも確認してほしい。」
「会社説明会や採用担当窓口などで確認するとよい」
といった表記が並び、さらに、そのような質問をすることに不安がある場合でも、志望度の高さや本気度を伝えればプラスにとらえられるはず、とのアドバイスが掲載されています。
②p.173 「面接の間の姿勢」内
上記で指摘した、'22年版における「男性」「女性」に分かれた問題表記がなくなっていました。男女二元論に基づいたイラストは健在ですが、指南はジェンダーを問わない「背筋を伸ばす」「面接官の目をまっすぐ見ながら話そう」といったもののみ残っていました。「男女とも」という文頭の表記もなくなっていました。
しかし、それ以外の部分では問題のある表記は健在で
(新旧共に)p.134「会社訪問時の身だしなみ(女子学生編)」内、
「スカートスーツが基本」「化粧の練習をしておく」「無頓着だった人は、早めに練習」等、
(新旧共に)p.188-189「圧迫面接って何?」内、
「圧迫面接も生ぬるい。実社会はプレッシャーとストレスだらけ。」
「圧迫面接を歓迎しよう」等
依然として重大な問題が残されています。
さらに、同社出版の問題のある他の書籍複数冊においても、抗議文にて指摘した箇所が依然として残っています。
例えば、
「内定者が本当にやった究極の自己分析 '23年版」(阪東恭一著、2021)
では、
女性の服装について、
「面接のレベルが高くなった場合(役員面接など)は、会社にもよりますが男性的なタイプよりも女性らしさを表現している人に『好印象』を持たれることが多いのが現実です。自分の長男のお嫁さんにしたいタイプが好まれる場合もあるようです。」(p.133)等の表記、
「就職試験 これだけ覚える面接・エントリーシート '23年版」(成美堂出版編集部、2021)
では、
男子用として「短髪がベスト。色は黒。」(対して、女子用は「色は黒がベター」に留まっている)、女子用として「メイク 濃すぎてもノーメイクでもいけない。」「指輪ははずす」(p.16-17)等の表記、
さらに、2023年度から新しく発売された書籍
「最新最強の面接対策 '23年版」(小林常秋、2021)では、
女性編として「ノーメイクはNG」、ストッキングは「肌色のみ」、
頭髪に関して、女性編が「黒色か、明るすぎない茶色」としてあるのに対して男性編には茶髪がNGとの旨が示されていました。(p.20-21)
さらに座り方に関して、女性は「足を揃えて閉じ、左右どちらかに5センチずらします」等の指南。(p.272)
成美堂出版を含む多くの出版社からは、「今後の参考にさせて頂きます」との回答を頂いておりますが、依然として差別的な指南が残っている書籍がほとんどです。
差別的な指南本を発行しないでください。
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