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【要人コメント分析】 鈴木財務大臣の4月前半の記者会見から今後を読み解く

鈴木財務大臣は、4月7日と4月11日に記者会見を行いました。
その中で、こども・子育て政策と財政健全化について言及をしています。

まずは、質疑応答の概要です。

【質疑応答】

問)こども予算倍増の財源について、自民党内で増税を否定して歳出改革だとか社会保険料を候補に挙げる声が出ているんですが、歳出改革はすでに防衛費増額の財源として、しかも結構厳しいということでもありますけれども、こども予算に割ける余地というのはあるんでしょうか。大臣のご見解をお願いします。

答)いつも答えているとおりでありますけれども、こども・子育て政策につきましては、3月31日に小倉大臣からたたき台が示されました。
 今後、このたたき台を踏まえまして、必要な政策強化の内容、予算、財源について、総理のもとで更に具体的な検討を深めて、6月の骨太の方針までに、将来的なこども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示していくものと承知しております。
 その上で申し上げますと、恒久的な施策には、恒久的な財源が必要であって、こども政策を強力に進めていくために必要な安定財源については、国民各層の理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含めて、幅広く検討を進めていくことが重要と考えます。
 茂木幹事長からは、歳出削減や社会保険料について言及があったものと、そのように承知していますが、具体的な財源につきましては、まさに今後、検討を深めていくべきものであると理解をしております。
 いずれにせよ、財源を検討する際には、政策強化の内容に応じまして、様々な社会保険との関係、国と地方との役割分担なども踏まえまして、丁寧に検討を進めていくことが重要であると、そのように考えています。

財務省ホームページより鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和5年4月7日(金曜日))

問)日銀の植田新総裁の体制がスタートしたことに絡んで金融政策による財政への影響について伺いたいと思います。長期にわたる大規模金融緩和は国債の利払い費の低下による財政規律の緩みにつながったとの指摘があります。一方で金融緩和が縮小した場合は国債の利払い費の負担が進み、財政運営が厳しくなる可能性があるとの見方もあります。植田氏は昨日の記者会見で当面は大規模緩和を続けるものの副作用はあると認め、一部修正を視野に入れているともとれる発言をされましたが、大規模金融緩和が継続した場合と縮小した場合のそれぞれの財政への影響と財政的な観点から望ましい金融政策についてのお考えを伺いたいと思います。

答)一般論でしかちょっとお答えできないと思うんですが、一般論で申し上げますと金利が上昇すれば利払い費が増加するおそれがありますが、一方、金融政策が財政に与える影響は様々であるために、一概にお答えすることは難しいと思っております。
 また、金融政策の具体的な手法につきましては日銀に委ねられるべきと、そのように考えておりまして、どういった金融政策が財政的な観点から望ましいかといった点について我々の立場からお答えすることは差し控えなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、政府としては日銀が国債を買い入れるとの前提に立った財政運営を行うことが適切とは考えておりません。また、市場からそのような疑いを持たれ、市場の信認を失うような事態を招くことがないようにしていく必要があると、そういうふうに考えます。
 このため、政府としては、今後とも財政健全化に向けて、プライマリーバランスを2025年度に黒字化することなどの方針のもと、引き続き、責任のある経済財政運営に努めていかなければならないと、そのように考えております。

財務省ホームページより鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和5年4月11日(火曜日))

個人的にポイントとなると感じた部分を太字にしております。

こども・子育て政策の財源に関しては、国民の理解を得ながら税による負担も踏まえて検討する必要があると述べています。

一方、財政に関しては、国債による財源の調達は抑え、財政健全化推進の必要性を強調しています。

これらを合わせて考えると、増税を示唆していると捉えても差支えが無いと思います。

また、今回のコメントにはありませんでしたが、防衛費も今後5年間で43兆円を計画しており、財源の問題で増税が取り沙汰されています。

ここ最近、安定的な物価上昇の兆しが見え、大企業を中心に賃上げを実施する傾向が強まるという状況の中で、増税はこの状況を反転させる危険性を多いに含んでいます。

こども・子育て政策、財政健全化、防衛力強化も全て必要ですが、財源は果たして増税で良いのか?
特に財源確保をどのように行うのかを注視する必要性は、更に高まったと思います。
衆議院解散・総選挙がいつ行われるかもささやかれる中、どの党に投票するのかを判断する上でも動向を引き続き注視していきます。




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