Stand by me 描クえもん 第10話
誰しも悩み、悩んだことによって自分の負けを許すのです。
【あとがき】
ところで、作中で描かれる主人公の仕事場は、僕が昔使っていた仕事場です。
当時の写真を参考にしながら描いています。
中古で買った築20年のマンションでした。
全10世帯と建物は小さめ、新築当時は高級マンションだったようです。
そのせいか住人は会社経営者や大学教授などハイクラスの人が多かったです。
その最上階に貧相な身なりの若い漫画家が引っ越してきたという状況でした。
管理組合の理事長に挨拶に行くと、こう聞かれました。
「職業はなんですか?」
「漫画家です」と答えるとしばらく考え込み、「字も書くんですか?」とさらに聞かれました。
「はい、字もまあ書きますね」
「では、他の住人には文筆家と紹介しましょう」
「はぁ…、文筆家ではないですね。漫画を描いています」
「それは言わないほうがいい。ここはちゃんとした人たちが住んでいます」
それまで賃貸契約では、漫画家を理由に物件を貸してもらえなかったことはありました。
収入が不安定ということで。
だけど、買っても言われるんだなぁ、と。
その後も何度か嫌な思いをしました。
その度に我慢しました。
マンションは10年前に売却し、今となってはそれも良い思い出です。
…って、そんなワケないだろ、差別するなよバカヤロー。
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