2021年度12月期 決算短信から読み解く カゴメ(株)
今月、2月2日にカゴメ(株)が決算を発表しました。
ただ、決算短信がリリースされるまでにまだ時間がかかるため、前年度はどうだったのか、2021年度の決算短信を簡単に振り返りたいと思います。
まず、連結経営成績ですが、売上収益は、前期比3.6%増の1,896億52百万円、事業利益は、前期比4.0%増の141億38百万円、営業利益は、前期比31.2%増の140億10百万円という結果でした。
売上収益と事業利益を見ると、堅調だったという印象です。
また、営業利益が31.2%も伸びていますが、これは主に前年の海外のポルトガル子会社が保有する固定資産の30億28百万円の減損損失があった反動などにより、大幅な増益となりました。
では、更にこの数値を分解していきます。
セグメント別の業績を見ていきます。
国内事業は、前期比1.1%増の1,472億5百万円、国際事業は、前期比12.9%増の424億47百万でした。
ざっくり割合でいうと、国内事業:国際事業=7:3といったところでしょうか。
国内事業の方が業績の多くを占めているので、更にその中身を見ていきます。
大きく分けて、加工食品、農、その他の3つに分けられます。
この中で一番の稼ぎ頭は、加工食品です。
加工食品は、売上収益1367億29百万円、事業収益112億31百万円となっており、加工食品単体で国際事業を上回る数値を叩きだしています。
ちなみに加工食品の主な商品・製品は、トマトジュースや野菜ジュース、トマトケチヤップといったおなじみのものです。
ここまで連結経営成績を見てきました。
ではそれを踏まえて、ストックである連結貸借対照表とフローである連結損益計算書、現金の流れであるキャッシュフロー計算書を見ていきます。
まず連結貸借対照表ですが、資産が2,152億8 百万円、負債が956億66百万円、資本が1,195億42百万円で負債資本合計2,152億8百万円とあり、資本>負債の状況となっています。
特に利益剰余金が毎年着実に積みあがっており、安定した財務状況といえます。
続いて、連結損益計算書はどうでしょうか?
売上収益を見ますと、1,896億52百万円とあり、ここ数年横ばいの状態が続き、成長が鈍化しています。
ただ最終的な利益は99億83百万円となり、前年の利益61億2百万円の落ち込みから回復しました。
では最後にキャッシュフロー計算書を見ていきます。
まず、営業活動によるキャッシュフローは、147億96百万円とプラスとなっています。
次に、投資活動によるキャッシュフローは、△141億62百万円とマイナスとなっており、着実に投資を行っています。
最後に、財務活動によるキャッシュフローは、△276億52百万円とマイナスとなっており、ここも着実に短期借入金を返済しています。
キャッシュフロー計算書を見ると、安定した経営状況だと見てとれます。
では、決算短信後の株価の動向について見ていきます。
決算短信が発表されたのが、2022年2月2日(火)。当日終値2,975円で前日比-1,2%と下落していましたが、翌3日(水)は、取引が普段以上に活発となり、終値2,885円で前日比-3.06%と更に下落しました。
これは、決算短信で触れていた2022年12月期の見込みが、売上収益は1,990億円、前期比4.9%でプラスの予想ではあるものの、一方事業利益は、133億円、前期比△5.9%でマイナス、営業利益も133億円、前期比△5,1%でマイナス、当期利益も88億円、△9,9%でマイナスの予想と前期よりも悪い予想だったことが影響したと思われます。
メディアでも、2022年2月3日の日経新聞が、見通しが暗いことを報じています。
最後ですが、帝国データバンクによると、日本企業の平均年齢は37.5歳とのこと。
そのような中、カゴメは創業から100年を超える企業として、今も存在しています。
今後のカゴメは、どのような未来をイメージしているのでしょうか?
目指す理想像として、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」としています。
そして、2025年のビジョンとして、トマトの会社から野菜の会社になることを目指しています。
具体的には、事業領域をトマトから野菜に広げることで、国内の野菜摂取不足を解消し、健康寿命の延伸に貢献することを目指しています。
定量目標としては、2025年度連結売上収益は、2,120億円、連結事業利益は、150億円の達成を目指しています。
これを踏まえ、直近のデータである令和元年の厚生労働省の国民健康・栄養調査報告(※令和2年と3年は新型コロナウィルスの影響により調査中止)を確認すると、野菜の摂取量の平均値の目標値は、350g。実際の摂取量の平均値は、280.5gと目標値を下回っている状況です。
年齢階級別で見ると、男女ともに20~40代で摂取量が少ない状況です。
更に、食生活に与える情報源として、テレビの割合が多い結果となっています。個人的には、まだまだテレビの影響力が意外と強いという印象を持ちました。
また、健康な食習慣の妨げとなる点については、年齢階級別で見ると、仕事や家事、育児が忙しくて時間がないと回答して割合が際立っていました。
新型コロナウィルスで消費者の意識は変化した可能性もありますが、カゴメは、このような調査結果の中、どのようにして野菜摂取不足を解消し、健康寿命の延伸に貢献していくのか、今後の動向が注目です。
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