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『マーケティングの神話』

【マーケティング定番書籍】その19
 
『マーケティングの神話』
 
 著著:石井淳蔵
 出版社:岩波書店
 第1刷:2004年12月16日

マーケティングの神話_2

1. 本書を読んだ背景

初版は1993年(平成5年)、日本経済新聞社からでしたね。
石井淳蔵先生のご著作は読んだことがありましたが、今や“古典”ともいえる『マーケティングの神話』、新書で読みましたので2004年以降、ということになります。
「ポストモダンマーケティング」では必読書でしょう。
私にとっても、先日ご紹介いたしました『文化の力』とともに「文化マーケティング」の教科書のうちの一冊です。
また、昨年12月にご紹介いたしました水越先生の『「本質直観」のすすめ。』も、大きくは石井先生の「ポストモダンマーケティング」の流れにあるのでは? と私は考えています。
水越先生のほうは、フッサールの現象学がベースでしたね。

2. どんな人に向いているのか?

はっきり申しまして、実務書ではなく学術、いや哲学書でしょうか?
初版が日経新聞社からで、11年後の文庫版が岩波書店、という歴史がそのことを物語っていますね(笑
哲学書と聞いて拒否感を感じる方は即、スルーしていただいたほうがよろしいですし、何となくでもピンときそうな人には向いています。

3. 本書のポイントと感想

「何となくでもピンときそうな」とは、具体的にはどんなこと? という疑問が湧きますよね。
以下、本書における基本的な考え方と姿勢を、私の独断で列挙します。
 
1. この本で一貫しているのは、ポストモダン(脱実証主義)の立場と、ディコンストラクション(脱構築)の構えだ。
 
2. 世界とは客観的でも唯一無二のものでもなく、「意味構成された世界」である。
 
3. 人間は外界を解釈すると同時に、その解釈によって自身も変化を受ける(「再帰的プロセス」)。
 
4. 消費目的と消費行為の関係は曖昧なものであるから、消費者調査においては、目的と行為の間を行ったり来たりしながら両者の妥当な関係を探るという「二重の推論」が重要だ。
 
5. 消費者インタビューでは、回答者に「なぜ?」と問うことより、「この製品を使った時の様子を教えてください」という質問のほうが数段優れている。
 
上記5項目のうち、3項目以上にピンときましたら、この本を読んでみるのもいいかと思います。
  
以上です。

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水琴窟


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