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『Renovation of value 負からのマーケティング』

【2019年以降注目のマーケティング関連書籍】その3

『Renovation of value 負からのマーケティング』

 著者:田村高志・古谷奈菜・水師 裕
 出版社:総合法令出版
 第1刷:2020年11月1日

負からのマーケティング

大変遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
昨年末、本年は1月18日(金)、初アップと申しておきながら、2週間遅れてしまいました。
ま、人生、これはこれで、まぁいいかなと。

1. 本書を読んだ背景

このnoteであれSNSでも私はステルス・マーケティング(やらせ)はしません。
よって正直に言いますが、本書の著者の一人(序章・第五章・終章担当)の水師裕さんからメールで本書の刊行のご案内をいただきました。
7年前、私の“最後の会社員生活”でほんの一瞬でしたが“同じ釜のランチ”をご一緒いただいた方です。
田村様と古谷様には面識はありませんが、歳は離れてるだろうとはいえ、西池袋にある私と同じ大学のご出身ということだけで親近感が湧いてきます。
*水師さんは、現在、武蔵野美術大学 ソーシャルクリエイティブ研究所 客員研究員です。

2. どんな人に向いているのか?

読まれる前のネタバレなんですが。
本書のテーマは「人間回帰」です。
ルネサンスみたいですね。
スポーツクラブではありませんよ・・。
私の拙い解釈ですが、ツールのはずの「マーケティング」「ビジネス」に“支配”されて(マルクス的に言うと“倒錯”)、自分がその“歯車”になってしまっている
「ひょっとして、私ってそうなんじゃ?」
そんなことを思えるような人に向いているんでしょうかね?
使ってるはずが使われてる自分、に気づけるような人・・。
難しいですかね?
まぁ、私のこのテキストを読んで、「読んでみたい」と興味を抱かれた方は、本書に「向いている」方なんで是非、読んでみてください。
「読んでみたい」と思われなかった方は、本書に「向いていない」方なんで読む必要はないと思います(水師さん、ゴメンなさい・・)。
ロジック云々よりも、感覚の話かも? です。

3. 本書のポイント

3-1. コンプレックス(≒劣等感)って克服しようと努力しちゃ~ダメ。
歪んじゃうことが多いと思うんですよ、人として。
今、こう書いている私自身のことでもあります(笑
この歳にですね、なってみてですね、気づくことって多いなぁ、長く生きるのも悪いだけじゃないと(笑
これは冗談ではないんです。
“悟りマーケティング”ってコトバがフッと思い浮かびました。

3-2. 「文化マーケティング」を標榜している私なんで、「写ルンです」「銚子電鉄」の事例は一通り押さえていたつもりだったんですが、「小田急電鉄の箱根観光」の事例とともに、改めて読んでみると気づかされることが多かったです。
キーワードは本書で何度も反復されている“ニーズのゆらぎ”。
言われてみると「そりゃそーだ」なんですが、ニーズってゆらぐもんです、ということは心しておいたほうがいいと、私自身に語りかけます。
(まなざしも揺れるそうですが、ニーズも揺らぐんですね。1976年の資生堂さんのCMソングです)

3-3. 第五章 黒歴史が価値になる
「これを書きたかったんですね、水師さん」
私、そう思いました。
テーマは広島平和記念資料館。
2019年の本館リニューアルを事例として取材され綿密に分析されております。
第五章の注釈で、「ダークツーリズム」という用語が出てきて、(成程!)と思ったんですが、この章の内容はもっと深いです。
一般的にマーケティングっていうのは、(私なんか特にそうですが)最終的には「わかりやすさ」に着地しようとします

と・こ・ろ・が、、広島平和記念資料館の狙いは、わかりやすさどころか、その逆。
「自分の頭で考えなさい」
と、見学者を「考えざるを得ない」状況に追い込んでしまうこと。

「う~ん、そうですね、そこまで到達したいもんです・・」

4.  感想

最後は(「ハムスターの回し車」会社にグサりとトドメを刺されたー爆)水師さんのお言葉で締めさせていただきます。
私の余計なコトバは無用だからです。

*以下、304ページよりの引用です

本来、人間らしさとは「計算可能なもの」の外側にある「計算不可能なもの」のはずである。
「負からのマーケティング」の終着駅は、複雑で計算不可能な「生身の人間」であり「人間の生」である。
本書の事例で示したかったのは、「負」のなかにこそ人間らしさが潜んでいるということだ。
価値リノベーションとは「負」のなかに人間らしさをみつけ、「人間の生」を終着駅として目指す絶え間ない価値づくりの旅なのである。
これが本書が考える「人間回帰」の意味である。

いいなぁ(笑)
終着駅、私も楽しみだなぁ(笑)
最後の最後は、人間に還って死を迎えたいもんです(笑)

以上です。

*1月27日(水曜日)19:00からZoomで、この本の出版記念講演が開催されます。私も聴講いたします。

【第113回JMRX勉強会】出版記念講演『リノベーション・オブ・バリュー 負からのマーケティング』
たったの1,000円ですよ。

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水琴窟


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