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SaaSプロダクトの開発を本格的に始める前にやったこと

初めてとなるSaaS(Software as a Service)プロダクトの開発(コーディング)を実際にはじめる前にやったことのまとめです。

いろいろ思うことがあって新規事業としてピュアなソフトウェアで勝負できるSaaSプロダクトをやりたいという想いは昨年後半くらいからあったのですが、実際にベットするアイデアに行き着いたのは年をまたいでからでした。

ただ、他のプロジェクトで開発チームのリソースが先月(2020年2月)末まで手一杯だったので、それまでの1ヵ月半くらいはほとんど自分一人で動いていました。

具体的にやったことは、

* ビジネスアイデアのブラッシュアップ(サービス展開や差別化戦略)
* マーケット調査や競合調査
* プロダクト名の決定
* ドメイン取得(.com ドメインを交渉で取得)
* ロゴ制作
* 商標登録出願と利用規約作成(弁理士/行政書士に依頼)
* 関連書籍購入
* 簡単なUIのスケッチ
* note開始
* SaaSやスタートアップに関するPodcastでインプット

など。それぞれ少し詳しく説明していきます。

ビジネスモデルを広く、深く考えた

まず肝心のビジネスモデルについてはベースとなるアイデアをもとに常に頭の中でそれをどう発展させるか考え続けていました。またこれは市場調査や競合調査と重なる部分も多いので、そういう面ではネットでいろいろ検索しながら事業展開や機能についていろんなことを常に考えていた、という感じです。結局今考えているビジネスモデルや差別化戦略の形に落とし込むまでには1ヵ月くらいあれだこれだと考えていたように思います。もちろんその間も開発チームとはこのSaaSプロダクトのアイデアについていろいろ壁打ち程度のディスカッションは社内でやっていました。

振り返ってみると開発チームが他のプロジェクトで忙しかったことで、先走って開発をスタートさせることなく、自分で一度じっくりいろいろ考える時間を持てたことはすごい良かったと思います。事実、その思考プロセスの中で戦略が変化しました。

プロダクト名を決めた

当たり前ですがプロダクトの名前は非常に大事です。自分の思考スタイルは、ずっと名前についてばかり考えるのではなく、時にはDropbox Paper(個人的によく使っています)に関連するワードをリストアップしてみたり、時には歩きながら考えたり、通常の業務の間のスポットスポットで少しずつ考えていた感じです。そしてたぶん今回は合計しても1時間か2時間くらいで最終決定に至ったと思います。一応発案も決定もほぼ自分一人で行いましたが、ある程度プロセスの中で社内の意見や了解を自然な形で得た上での決定です。

過去に複数の新サービスを作ってきた経験から、自分の中でプロダクト名を決定するにあたって抑えておきたいポイントがいくつかあるのですが、またそれは別のnoteにでも。

ドメインを取った

ドメインは実際にはプロダクト名を決定する大きな要素のひとつなので、プロダクト名を決定する時点で使いたいドメインが取得できるかどうかはあらかじめ確認しておくのがほとんどかと思います。自分たちの場合もとりあえず .app や .net、.io などが空いていることは確認しており、第一候補としては .app を使う予定でした。ただ、すでに第三者によって取得済みだった .com についてもダメもとで所有者にコンタクトして売ってもらえないかアプローチすることにしました。

今回は .com の所有者が使っているドメインレジストラーがGoDaddyだったので、GoDaddyのドメイン仲介サービスを利用して交渉することに。結果として合計3週間ほどかかりましたが、こちらがまあ許容範囲と言える金額で売ってもらうことに成功しました。ちなみにGoDaddyのドメイン仲介サービスは利用料として日本円で9,000円弱かかります。もし結果的に金額合意に至らなかったとしてもそのお金は返ってきません。今回自分たちはラッキーでした。(想像以上に安いという金額ではなかったですが。)

ロゴを作った

プロダクト名が決まれば、開発チームなしにできることのひとつにグラフィックデザイン関係があります。うちの会社では過去に何度も仕事を頼んでいるフリーランスのグラフィックデザイナー(ブラジル在住)がおり、いつも99designs経由で仕事を依頼しています。

今回もそのグラフィックデザイナーにロゴと簡単なブランドガイドラインの制作を依頼しました。プロダクトの内容やプロダクト全体に求める雰囲気(フィーリング)といったざっくりとした情報のほか、自分で書いた手書きの簡単なロゴの原案を共有しました。これがあったことで今回は比較的スムーズに制作が進み、2週間程度でロゴタイプとロゴマークのセット、それに簡単なブランドガイドライン(キーカラーのバリエーションやパターン含む)が完成しました。

商標登録の調査と出願

商標関係は以前自社の就業規則を作成いただいた社労士の方に紹介いただいた弁理士兼行政書士の方にお願いしました。

具体的には出願前の先行商標の調査および侵害可能性の調査、そしてそれらを踏まえて可能そうであれば商標の出願という一連の業務をお願いしました。

調査の結果完全一致の商標はなかったものの、類似の商標があり、一度拒絶される可能性はあるものの、反論も視野に入れてとりあえず出願はするということでGOしました。すべてメールでのやりとりでしたが、非常にテンポよく対応いただき、結果調査から出願までだいたい2週間程度で行うことができました。

今のところまだ出願の結果は返ってきていませんが、そのまま通れば登録完了、拒絶となれば反論という流れになるかと思います。

利用規約を作ってもらった

利用規約も商標と同じ弁理士兼行政書士に依頼しました。プロダクトや業種によっては弁護士に依頼すべき場合もあるかと思いますが、自分たちの場合はそこまでは不要という判断に至りました。過去に自分で利用規約を作成したこともありますが、めちゃくちゃ時間と労力がかかり、疲弊した思い出があるので、もう今回はお金で解決するという選択をしました。完成度的にもやはり専門家に任せる方が安心です。

網羅的なしっかりとした利用規約を作成するにあたっては、プロダクトがどういうものなのか、今後どういった機能を追加する予定なのかなどを説明し、想定する必要があります。そういった面からもしっかりビジネスアイデアを精査し、深く考える時間を経た上で利用規約の作成にとりかかる流れは良かったと思います。

タイトルでは作ってもらった、と書きましたが、実際はまだ完成しておらず、原案が送られてきてそれについて不安材料や懸念点などを再度メールで送って、今はそれをもとに加筆や変更を加えてもらうというプロセスの途中です。

ためになりそうな本をたくさん買った

自分たちのプロダクトを通して解決したい課題に関連した本をメルカリやAmazonで片っ端から書いました。合わせて20冊程度。一部はすでに読み終えていますが、まだ8割くらいは未読なのでこれから読んでいきます。

UIのスケッチを書いた

Sketch(アプリ)ではなく単なる手書きのものです。今や誰でも使えるプロトタイピングツールはいろいろあるのでそれを使ってもよかったのですが、めんどくさがりやの自分はいつもiPadのGoodNotesというアプリにApple Pencilで書いています。

MVPに必要なコンポーネントがある程度わかるレベルの非常にざっくりとしたものですが、開発チームが開発をスタートする時にベースとして参考になりそうなユーザーインターフェースのデザインをスクリーンごとに分けて書きました。

noteをはじめた

これは自分の中ではコンテンツマーケティング、インバウンドマーケティングという観点からはじめたことです。それに加え、ほんのちょっとだけ自分のための備忘録やセルフブランディングという側面も。あとは文章を書くということを習慣化したかったということもあります。実はnote以外のGhostなどのブログサービスも検討した(というか個人的にはそっちを使いたかった)のですが、日本語入力がイマイチだったりで結局日本ではnetwork effectの強いnoteを選びました。

今回のプロダクトは業界問わず結構幅広いユーザーに使ってもらえる可能性があるので、特にひとつの領域や専門性に絞って記事を発信しているわけではないですが、自分の中ではSaaSやスタートアップ、経営というドメインに関して発信すると同時に、自分の趣味でもあり会社の今までの主事業でもある旅行関係についてもぼちぼち発信していこうと思っています。なのでnoteでは主にこの2つのトピックについての発信を(できればWeeklyで)する予定です。

また、プロダクトのウェブサイトが出来あがれば、のちのち公式ブログも作ってそこではもっとプロダクトや解決したい課題、そしてプロダクト自体にフォーカスしたコンテンツを発信したいと思っています。これについては明確に個人のこのnoteと目的を分けるつもりでいます。

Podcastを聴きまくる

英語のSaaS系、スタートアップ界隈のPodcastをかなりの頻度で聞いています。Podcast自体は昨年の後半くらいから習慣的に聞いていて、今年に入って急に聞き始めたわけではないですが、よりSaaS系の割合が多くなったのは事実です。

Podcastは当たり前ですが画面をみたり文字を読む必要がないので隙間時間や何かをやりながらでも聞けるのが個人的にすごいハマっている理由です。自分は特に車での移動中やウォーキングしながら聞いています。そしてその中で特に文章にしてまとめたいと思ったものをnoteにするようにしています。(まだ頻度が少ないですが。)ちなみに今は英語ばかりで日本語のPodcastはまったく聞いていません。

こちらに個人的にオススメのPodcastをまとめています。

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逆にあまりやらなかったことの中に、ニーズのヒアリングがあります。そのプロダクトは人が求めているものかどうか、まずヒアリングから始めるケースは多いかと思いますが、今回のプロダクトに関してはすでに類似サービスが存在しており、彼らがある程度のユーザー数も獲得していることがわかっていたのでニーズのヒアリングはあまり行っていません。とはいっても知り合いに今使っているツールに不満があるか、ベターなものがあれば乗り換えるかなど、簡単なヒアリングは行いましたが。MVPが出来上がればヘビーにユーザーからのフィードバックを聞くつもりです。