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バリウム


 健康診断ではバリウムを飲みます。
 最近はコンビニの飲み物みたいに、封がされていて、自分で開封します。衛生的ですね。味や香りがついている場合もあり、飲みやすいです。
 昔は、私が大学生だった80年代は、紙コップになみなみついだバリウムを回し飲みみたいな感じでした。80年代のワイルドなこと。
 大学生の時、何かの検査で、バリウムを飲みました。
 医者は巨大な紙コップになみなみついだバリウムを渡し、こう言いました。
「グッといってください」
 実はこれは冗談だったんですね。当時のバリウムには味も香りもついておりませんでしたから、純粋に、まずいんですね。「グッといってください」と言われて、グッといける人は少ないんです。
 ところが、若い私は向こう見ずでした。バリウムを飲むのも初めてでしたから、文字通り飲み干す勢いで、グビグビいったんです。「グッといく」ということは一気飲みだと思ったんです。
 これには医師が慌てました。
「ちょっと、ちょっと、ちょっと、ほんとにグッといかないでください」
 バリウムというのは、一口ずつ、間隔を開けて飲まなくてはいけないのです。昔の学生コンパのような飲み方をしてはいけないのです。
 モニターを見た医師が怒り出しました。
「真っ白になっちゃったじゃないですか。何にもわからなくなっちゃったじゃないですか」
 みなさん、お酒も、バリウムも一気飲みはいけません。周りにすすめられてもダメですよ。

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イラスト by 和田正之

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