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【感想】ガールズバンドクライ(第10話「ワンダーフォーゲル」)



以下、第十話全編の内容に触れていますのでご注意ください。

<前回の感想>

●冒頭

ライブを終えた後の仁菜たち。自分たちのグッズの売れ行きが芳しくないらしく、桃香は「本当に人気あるのか?私たち」と愚痴っている。(現実ではガルクラグッズが飛ぶように売れているというのに・・・)
ただ、ルパとのチェキは人気があるらしく、すごい数の女子に囲まれている。ハグとかしてるし・・・でもこれ、チェキ撮影じゃなくてグリーティングとかでは・・・?

上段右 グッズを売り込んでいるすばる、どう聞いても何かが一周回って「おかしくて仕方がない」みたいな笑い方にしか・・・
ルパにハグされて「もうお風呂入らない!」とか言っているファンに「頭から入れ!」とキレている智。嫉妬ですかにゃ・・・?(キショ笑い)

と、そこへスーツスタイルの女性が表れ、桃香に名刺を差し出してくる。

「株式会社ゴールデンアーチャー。 三浦潮美」

すばるが「芸能事務所!」と驚きの声をあげ、メンバーも反応。

一癖ありそうだな・・・

ここでOPへ。

●Aパート

サブタイトル

第十話のサブタイトルはくるりの「ワンダーフォーゲル」

ハローもグッバイも
サンキューも言わなくなって
こんなにもすれ違って
それぞれ歩いてゆく

https://www.uta-net.com/movie/37920/

爪痕を残せ!

名刺の女性、三浦氏と話す桃香たち。すばるいわく、けっこう有名な芸能事務所とのこと。バンドもいくつか所属しているということだが、レコード会社などではないようだ。

「実は私・・・ダイヤモンドダストが好きです!」
「ええ・・・?」

桃香の顔w

「でも、今のダイヤモンドダストが好きではないのです!
あれは元のバンドの良さが完全に失われています!
三浦は、桃香さんが大好きです!桃香さんが目指していた音楽をきちんと形にしてほしいと思ってます!それがこのバンドにはあります!」

なんか、誰かと同じようなこと言ってるな・・・あと「桃香さんが大好き」は別にいいけど仁菜との間に入るのはお父さん許しません。

熱意は伝わってくる

「ですよね!」
「いいから座れ・・・!」

ほらぁ・・・「誰か」が反応しちゃったじゃん・・・

すばると智のジト目が・・・

桃香は三浦氏に、以前のレーベルや事務所からは否定された自分の音楽で、仁菜たちと供に改めて挑戦したいという考えを話す。
現在の桃香のバンドに対する想いを、こうして改めて言葉で聞けるのは嬉しいポイントだ。

「だろ?(ばちこん☆)」桃香さん・・・(キュン)

「わかりました」
「はい?」
「今度のフェス・・・出るんですよね?」

フェスで爪痕残せ、か・・・」
「そこで目立てば、事務所だってレコード会社に強く売り込みやすくなる。ファンがたくさんついていれば、今の音楽性を変えずに行こう、って話しになる」
フェスのステージが最終オーディションみたいなもの、ってことか」

三浦氏からの条件というか提案的なものだろう。直近の目標がよりわかりやすく明確になった。
そして桃香は、新曲の歌詞を仁菜に書いてほしいと言う。

「見てみたいんだ・・・”私の歌”が書いた私の歌を」
「はい・・・!」

桃香の慈母のような微笑み、何?
嬉しそうな仁菜

おい・・・ちょっと待ってください・・・一旦カメラ止めて。
今、僕は冷静さを欠こうとしています。

桃香さん、皆の前で仁菜のことを「私の歌」って呼んじゃってるじゃん、、、、、ハァ?????!!!!!

仁菜も乙女の声「はい・・・!」じゃあないんだよ!!!!!

これさあ、ちょっとズレた例えだとは思うんですけど、洋画とかで恋人同士がポエミィに呼び合うときのさあ、「僕の子猫ちゃん♡」みたいなやつじゃあないの?????フレーバーとしては?????

微笑みをかわす二人

完全に二人の世界に入ってるって!!!!!

あああああああああああああああああああああ
狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂える
僕は!!!!!今!!!!!布団を殴っています!!!!!行き場の無い感情!!!!!

「わっけわかんないんですけど?」
「何言ってんの?」
「いいんじゃないですか?二人はわかっているみたいですから」

ほら・・・智すばの至極まっとうな疑問に対して地母神ルパ様(※筆者が勝手に言ってるだけです)がフォローしてくださってるじゃんか・・・
甘えるな!!!!!世間とメンバーに!!!!!

わっけわかんないのはこっち(視聴者)も同じです

両親、襲来

日は変わって、バイト中の仁菜、ルパ、智。
あれから仁菜の作詞は捗っていないようだ。

「わかってないなあ・・・」

「言葉ってさ、外にあるんだよ」とかなんとかもっともらしいことを言う仁菜。仁菜よりも曲作り(作詞もたぶん)してきた智はその上から目線に怒る。

おでこぐりぐりはトゲトゲの伝統です(しらんけど)

仕事に戻ろうとしたところ、仁菜のスマホにメッセージか何かの着信。

「なんでもない」とは言うが・・・

ちょうど入ってきた客の女性を見て、仁菜は驚いて身を隠す。

隠れる動きすき

身振り手振りでルパ智に助けを求める仁菜。

仁菜を尋ねてきた女性は、ルパのことも知っているようで・・・

帰宅中の仁菜。客の女性は仁菜の母親だった。姉にLINEで抗議する仁菜。母親が来ることは知らされていなかったらしい。

じゃあさっきの着信は母から?

自宅まで戻ってきた仁菜だが、家の前の人影を見て慌てて身を隠す。

ここの動きもすき

仁菜の父親、井芹宗男だ。仁菜はきびすを返して走り去る。宗男もその気配に気づいたようではあるが・・・

家の前で仁王立ちしている父親、イヤすぎる

すばるの家に避難した仁菜。「やっぱりここは落ち着くね~」と人心地ついた様子。しかしすばるからは「ちゃんと話した方がいいんじゃないの?」ともっともな意見。

実家のような安心感・・・なんだろうか

仁菜は「話が通じない」「作詞しなきゃいけない」と言うが・・・

「なーんか逃げてるようにしか聞こえない」

仁菜のスマホには、大量の未読のメッセージが。両親や姉からのものだろう。

「てか、今夜泊まってく?」なんだかんだすばるは優しい。前回は叩き出したのに・・・

翌朝・・・と過去最大級のクソデカフォント。
姉、涼音と電話で話す仁菜。さすがに第八話で書いた手紙だけでは、両親も納得しなかったようだ。

「本当に言いたいことがあるんなら、逃げてないで直接言いなっせ」

父親を警戒しつつ自室に戻った仁菜だが、なんと部屋の鍵を交換されてしまっていた。

不動産屋に抗議するが、仁菜は未成年であるし、保護者の意向が優先されたものと思われる。つまり新しい鍵が無ければ部屋には入れない。

「どいつもこいつも、どいつもこいつも~!」

ここの動きおもろすぎるって

牛丼屋で怒り狂う仁菜に、ルパが新幹線のチケットを差し出す。仁菜の地元、熊本までのものだった。ルパ智二人からのプレゼントだという。

「智ちゃんから少し聞いたかと思いますが、その日は家族に電話する予定があって、ほんのちょっとだけ仕事が長引いてしまって、明日でいいや、いつでも話せるって思ってました。
それが最後でした」
「え・・・」
「思っているより、時間やきっかけは無いものですよ
・・・自分語りはウザいですよね」

「自分語りは・・・」第七話でルパが仁菜に言ったことでもある

「智ちゃんから・・・」というのは、第七話で智が仁菜に伝えた、ルパの家族が事故で亡くなっているという話のことだろう。(そうなると、智はあの後どこかでルパに、勝手に話してしまったことを謝ったのだろう)

だれよりも重い、ルパの言葉

場面変わって、桃香に愚痴をこぼす仁菜。

「なるほど?仁菜にこんな弱点があったか」
「弱点でもなんでもないですよ」

前回ヘビのことをからかわれた意趣返し、というのも・・・なくはないかもしれない(ややこしい言い方)

てっててってて♪(ニャ~)すき

「ちゃんとしてこい」と言う桃香。仁菜が一番引きずっているのは「父親が味方してくれなかったこと」ではないのかという指摘に、仁菜は言葉を詰まらせる。
父親に会ってくるまでは家に入れないと言われた仁菜は、「行ってきます」と部屋を後にする。

少しギターをかき鳴らしたのは、桃香なりの見送りだろうか。

地元、熊本まで帰ってきた仁菜。ドリンクをあおり、小指を立てて自分を鼓舞しているようだ。

警戒しつつ実家の前までやってきた仁菜。

敷地内の植木の、飛び出た枝にぶつかる仁菜。痛そう。

敷地をまたぐ、一歩

玄関前でためらうように立ちすくむ仁菜。すると背後から両親が現れる。二人も、今の今まで出かけていたのだろうか。

「仁菜・・・探したぞ」

ここでAパート終了。

●Bパート

話したいこと

改めて、バンドのことを家族の前で話した仁菜。
姉が状況について補足してくれるが、発言としては中立的な感じ。

本物の「家訓」だ!(キャッキャッ

「受験するって家を出て、何の報告もなく勝手にそんなことやっていたのか」

タバコを吸っている宗男。一応、分煙になっているのだろうか

「お母さんが、どれだけ傷つくと思っている」という宗男の言葉に、仁菜は「トゲ」を放射する。

宗男の言葉に反発する仁菜。言い争いの形になってしまう。
宗男の言うことは正論のようでもあるが・・・

「だから言うこと聞けって言うんだ。いじめなんか無かったことにしろって言うんだ

ひときわ強烈なトゲの放射。おそらく仁菜にとって一番のわだかまりは、やはり桃香の言った通り父親が味方してくれず、いじめを無かったことにしようとしたところにあるのだろう。

灰皿にたまった吸い殻

話し合いを諦めようとする仁菜だが、そこで宗男が部屋から出てくる。

「明日出かける。仁菜も一緒に来なさい」

翌日。連れ立って・・・と言うには距離がある状態で、宗男についていく仁菜。行き先は明言されない。

電車の中でも、距離がある二人。
いや~・・・仲が悪くなくても、親子ってそもそもこんな距離感だったりもするよなあ~・・・

路面電車は、仁菜の通学ルートだったのだろう。制服姿の仁菜のイメージが、現在の仁菜と同時に画面にあらわれる。

行き先が、通っていた高校であるとわかった仁菜は「行かない」と言うが・・・

「もう話してあるんだ。
おまえが話したいことがあるように、私も話したいことがあるんだ」

父親とも、記憶の中の自分とすらも距離がある

結局仁菜は同行し、学校で校長と対面する。目の前に置かれたのは一枚の書面だ。

「なんですか、これ」
「仁菜さんも、暑い中大変でしたねえ」

校長は柔和な笑顔で対応しているが、仁菜の言葉に正面からとりあっていないようでもあり、それが学校そのものの仁菜に対する態度を象徴しているようにも感じられる。

書面の内容を一部抜粋してみる。

今回のいじめと思われる行為について、当初学校側では今回の経緯を把握しておらず、十分な対応ができなかったことを深くお詫び申し上げます。

続く校長の言葉からもわかるが、これは謝罪文ではあるものの何に対する謝罪かと言うと「いじめっぽいことがあったけど当初事態を把握してなくてゴメン」くらいのことでしかないように思える。
宗男もそう思ったのか、校長に疑問をぶつける。

「これだけですか?学校には責任が無いと?」
「そういうわけではありませんが、ただ学校としてはいじめという認識は・・・」
「私が言えたことではないのはわかってます。でも当時、学校はこの事実を本当は把握して・・・」

「やめて」と仁菜はそのやりとりを遮るが、宗男は「おまえは被害者なんだ」と言う。その言葉に仁菜は唇を固く結ぶ。

仁菜にとっては

このシーンだが、仁菜の立場を考えてみるとこんな内容の無い謝罪など何の意味もないし、どうでもいいのだろう。被害者扱いされたところで(実際にその通りだとしても)むしろ怒りがわいてくるのではないだろうか。仁菜の反応を見ると、そのように感じているのではないかと思えてくる。

それにしてもこの謝罪文、本当にふざけた内容だと思う。また一部抜粋してみる。

今後このようなことが起こらぬよう、誠心誠意心から学校全体として一丸となり、全力で努めるとともに、全校生徒一人ひとりが安心して学べる環境を整えるために全力を尽くして参ります。
今回の経緯を憂慮しながらも前向きにとらえ、協議を重ね上記目標を達成できるよう検討していきたいと考えます。

特に最後の一文はひどいが、よくもまあこれだけ中身のない言葉を羅列できたものだと思う。だが学校というところはけっこう真顔でこういうことを言ってくる。「いじめ探偵」で読んだからわかる。

今回までの色々な描写から、学校側は一貫していじめの存在自体を認めようとしなかったのだろうということがわかる。であれば、学校側が仁菜に謝罪すべきは「いじめを無かったことにしようとしてごめんなさい」という一点に尽きるだろう。仮にそれが実現したとしても、退学した今となってはもう遅いということにはなってしまうかもしれないが・・・

宗男の想い

さて宗男だが、このように学校側に謝罪文を出させたということは、少なくとも仁菜の退学以降に心境の変化があったということだろう。
当初、宗男は学校側と同じくいじめの存在を認めようとしなかった・・・と言って言い過ぎであれば、少なくともいじめの存在を認めないという学校側の見解に同調していた。(先の「私が言えたことではない」というセリフはそこらへんを指しているのだろう)
宗男がそのような態度をとった理由みたいなところは、作中で明快な説明は無かったように思う。なので憶測にはなってしまうが、

・カリスマ教師として仁菜の不登校を受け入れられなかった(第七話の涼音のセリフより)宗男は、その原因であるいじめの事実も同様に認められなかった。
・いじめの事実は宗男も認識していたが、学校側が頑なに事実として認めようとしないことがわかると、娘の今後(進学など)のために、いじめを交渉材料として利用する方向に舵を切った。
・仁菜がいじめられているという現実と、仁菜がそのような被害に合う理由がわからず、わからない→あり得ないこととしてその現実が認めがたい、という矛盾する認知を抱えたいわゆる認知的不協和のような状態にあった。

などのパターンが考えられるかと思う。
正解はわからないが、いずれにしても仁菜に対して宗男が「いじめを無かったことにしろ(我慢しろ)」と強いたことはこれまでにも描かれてきた通り。

だが、第八話の手紙がきっかけとなったのか、それとも仁菜がいなくなった生活の中で、宗男の中に徐々に生まれた変化なのかはわからないが、宗男は自身の行動を振り返り、反省か後悔、あるいはその両方か・・・があって、自身の考えを改めるに至ったのだろう。この後のシーンにはなるが、涼音から見てもそういった葛藤を覗かせる部分があったようだ。

一方その頃

仁菜について話しているすばると桃香。

「もし、熊本から帰ってこなかったら、どうする?」
「なるようになるさ」

「なるようになる」と言いながら、一音だけ強く弦を弾いたところに、桃香の本心が表れているように思う。

智は、飲み物のカップを落として割ってしまい、どこか呆然としている。心配するルパの声にも反応しないが、そんな智をルパはそっと抱きしめる。

「大丈夫・・・信じましょう」

せっかく「本気」を分かち合える仲間に出会えたバンドだから・・・

ありがとう、生きててくれて

帰宅した仁菜。宗男の姿はない。一足先に仁菜だけ戻ってきたのだろうか。「晩ごはんは食べる?」と尋ねる母親にも反応せず、沈んだ様子のまま。

部屋にいると、姉の涼音がやってくる。

「バンド、ほんとにやるんだ」
「うん」
「そんなに好きなの?」

第七話でもそうしていたように、膝枕をしてくれようとする涼音だが、仁菜は首を振る。

「あの曲は・・・押してくれたの。私の背中を」

あの曲というのは「空の箱」のことだろう。仁菜は語り始める。

仁菜にケガを負わせた生徒と、お互いに反省文を書くことになっていた(第八話の回想より)

「我慢しろ、それが頭のいい人間だって言われて、ムダなんだ、我慢するしかないんだって思っていた私の背中を押してくれた。
間違ってないんだったら、我慢なんかするなって。先のことなんか考えるなって。思いっきり飛べって」

「それが、奈落の底に落ちてるのか、大空へ向かって飛んだ瞬間なのかはわからないけど、私は、あの歌で飛べたの。だから帰る地面はないし、もう戻りたくもない」

「落ちてるのか、飛んだ瞬間なのか」というのは、「それが正しいのかどうかは確信も保証もない。わからない」といった意味だろう。だが、以前の自分には戻れないし、戻りたくもない。
そして「飛んだ」というのは、今までの自分を捨てて、受け入れられないものに「NO」を突きつけた・・・仁菜が生まれ変わったその瞬間のことだろう。

「私は・・・あのときの私は、自分を殺そうとしてた」

ショッキングなセリフだ。これはなにも即物的な意味とは限らない(かと言って「即物的な意味ではない」と言いたいわけではない)と思うが、筆者の考えでは、人間の尊厳とは命にも等しい。仁菜は、どうしても受け入れられないことを飲まされそうになっていた・・・つまり尊厳≒自分の心を殺そうとしていた、そこを「空の箱」に、桃香の曲に救われたということなのだろう。

ここの一連のイメージは、第一話冒頭のこのイメージともつながる。

「翼なんか無いかもしれないし、飛んでるって思い込んでるだけかもしれないけど・・・でも、今の私が一番好き。胸張って言える。これが本当の私だって」

仁菜の顔に、涼音の涙が一滴こぼれる。

「わかった。でもごはんだけは食べていきなよ」

お姉ちゃんの涙声がまた、ね・・・(筆者号泣)

とても感動的なシーンだと思う。鈴音の涙が仁菜の頰をつたって流れていくところは、まるで仁菜が流した涙のようにも見える。
鈴音は仁菜の話を聞き、仁菜の痛みを自分のことのように感じて、仁菜のために涙を流したのだろう。そういう意味では、これは仁菜の涙でもあると思う。そういう演出ではないだろうか。
それと、「ごはんだけは・・・」というのも、家族の愛情を感じさせるセリフだ。日本人は「アイラブユー」的なことはあまり言わないが、「ちゃんと食べてるのか」みたいな「食事≒健康」を気遣う言葉がそれに相当するのではないかと思うので・・・

姉妹向かい合っての食事。「辛子蓮根カレー」は井芹家では定番メニューっぽいが、現実の熊本においてポピュラーかというと、Twitterで色々と熊本県民の証言を見る限りはどうもそうでもないらしい。

姉妹の部屋、二段ベッドで区切って使っていたんだね

仁菜は家訓(食事は家族揃って)を気にするが、涼音は笑って大丈夫だと言う。

あんたが出ていってからさ、なんかヘンな感じなんだよね。
この前も、お父さん得意でもないお酒飲んじゃうもんだからさ・・・酔いがまわっちゃって、どうしたらいいと思う?だってさ」

「心配してたんだよ。それと、教育者としてそれなりに有名なのに、あちこち聞きにいったり、アドバイス求めたり」

さらに、ルパから渡された新幹線のチケットも実は母親がルパたちに託したものだったということもわかる。

「あんたはさ・・・愛されてるの。あんなだけどお父さんたちは、間違いなくあんたのことを愛してる。それだけは忘れないで」

涼音の言葉に涙ぐみながら、カレーを食べる仁菜。それを笑顔で見守る涼音。

「ありがとう、生きててくれて」

「私も愛してるよ、仁菜」

「日本人はアイラブユー的なことはあまり言わない」ってさっき言ったそばからこれだよ!!!!!(号泣)

「辛いなあ・・・こんなに辛かったっけ、お母さんのカレー・・・」

涙が出るのは、きっとカレーが辛いせい。
仁菜にそっと寄り添う涼音。

「行ってきます」

翌日の早朝なのだろう、まだ誰も起きてきていないリビング。
幼い日の成長を刻んだ柱に触れる仁菜。

「家」との別れを惜しむようにも

ふと「空の箱」が聞こえてくる。自分のスマホからかと慌てる仁菜だが、音は玄関脇の部屋から聞こえるようだ。

耳をすますと、ふすまの向こうから宗男の声。

「好きなのか?この曲」

「うん・・・」
「そうか」
「イヤ?イヤだよね・・・」

じわり、とトゲを放射する仁菜。しかし・・・

「いい曲だな」

「いい曲だ・・・」

ふすま越しに、仁菜は宗男に語りかける。

「言うこと聞かない、わがままばっかりの娘で、ごめんなさい
・・・タバコ、少しは減らしてね

家を出る仁菜。トゲを放出しながら・・・

(行ってきます。行ってきます。行ってきます)

カメラが、仁菜が通り過ぎたところの植木の枝にフォーカスする。
ここについては、智のCVを務める凪都さんのツイートを勝手ながら引用したい。

これも「愛」のひとつのあらわれだろう。

その背中に声がかかる。宗男が追いかけてきていた。立ち止まるが、振り返らない仁菜。

「なん・・・?
まだ何かあると・・・?」

何を言われるのか、と身構えた様子の仁菜。「何を言われても出ていく」という覚悟を決めた表情にも見える。しかし・・・

「行ってらっしゃい」

「うん・・・」

さらに、姉の呼ぶ声に振り返ると、何かが飛んでくる。

「アパートの鍵!」
「鍵・・・?」

そこには姉と母もいて、家族が揃っていた。

「なんで・・・?」
「お父さんから!」

仏像キーホルダーまでつけてくれている

涙を浮かべ、鍵を握りしめると仁菜は振り向いて駆け出していく。

「お父さん!」

駆け戻り、父の胸に飛び込む仁菜。

「私の作った歌、今度歌うから、もしよかったら聞きにきて」

「わかった・・・」

父の胸から、自分自身をもぎ離す仁菜。振り向くと、小指を立ててはっきりと伝える。

「行ってきます!」

駆け出す仁菜。

「枝もありがとう!」

枝、ちゃんと気づいてたんだな・・・
「行ってらっしゃい!」見送る姉の後ろでは・・・

「おせっかいで、せからしくて、歯がゆかったけど、大好きだった。バイバイ。またね」

仁菜にとって、改めての「別れ」であり、しかし「再会」もまた未来に待っている・・・そんな、改めての「旅立ち」だろう。

「ただいま」

新幹線。眠っている仁菜。窓際に置かれたスマホには、おそらく新しい曲の歌詞が記されている。

「あら、またあんた・・・よく眠れたかい?」
「はい!」

第一話で仁菜を起こしてくれた掃除のおばちゃんが、まさか仁菜のことを覚えていてくれたらしい。

電車に揺られる仁菜。その表情は晴れやかだ。
すぐ近くに制服姿の二人組がいる。以前は仁菜の境遇との対比として制服姿の学生が描かれている(と思われる)場面も何度かあったが、今の仁菜は気にする様子もない。

ちなみに新幹線~電車のシーンは、構図的にも第一話との対比になっているのだろう。

第一話← →今回

東京(神奈川)に戻ってきた仁菜。

「空の箱」をハミングしていると、道行く人が仁菜の方を見ていく。
この場所は、仁菜が桃香と初めて出会った場所であり、桃香と二人で「空の箱」を歌った場所と同じ・・・紆余曲折を経て、始まりの場所へ戻ってきたわけだ。

「仁菜!」

桃香の声。振り向くと、そこにはトゲナシトゲアリの面々が揃っていた。

「お土産は?」
「ウソ・・・どうして・・・」
「桃香さんが、絶対ニーナは帰ってくるって聞かなくてさ~」
「もう一日遅かったら、熊本まで皆でドライブさせられるところでしたよ」
「バッ、、、」
「なんなら自分で運転するって言い出すし?」
「カ、、、」
「ルパさん大活躍するところだったわ~」

すばる、それは言い過ぎだ・・・車がオートマなら大丈夫なんだ、たぶん

桃香さん、すばると喋ってたときは「なるようになるさ」とか言ってたのにその直後にはメンバー全員にそんな話を・・・?萌えキャラすぎて吐きそう。砂糖とかを。

「みんなも賛成してただろ!?
・・・つか、泣いてるのか・・・あれ、泣いたうちに入るだろ」
「ええ~?泣いてないでしょ。ルパさん、どう思う?」
「う~ん、そうですね・・・」

ここのやりとりだが、あのさあ・・・
これ絶対、『仁菜を迎えにいって驚かせてやろうぜ。そんであいつが泣くかどうか賭けようぜ』みたいな話をしてたってことじゃないの?????
こ、こいつら!!!!!

そんなことに気づいてか気づかずか、仁菜は涙をぬぐってメンバーに言う。

「ありがとう、みんな」

「ただいま!」

「「「「おかえり」」」」
「ちゃんとできたか?」
「はい、できました・・・いい歌が!」

●ED

エンディング映像で、宗男たちが映るこのカットに注目してほしい。


「タバコ、少しは減らしてね」

●全体的な感想

家族・・・特に父、宗男との問題に向き合うという、仁菜にとって避けては通れない試練の回でしたね。
今回で宗男とのわだかまりがすべて解消したのかというと、必ずしもそういうわけではないのかもしれない。
ただ、重要なのは「空の箱」についての「いい曲だな」という宗男の言葉や、「タバコ、少しは減らしてね」という仁菜の言葉が象徴していたように、お互いが少しずつ歩み寄ったということが大事なんじゃないかと。

それにしても、最終的にはああやって送り出してくれたのだから、理解ある家族だと思いますよ・・・高校中退した娘が大学進学をやめてバンドに賭けようとしてるんだぜ???
そこらへん、仁菜の状況をいちばんわかってくれていた涼音が両親にはたらきかけたという部分も大いにあるのかもしれません。

第一話から今回の第十話までを経て、スタート地点に戻ってきた仁菜ですが、以前と同じ仁菜ではない。成長も変化も様々に感じられる、そんな回でした。

ただ、こうなってくるとこのあとフェスに向けて、どのような障害なり試練が仁菜たちを待ち受けているのかはまたわからなくなってきたように思います。
これまでは、メンバー間のコミュニケーションの問題や、井芹家の問題が待ち受けているだろうなあということはある程度予想が立ったわけですが、一応そこらへんが一通り描かれたわけなので・・・
あとはすばるの進路のこととか?無くはなさそうだけどまた急にその話になるかなあ、というのもあるし・・・うーむ。

今後の読めない展開に期待しつつ、最後に今回の「一生見てられる仁菜の動き三選」をピックアップしたいと思います。

・牛丼屋で隠れる仁菜

・電柱に隠れる仁菜

・牛丼屋で怒れる仁菜(と、びよんって出てくる智)

それではまた!


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