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2019-09-16 政則 十番勝負「メタル・ゴッド vs 声優」

※このレポートはメモと記憶に基づいたものであり内容や出演者の方の発言の正確性を保証するものではありません
※章題は筆者が勝手につけています。
※文中の注釈は主にWikipediaからの引用です。

会場:渋谷タワーレコードB1 CUTUP STUDIO

●開演

座席は全部で200席くらいでしょうか。筆者は後ろから2列目の座席でした。時間になるとまずはスタッフさんから諸注意があり、呼び込みで伊藤政則さんが登場。会場からは拍手。
伊藤さん(以下:い):政則十番勝負もラウンド3・・・3日目です。10回連続でやるのは大変で、5・5に分けても、要所で難関があって→笑い
その峠を越えられるかどうか・・・パート・ワンの最難関が今日です→笑い&拍手
なぜかわかりますか? ・・・(すみぺの)お付きの人の数が多いんだよね→笑い&拍手
LOVEBITES(※前日のゲスト)、和田誠(※前々日のゲスト)、明日は大貫(憲章)・今泉(圭姫子)・・・(お付きがそれぞれ)一人とかね。セーソク・チルドレン(※さらに翌日のゲスト)は(お付きが)誰もいない→笑い
ふつう、(開演の)40分くらい前に楽屋に来てもらって、『どうも』とか話すけど、(すみぺには)お会いしたことないので、あーだこーだ言うのは嫌だから、20分ぐらい前に降りて来て頂いて・・・なんて言ってたら、来た感があるのよ。→笑い
ざわざわざわざわ・・・って・・・・分かる? 人の数が多いなと。→笑い
いや、大丈夫かな・・・って。ホント、そういうのあるんだよ。
最近でも・・・外タレでもこのレベルになると、ミック・ジャガーレベルだから→笑い&拍手(※「ローリング・ストーンズ」のボーカルとして世界的に有名)
ジョン・ボン・ジョヴィもこんな数いないから→笑い(※ミュージシャン。ロックバンド「ボン・ジョヴィ」のリーダー)
メタリカラーズ・ウルリッヒ(※アメリカ合衆国出身のヘヴィメタル・バンド。世界的に最も成功を収めたメタルバンドとして知られる)とかも全然いない。ひょっとしたらエアロスミススティーヴン・タイラー(※アメリカ合衆国のロック・バンド。映画「アルマゲドン」の主題歌「ミス・ア・シング」あたりは聞いたことある人も多いのでは)とか・・・そのくらいの方をお迎えしなきゃいけないので、難関の感じがひしひしと来てるんですよ。
では今日のゲストをお迎えします・・・上坂すみれさんです。→拍手
※ということで、客席の期待を大いに煽る口上からの呼び込みで、すみぺが登場されました。

●すみぺ登場

すみぺ(以下:す):は〜い、初めまして、上坂すみれです!よろしくお願いします!→拍手
い:お座りください。
す:失礼します。
※ここでお二人、ステージに用意されていた椅子に着席されました。
い:どんな格好で来るのかなと思ってたんだよね・・・わりと、飲まれた。よくそういう格好はするんですか?
※この日のすみぺは、あまり他イベントなどでは観られないTシャツ・ショートパンツという比較的ラフなスタイルでした。
す:今日はメタルのトークショーということで・・・普段の衣装はワンピースとかスカートとか・・・ T シャツでっていうことはないので・・・
しかもこれは、ファンの方から頂いた人間椅子のTシャツで→笑い(※「人間椅子」は日本の3ピース・ロックバンド。すみぺはラジオや雑誌の対談で共演したことも)
い:自分で買ったんじゃないの? 鈴木くん(※人間椅子のベース/ボーカルの鈴木研一)かわいそうだね→笑い&拍手
す:すごくデザインが素敵で・・・自分のライブのリハーサルなどで愛用させて頂いています。
い:それを、ついに今日はステージで。
す:Tシャツで皆さんの前に出るのは緊張するんですけど、フェスにいる人のコスプレということで・・・
い:なるほど・・・
す:そうなんです。
い:じゃあ、今日はよろしくお願いします。
す:よろしくお願いします!→拍手

●すみぺ召喚の裏話

※ここですみぺが挙手しました。
す:え〜・・・あのですね?
い:いいよ、大丈夫だよ。
す:質問なんですけど・・・わたしは、何で呼ばれたんでしょうか→笑い
い:ああ、なぜ十番勝負のゲストに、ってこと?
す:わたしが、なぜこの神聖なラインナップの中に・・・特にメタルの活動をしていないような人間が急に放り込まれていたので、とてもびっくりしてしまいまして。
い:そうだろうね・・・じゃあ、答えをお教えしますよ

※ということで、いかにしてすみぺをゲストとして呼ぶことになったのか、その経緯が伊藤さんから語られました。
い:十番勝負にどういう人を呼ぶか、紙に書いて・・・ここの8階にオフィスがあるんですけど、そこで提示したんですよ。ここのイベントだけでなく、去年メモラビリアというイベントもやったんですが、その担当の谷さんっていう人がそれを見て、『伊藤さん・・・代わり映えしないね』って→笑い&拍手
伊藤のよく知ってる人、呼べますよという人・・・『な〜んかなあ・・・』っていう感じで。
で、出直して。元ニッポン放送の亀渕昭信さんとか、ハードルの高いところを適当に書いて。そしたら『あ、まあまあいいね』・・・なんか足りないと。→笑い
何かが足りない・・・で、そんなときに、上坂すみれって『ヘドバン』(※ヘヴィメタ中心の音楽誌)のインタビューで→笑い
す:ああ〜!
い:メタル好きって言ってたけど・・・っていう空気になったんだけど、俺が『待て』と。ライン(繋がり)が無いから、呼ぶのは難しいんじゃないかと。で、どうのこうの言ってるうちに『いや、伊藤さん、声かけてみてよ』という空気になってしまいまして。でも声優知らないしなあ・・・なんて思っていたら、たまたま、上坂さんがキングレコードに所属されているということを思い出して。
す:はい、そうですね
い:上坂さんとはまったく関係ない、キングのヘヴィーメタル担当のサイトウくんっていう人がいるんですけど、『上坂すみれさんを十番勝負に呼びたいんだけど、スケジュールが空いてるか聞いてくれよ』って→笑い
す:なるほど〜!
い:それで(サイトウ氏が)『えっ!?』ってことになって。色んなこと言ってやってもらって・・・そしたら驚いたことに、この日が空いていると。つまり、今日(イベント当日)しか空いてなかった。ピンポイントで、この日なら出られるという返事が来まして。
す:ありがとうございます
い:すぐおさえましたよ!→笑い&拍手
す:あぇあ〜・・・そうだったんですね・・・!
い:他(ゲスト)はぼんやりしてましたけど、スタッフが『月曜の祝日なら来られるらしいよ』書いておこう書いておこう、って→笑い(※予定表的なものに、というニュアンスだったと思います)
い:決定決定!ここ(すみぺの予定)はもう動かすな!って

●その頃すみぺは

※一方、すみぺサイドはこの話を受けてどうだったのか・・・という話題に。
い:上坂さんも、事務所の方からこういうトークショーがあるって言われたと思うんですけど、何て言われたの?
す:このようなイベントの依頼が・・・
い:企画書?
す:企画書が。わたし、伊藤政則さんってライナーノーツ上の存在だと思っていて・・・
い:いや生きてるよ!→笑い&拍手
そういう存在じゃないから・・・w
す:メタルのCDを買うと必ずライナーノーツに名前が・・・『伊藤政則』という集団だと思ってました→笑い&拍手
い:嬉しい! ヒプノシスみたいだよ・・・ワーオ!(※「ピンク・フロイド」「ジェネシス」「レッド・ツェッペリン」といったアーティストのカバーアートを創作したデザイン・アートグループ・・・のことかと)
す:まさか実在の、一人の人物だとは・・・
い:だから生きてるってw→笑い
じゃあ、顔を見たことも無かったの?
す:イベントのお話を伺ってから、インターネットの番組などをやられていると知って、お顔があるということを知って・・・→笑い
い:名前だけしか知らなかったんだ
す:イケてる文章を書いている謎のクリエイター集団だと・・・
い:俺、ヒプノシスなんだよ!→笑い&拍手

●美肌、オズフェス、そしてお父さん

※共演が決まった後、すみぺから見た初・伊藤政則の印象が語られます。
い:じゃあ、YouTubeか何かで、『この人が伊藤政則か』というのを見たときに、最初の印象はどうでしたか? たとえばタヌキに似てるとか?→笑い&拍手
す:タヌキに似てる?www
い:どういう印象でした?
す:このメガネの形が、すごく・・・
い:ああ、メガネくんですか!
す:メガネくんwww
あと、こんなにお若いんだ、っていう・・・
い:ああ〜、まあ、それはウソですけどね→笑い
す:何年から活動されてますか?
い:君が生まれる前からですよ
す:私が1991年生まれなので
い:91年だから、もうソ連は存在しないね→笑い
す:わたしが生まれた1週間後に崩壊してしまったので・・・
い:活動は長いですよ
す:こんなに肌がつるつるなのすごいですね・・・
い:肌ツルね→笑い
す:トゥルットゥル・・・
い:けっこう(初対面の人を)そういうところで見るの?
す:美肌だなあ、って・・・→笑い
い:例えば、キングレコードで「新しく入ったプロデューサーのナントカです」「あ、肌の艶いいな」って、そういう見方するんですか?
す:肌の艶で人を判別しないですけど、伊藤さんは大ベテランの、こう(空中に三角形を描いて)メタル界の三角形の一番上にいる方だと思っていたので
い:ピラミッド?
す:ヒエラルキーの・・・なので、こんなにお若い・・・おいくつでいらっしゃるんですか?→笑い
い:トシですか?
す:秘密・・・?
い:いや全然。きみのお父さん・お母さんよりもっと上ですよ。当然でしょう。
す:インタビューとか、色んな人に会っているから、お若い感じでいられるのかなって・・・
い:そうかもしれない・・・

※すみぺが感じた「若さ」は、肌のことだけではなかったらしく・・・
す:(伊藤さんの服を指して)こんな幅広のズボンを・・・
い:幅広のズボン。これですか?→笑い
え、これ、(アリナシで言うと)無い!?
す:幅広のズボンと、先のとんがった靴・・・このサイケデリックなシャツ・・・→笑い
い:でも、これ(シャツ)は2019年モデルだよ
す:そうなんですね!
い:別に1968年に買ってあったやつじゃないから→笑い
靴も、めったに履かないんだけど・・・すみれさんが、今出てらっしゃるファッション誌の『装苑』でフォトセッションやってたよね?
す:あ、読んでくださって・・・ありがとうございます
い:ああいう衣装を着てくるだろうと思って、奥の院から出してきて→笑い
す:奥の院からw
い:だけどそういう格好(Tシャツにショートパンツ)だからまったく合わなかったよ→笑い&拍手
い:きっとカラフルな衣装だろうと思って、足いてえからこれ(靴)あんまり好きじゃないんだけど、(すみぺの雰囲気に)合わせたいなと思ったら・・・これかよ!→笑い
合わねえじゃん、って・・・
す:わたしがオズフェスで見た人のコスプレです(※オズフェスト:ヘヴィーメタルやハードロックのバンドが出演するロック・フェス)
い:ああ〜!

※そのオズフェスの話から、アニソン界に存在するらしい「メタルの巣窟」の話に。
す:オズフェスに人間椅子さんが出ていた年に行きまして、オジー(※オジー・オズボーン。後述するバンド「ブラック・サバス」のボーカル)も好きなので、遊びに行ったんですけど、たしかそのときメタルのフェスが初で。
い:どんな人いました?
す:外国の方が多かったです。(身長)190cmくらいある方が、朝からがんばってたのかチキンを食べながら眠ってる・・・→笑い
い:酒飲んで酔っ払ってたんじゃないの?
す:丸くなって寝ている人と、モッシュして乱舞している人と・・・あと、下を向いてノッている人と
い:それ、普通。→笑い
フェスだからね。
す:人によって楽しみ方が違うんだと思って、びっくりしました。
あと、女の子もけっこういるんだと。心強いと言うか。実は女性声優さんにも、メタルが好きな方がいて
い:具体的には?
す:「バンドリ」っていう、女性声優が楽器を持って・・・
い:ああ、やってるね
す:ご存知ですか? ・・・わ、バンドリのライナーノーツ書いてほしい・・・→笑い&拍手
(笑って)あははwww
い:「あはは」じゃないよw
す:え〜、そうなんですね!
ドラムをやってらっしゃる、大橋彩香さんという、同い年くらいの方と、たまたまノットフェス(※アメリカのヘヴィメタルバンド、「スリップノット」主催によるロック・フェスティバル)の会場で会ったり。
い:へぇ〜
す:スリップノットとかがお好きらしく。
い:声優さんやアニメと、ハードロック、ヘヴィ・メタルってけっこう親和性があって・・・上坂さんはランティス(※アニソン音楽レーベル)からなにか出してますか?
す:ランティスから・・・
い:井上くん・・・Pocky(ポッキー)っていう、今社長やってるんだけど、(※井上俊次。ロックバンド「レイジー」の元メンバーで、ポッキーはニックネーム。ランティスの社長→バンダイビジュアルとランティスの統合により新会社「バンダイナムコアーツ」の副社長に就任)影山くん(※影山ヒロノブ。アニソン・シンガーであり言わずと知れた「JAM Project」のリーダー。井上氏と同じく元「レイジー」のメンバー)とか・・・
す:あ〜、JAM Projectの・・・
い:そうそう!
す:JAM Projectさんは、この前ちょうどアニサマという、(さいたま)スーパーアリーナでやってる・・・
い:あそこが、アニメ界のヘヴィ・メタルの巣窟みたいなところで
す:ランティスが・・・
い:Pockyとか影山とか、あのへん
す:影山さんはメタルの人だったんですね
い:元「レイジー」っていうバンドのボーカルで、「赤頭巾ちゃん御用心」とか→笑い(※レイジーの3枚目のシングル。レイジー初のヒット曲だったそうです)
す:ああ〜、お父さんが聴いてました
い:またお父さん!?→笑い

※しばしば話題に出るすみぺのお父上について、伊藤さんはただ者ではないと睨んでいる様子で。
い:待って、お父さんってロックファンだよ。ピンク・フロイド(※イングランド出身のロック・バンド。 プログレッシブ・ロックの先駆者としても知られる)のCD持ってたんでしょ?
す:うちに、コロって落ちてたんです。
い:いやコロっと落ちてないよ!→笑い&拍手
す:全国民に有名なバンドだと・・・
い:いや全国民が知らない。
す:あの、プリズムからふぁーっと(光が)出ていく絵(※アルバム「狂気」のカバーアートの話)はみんな知ってるものだと・・・そうでもないんですね
い:たぶん(客席)前5列くらいの人は知ってるけど、今日来た人の半分くらい知らないと思いますよ→笑い
す:わたしはラジオでもかけたりしていて、みんな喜んでくれるので・・・
い:でも、お父さんはレイジーを知ってて、ピンク・フロイドの「ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」(※「狂気」の原題)を持ってるって、通りすがりの音楽ファンじゃない→笑い
す:そうなんですか・・・
い:一回お父さんと根つめて話してみたいね→笑い
す:小一時間ほど・・・
い:小一時間w

<「狂気」のジャケット>

●忘れられたBEATLES

※このへんですみぺが初めてメタルに触れた頃の話題に。
い:(すみぺにとっての)メタルの始まりは、ブラック・サバスらしいですね。(※イングランド出身のロック・バンド。幾度もの変遷を経ながらも約50年に渡って活動している)
す:わたしの場合、最寄りの駅にTSUTAYAさんがありまして・・・
ビートルズをすごいオススメされたんです。
い:誰に?
す:声優になったばかりのときに、そういう先輩がいらっしゃって、「ビートルズを聴かないと絶対ダメだ」みたいな・・・(※説明不要かもですが・・・「ザ・ビートルズ」はイギリス・リヴァプール出身のロックバンド。20世紀を代表するアーティストの一つ)

(※2021-02-25追記
音楽ナタリーに公開された下記の記事によると、この「先輩」は故・櫻井孝昌氏だったようです)

2010年頃に、アシスタントをやっていた「TOKYO No.1 カワイイラジオ」のメインパーソナリティを担当していた師匠的な存在の櫻井孝昌さんに「ハロコン」(ハロー!プロジェクトのコンサート)に連れて行っていただいて、ハロプロ好きにもなりました。それと櫻井さんはすごくオーソドックスな音楽好きな方だったので「偏った音楽もいいけれども君はThe Beatlesを聴きなさい!」とアドバイスもくださって、私は「はい、わかりました! The Beatles必ず聴きます!」と約束してTSUTAYAの「B」のコーナーに行ったんです。
引用元:音楽ナタリー「アーティストの音楽履歴書 第33回 上坂すみれのルーツをたどる」


い:そういう先輩って必ずいるよね→笑い
す:www
い:ビートルズだからまだいいけど・・・
す:それで、ビートルズが「B」の棚にあるわけですけど、「あ〜ビートルズどこ、ビートルズ・・・」って探してたら、手書きのすごいポップがあって。
「君はブラック・サバスを聴いたか!!」みたいな・・・→笑い
「そこの若者よ!」「ブラック・サバスを聴いたのか!」「パラノイド(※ブラック・サバスのセカンドアルバム)を聴いたのか!」「この衝撃! 21世紀にも薄れること無い・・・」みたいな、激アツなポップがあって。
「ん? パラノイド・・・ビートルズじゃないけど・・・」「おもしろいジャケットだなあ、人がファファファ〜ってなって・・・」(※画像参照)
い:はいはい、はい・・・
す:この(ジャケットに描かれている)人がオジー・オズボーンなのかなあ・・・誰だろう・・・とか→笑い
でもこんなにおすすめされているので、いいアルバムなんだろうと思って、「パラノイド」を・・・
い:借りたの?
す:すっかりビートルズは忘れて・・・→笑い
で、借りて聴いたらすごくびっくりしまして。
い:どういう?
す:1曲目が、「ウォー・ピッグス」でしたっけ・・・ゆっくりゆっくりした曲。
い:はい。
す:当時、大学生くらいで、2010年とか11年くらいだと思うんですけど、BPMの速い楽曲が多かったんですよ
い:はいはい。
だからああいうどろーんとした・・・
す:リズムの繰り返し、みたいな・・・(「ウォー・ピッグス」のリフを歌って)♪じゃ〜んじゃ〜ん、じゃんじゃんじゃ〜ん・・・
い:おお、歌ってるねえ→笑い
す:♪じゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃん・・・
うわ〜、ゆっくりだけど全然飽きないし、この闇のメロディはなんだろうって思って→笑い
すごく惹きつけられて・・・
歌い方もエコーがかかって、もわ〜っとしているけど、声が素敵だなと。
い:オジーのね?
す:声がセクシーな感じだし、繰り返してるのに飽きがこないし、ずっと聴いていられて、すごい! と思って・・・
「パラノイド」はCDコンポで繰り返し聴いて、結局後で買いに行ったんですけれども。
い:あ、レンタルではダメだと・・・そばに置いておきたいと!
す:そうです、それが初めてのメタル体験でした。

<「パラノイド」のジャケット>

※すみぺのメタル遍歴の話題が続きます。
い:じゃあ、ブラック・サバスの次はどういうステップを踏んでいったんですか?
す:メタルというジャンルがあるみたいだと知って・・・
い:どこで?
す:ブラック・サバスを調べてたら、ハードロック、メタルの草分け的な存在と知って。「あーWikipediaに書いてある」と・・・→笑い
関連するアーティストとして「アイアン・メイデン」「ジューダス・プリースト」(※どちらもイングランド出身のヘヴィーメタル・バンドで、どちらもブラック・サバスらと並ぶ、最も著名なHR/HMバンド)と書いてあって、「あーこういう仲間がいるのか」って→笑い
みんなかっこいい名前だなあ・・・と思って「ジューダス・プリースト」を調べたら「メタル・ゴッド」って書いてあるから、「あっ・・・神様なんだ・・・」って→笑い(※「メタル・ゴッド」はボーカルのロブ・ハルフォードの愛称・・・だそうです)
い:神様じゃなきゃそう呼ばないからねえ
す:神様なら聴かなきゃな・・・と思って、ジューダス・プリーストを聴いたり、インターネットで調べつつ、CDを買っていった感じですね。

※この辺からまた話が逸れていったような、そうでもないような。
い:たまたまヘヴィーメタルの話だけど、興味を持った対象はそうやって枝葉を広げて追求するタイプなんですか?
す:そうですね・・・わたしは、ソ連に身を捧げているんですけれども
い:捧げてんの!?→笑い
す:ソ連の復活を生涯の目標として・・・
(※将来の、と言ったのかもしれません)
い:ロシアではなく。それで?
す:ソ連にハマったのも、ソ連国歌を聴いて・・・
い:どこで?
す:YouTubeですね。
い:どういう風に辿ればソ連国歌にたどり着くの?
たとえばオリンピックで、ソ連(ロシア)の選手が金メダルをとって、(※メモが不鮮明で思い出せません、すみません)〜っていうならこれは偶然の産物だけど、アイアン・メイデンからソ連国歌には行かないからね
す:「おすすめの動画」に出てきて・・・→笑い&拍手
い:えぇ!? どういうんだよ・・・?w

す:たぶん、わたしがミリタリーが好きで、ドイツ軍歌とかを調べてたので、その関連動画だったと思うんですけど
い:モーターヘッドって知ってる?(※イングランド出身のロック・バンド)
モーターヘッドのレミー(※レミー・キルミスター。バンドの中心人物でボーカル・ベースを務めた。2015年死去)は、ドイツとかイギリス軍のコレクターで。
す:へぇ〜!
い:ヘルメットとか旗とか、部屋に飾ってあったんだよ。
す:へぇ〜、ミリタリー好きなんですね。
い:相当なコレクターだったみたい。
す:メタルと、ミリタリーファッションって親和性がありますよね。
い:あるよね、けっこう。
いつ頃から、軍とかミリタリー好きなの?

※ということで今度はすみぺのミリタリー遍歴の話に。
す:中学生ぐらいですかね・・・わたしの人生を簡単に説明すると・・・
い:いや、人生ってまだそんなに長くないでしょw→笑い
す:www
い:まだ短けえよ・・・w それで?
す:幼稚園のときに、たまたまお父さんの部屋にあった「ゴルゴ13」を読んで・・・(※「ゴルゴ13」(ゴルゴサーティーン)は、さいとう・たかをによる日本の漫画。超一流のスナイパー(狙撃手)・暗殺者「ゴルゴ13」ことデューク東郷の活躍を描く劇画)
い:だからね、お父さんはけっこうマニアなんだよ!→笑い&拍手
す:www
い:すみれさんのお父さんは、ピンク・フロイドとかゴルゴ13だとか、やっぱり相当イッてるお父さんだよ(※あと、「ディスコ」とメモに残ってますが、詳細忘れました。すみません)
す:そういうそぶりは娘には見せなかったですねえ。
い:見せないねえ!→笑い

それで、「ゴルゴ13」があって・・・
す:あまりにも劇画タッチに慣れ親しんでしまって。
い:さいとう・たかを先生ね。
す:はい・・・小学生になって「なかよし」や「ちゃお」を読んでみたものの、あまりおもしろくなく・・・→笑い
い:入っていけないw 劇画の世界とねw
す:絵が違いすぎるし、全然要人が暗殺されないじゃん、って・・・→笑い&拍手
おかしいなあ・・・と思って、だんだん学校のカーストから外れ始め・・・
ビッグコミック系のマンガばかり読んでいった結果、昔の邦画とか、昭和文化に興味を示すようになり、昭和からミリタリーに飛び・・・といういきさつがあり・・・
い:なるほど・・・
す:そしてソ連に辿り着き、大学生のときにメタルにも出会ったということですね。
い:わかりました・・・長い人生の話をありがとうございました。→笑い

※ちゃんと戻ってきて、メタルの話が展開していきます。
い:昭和のカルチャーが好きなんだね。
す:そうですね。メタルが好きになったのも、ジャケットの独特な・・・ライオットの「NARITA」の不思議なコラージュ・・・→笑い(※「ライオット」はNY出身のヘビーメタルバンド、およびそのアルバム。「NARITA」はダサいレコードジャケットとして有名・・・どころかNo.1との呼び声も高いとか)
い:ジョニーね。(※「NARITA」のジャケットにも描かれている、バンドのマスコットキャラクター)好きなの?ああいうの。
す:あと、アイアン・メイデンのエディさんとか。(※エディ・ザ・ヘッド。これもバンドのキャラクター)あと、ジューダス・プリーストのファッションとか・・・
あと、LAメタル(※80年代アメリカでの音楽趣向を日本の音楽メディアがこのように呼んだ。当時人気のバンドの多くがLAから活動を始めていたことから来ているとか)が一番好きなんですけど、ラットの・・・→笑い(※「ラット」はアメリカ出身のロック・バンド。LAメタルの代表的存在)
あんなにモテモテの人いる? みたいな・・・→笑い

<「NARITA」のジャケット>
※中央のキャラクターがジョニー

※ここですみぺ、持参のムック本「ミュージック・ライフが見たLAメタル」を指して。
す:これこれ、「ミュージック・ライフ」
い:LAメタルの、特集ね。
す:これも頂き物なんですけど、読んでいたら、伊藤政則さんがラットのツアーに同行したという記事を見まして。
い:バスでアメリカをまわったんですよ。
す:(記事を読んで)「5時間しか寝ない人たち」・・・
い:女のコと遊んでるからねえ→笑い
す:すごいですね! バスに乗って、テレビを見てたり・・・どこだっけ・・・(ページをめくって)これか!「アメリカンツアー速報」
い:これか、懐かしいね。
す:(読み上げて)「ロックンローラーはかくありき! リポートと文、伊藤政則」
い:俺だ→笑い
す:(読み上げて)「鉄人のごとき肉体を・・・」「女をこよなく・・・」「ナルシストであること」「酒が強いこと」(※正確に全部はメモれませんでした)「ラットのツアーに同行して学んだ、ラットンロール哲学だ」・・・っていう・・・
い:その通りです。
す:やっぱりこの文体が伊藤政則さん、って感じですよね→笑い
い:いやあ、ホントですよねw
す:キャッチーで・・・
い:(すみぺは)ラット好きなんだ。
す:好きですねえ。
い:どういうところが?
す:すごく・・・ちゃんとタイトルを歌ってくれるところ・・・w→笑い
何でしたっけ、「レットミーダンス」・・・
い:わかった、「ダンシング・アンダーカヴァー」か。(※ラットの3rdアルバム)
す:そうですね!
い:ダンス・ダンス・ダンス?(※同アルバム1曲目「ダンス」の歌い出し)
す:(歌って)♪ダンス・ダンス・ダンス・・・ってやってくれて、「あっ、とっても覚えやすい!」って思って・・・w→笑い
い:そんなに難しいこと歌わないバンドだから。
す:そうなんです・・・あとは、ロビン・クロスビーさんのお顔が好きで。(※ラットのギタリスト)
客席:おお〜(※「ああ〜」と「おお〜」の中間くらいの感じでしょうか)
す:(客席の反応に)えっ、「ええ〜」なんですか!?
い:いやいや、良いよね。
す:すごい、唇がふっくらしてて・・・
い:そこねえ!? そこを見るんだw→笑い
す:アヒルくちがかわいい・・・→笑い

※さらに特集の記事についてふれていきます。
す:この、「客席からステージに向かって女性の下着が投げ込まれ」って、どういうパフォーマンスなんですか?
い:つまり、女の子たちがラットに魅了されてヨレヨレになって、ステージに自分の下着を投げ込むわけですよ。
す:ああ〜・・・
い:そうすると、ボーカルのスティーヴン・パーシーが喜んで拾って、マイクにかけていくんですよ。だから歌ってると下着が揺れる、みたいな・・・→笑い
す:そうなんですね・・・! あ、でも私もそういうPVを撮ったことがあります。下着が投げ込まれていく・・・
い:誰が投げ込むんですか?→笑い
(客席を指して)お客様が自分のボクサーパンツとか、そういうのを投げるの?
す:www・・・かわいい下着ですけど・・・変態の歌みたいなのを歌ったときに・・・
い:変態の歌!?→笑い
そういうビデオ撮ったことあるの?
す:「Inner Urge」という曲で、これがアニメの主題歌なんですけど、「下ネタという概念が失われた近未来」みたいな、SFの・・・
い:つまんなそうだね、なんか→笑い
下ネタが禁止なんでしょ?(※作品が、ではなくて「下ネタが禁止の世界は」つまらなそうという意味だったかと思います)
す:禁止なので、パンツが解放戦線の、こう・・・
い:わかる。旗みたいになってるんだ(※その通りなんですが、作品をご存知なかったとすれば察しが良いな・・・と思いました)
す:旗みたいになっているという・・・わたしの中では、よく分からなかった作品で・・・→笑い
い:俺もだよw

※再び記事に目を落として。
す:伝わってくると言えば、ラットの当時のスケジュールが・・・
(読み上げて)「ライブ・女・酒・・・」(※睡眠を削ってもそれらを楽しもうとするエナジー、とかそういう文章だったと思います)っていう・・・
しかもホテルでシャワーだけ浴びて、また移動するんですね。
い:そうそう・・・
だから、けっこうすみれさんのように驚いてくれるような原稿を描いてるからね・・・嬉しいよ、そうやってちゃんと読んでくれてさ。

●インタビューは真剣勝負

※そんな記事を書いてきた伊藤さんに対して、すみぺから質問が。
す:このバンドはすごく大変だった、みたいなのは無いんですか?
インタビューとかで、ものすごく大変な思いをした、みたいな・・・
い:どうだろう・・・無い、ねえ・・・
す:あっ、そうなんですね!
い:(相手が)ものすごく足クサいな、くらいは思ったことあるけど→笑い
あんまりないですよ。でもけっこう、ロックとかこういう音楽の世界の人間は、一癖も二癖もある方が多くて、個性が強く出る人が多いんですよ。
す:はい。
い:たとえば、ディープ・パープル(※イングランド出身のハードロックバンド。日本ではレッド・ツェッペリンと並びハードロックバンドの代表格の一つに数えられ、後のハードロック、ヘヴィメタルバンドにも大きな影響を与えた)のギター、リッチー・ブラックモア。この方は難関。懐に入っていくのが難しい人なんです。
す:どういうところがですか?
い:まず、インタビューを夜8時からと言っても、8時に来ない。
す:えっ。
い:9時にも来ない。焦らせる。宮本武蔵と佐々木小次郎みたいに・・・→笑い
す:あえてですか?
い:わざと。そうやって焦らせる。それでインタビューが始まったら・・・ホントに難しいのは、一問に対する答えが異様に長いんですよ。
す:あぁ〜・・・
い:長いうえに、その言っている内容をこっちが分かってるかどうか、何かこう造語というか、変な英語じゃないような言葉を入れてしゃべる。
す:えぇ・・・
い:その時に、「ちょっと待って」ってストップして、「今何て?」っていうことを確認すると、「いや、ナントカカントカだよ」とか言ってごまかすんだけど、もしスルーすると、「こいつ俺の話をちゃんと聞いてないな」っていうことで、次からもう適当なことを言ってきてインタビューにならないんですよ。
す:えぇ〜!? めちゃくちゃ面倒くさいですね・・・→笑い
い:面倒くさいけど、そこへインタビューをとりにいかないといけないから、そこを乗り越えないといけないんだよ。
す:そんな、急になぞなぞみたいなのを出してくるんですね・・・→笑い
い:なぞなぞだよね、ホントw
彼らの場合はヒュッと出してくるから、かわせないで受け止めないと次にいけないから・・・けっこう大変でしたね。
す:へぇぇ・・・あんまり友達になりたくないタイプの・・・→笑い
い:友達は少ないと思いますよ。
す:ディープ・パープルのメンバーになるのは大変ですね。
い:だからメンバーチェンジが激しいんですよ→笑い&拍手
す:入れ替えが・・・
い:そのとおりなんだよ・・・→笑い

す:そんなことだったんですね・・・
い:性格(の問題)です。
す:あんな素敵な曲がいっぱいあるのに・・・
い:「お前とは長くできない」っていう感じなんだよ。でもそういう緊迫感があるから、いい曲を作っていいライブができるんですよ。
す:何をやりだすかわからないという・・・
い:そのとおり! 何をやりだすか分からないから。
す:へぇ〜・・・
い:面白いこと聞いてくるねえ→笑い

●これまでの経緯とかゴールド・ディスクとか

す:そんなことも乗り越えて・・・メタルの世界は体力がいるんですねえ。
い:体力と、アイディアとかが必要ですよ。僕だって今日「上坂すみれ」を越えなきゃいけないからね。大丈夫かなと思ってたけど、けっこういい感じでお互いしゃべってるじゃないですか。(客席に)どうですか? 皆さん。→拍手
す:万雷の拍手が・・・嬉しいです・・・
これ(政則十番勝負)は10日間通し券もあるんですよね。
い:5日間。前5列の方はVIPパスを持ってる。
す:うわぁ〜・・・すごい・・・(会釈して)お邪魔してますねえ・・・→笑い
い:誰に言ってるんですかw
す:でも今回のイベントは、十番勝負ですから、10日間やるんですよね。
い:そう、5回やって、ちょっと休んでまた5回やる。上坂さんの他にもステージにお招きして、色々話を・・・今日が3回目。
す:この催しは去年も・・・?
い:去年は、ここ(タワーレコード渋谷)の8階のスペースに、僕が持っているゴールド・ディスクや、Tシャツ、パスだったり、何十年も集めていたものを博物館みたいに展示して。
す:ええ〜!
い:それを見ていただこうというイベントをやったんですよ。
す:すごい、「僕が持ってるゴールド・ディスク」って言いたいですね→笑い
ゴールド・ディスクって持てるものなんですか?
い:自分で作れないからねw ゴールド・ディスクって、アメリカでは50万枚以上売れると、ゴールド。100万枚でプラチナとか、1000万枚でダイヤモンド・・・
す:ダイヤモンド! 1000万枚を越えたCD(レコード)なんてあるんですか?
い:意外にありますね。
す:メタルだと?
い:ヴァン・ヘイレン(※アメリカ合衆国出身のハードロック・バンド。米国西海岸におけるアメリカンHR/HM系バンドの先駆者)・・・メタルと言っていいかわからないけど。あと、ボン・ジョヴィ、デフ・レパード(※イングランド出身のロック・バンド。1980年代初頭の「NWOBHM」ムーブメントから台頭したグループの一つ)・・・あのへんは1000万枚以上。
す:デフ・レパードってそんなにすごかったんだ!!→笑い&拍手
い:ジョー・エリオット泣いてるよ→笑い(※デフ・レパードのボーカル)す:www
すごいですね、ヴァン・ヘイレンと同じくらい・・・
い:ヴァン・ヘイレンより売ってますよ。
す:ええ〜!
い:一番売れているアルバムで、全米だけで1300〜1400万枚。「ヒステリア」という。(※4作目のアルバム。なおウィキペディアによると全米売上は1200万枚とか。)
す:うわ〜・・・デフ・レパードのTシャツに歯磨き粉こぼしちゃった・・・→笑い
い:それは怒るよw

す:ごめんなさ〜い・・・!
い:デフ・レパードですよぉ。(※売れたバンドと言ったらもう・・・というニュアンスだったように思います)
す:そうだったんですね・・・失礼しました。
い:だから、売上が50万とか100万枚を越えたときに、アーティストやレコード会社から応援してくれた人に、「ありがとうございました」ということで、売れ数とか、ジャケットやお名前の入ったディスクを差し上げるんですよ。
す:なるほど、そういうことで・・・
い:(バンドの)メンバーも会社からもらいますけどね。
す:てっきりご自身で歌を出されたのかと・・・→笑い
い:そうじゃないからw

※去年の展示の話に戻り。
い:世界各国の、50万枚とか100万枚売れたアーティストのディスクを飾れるだけ飾って・・・40とか70とか、わかんないけど、他にも色々と飾って・・・そういうイベントを去年やって。
す:はい。
い:それと同時にここで4日間トークショーをやったんですが、それが評判が良かったので、今年はメモラビリア(展示)はできませんので、トークショーをやろうかと。やるなら十番勝負で10人のゲストをお呼びして、上坂さんが3人目というわけです。
す:いや〜ありがとうございます・・・
い:全然、全然。
す:湯のみも頂いてしまって・・・→笑い
い:マーチャンだけどね。(※マーチャンダイズ。物販商品のこと。)
なんか、嬉しそうに見てたね。
す:はい、メタルと湯のみが繋がらなすぎて・・・w→笑い
い:繋がらないよねw
す:いいなあ〜って・・・すごく豪華な作りで・・・
グッズの湯のみってもっと小さかったりすると思うんですけど、あの湯のみはいいですね・・・www
い:寿司屋にあるみたいな、重い大きいのが欲しかったんだよね。
す:ずっしりと、凶器になるような・・・
い:しませんよw どんな家庭なんだw →笑い

す:皆さんもお買い求めになったと思いますけど・・・
い:皆さんありがとうございます。

<グッズの湯のみ>
※こちらの記事の⑦『政則 十番勝負』湯呑。

●すみぺといえばこの話

い:そういえば、ロシア・・・
す:あっ、そういえば。
い:そっちの話を聞きたいんだ。だって旧ソ連の復活を願ってるんでしょ?
す:そうなんです、日本に沢山いるんですけど。
い:いないよ!?→笑い
ソ連大使館にはいるかもしれないけど、このへんにそうそういないんじゃない?
す:渋谷区にはいないかもしれないですけど・・・w
い:どこ区あたりに多い?
す:どうなんでしょう・・・
い:台東区とか、あっちの方ですか。
す:台東区とか、江東区とか・・・
い:あのへんは旧ソ連を知らない(人が多い)と思うよ。
す:そうですかねぇ・・・
い:上坂さんのまわりにはそんなに旧ソ連のファンがいて、あの時代よかったとかそういう話をするんですか?
す:わたしが、5年くらいかけて洗脳した方々が・・・→笑い
今日ももしかしたら、来ているか・・・
い:どんな話をするんですか、旧ソ連の復活を願う会では。

※この質問に対し、すみぺによってロシア/ソ連の魅力が語られます。
す:そうですね・・・わたしは、ロシアがすごく好きで、特にソ連が好きっていう感じなんですけれども。
い:なるほど。
す:ソ連というのは、非常にエクストリームな国家でありまして、1917年から91年まで74年間存在した、非常に限定的な世界だったんですけれども。
鉄のカーテンと呼ばれる情報統制もあり、
あのナチス・ドイツに勝利した軍事力も持ち、
アメリカと宇宙開発で覇を競った歴史もあり、
書記長なるものが治めていたということも、すごいなと思いまして。
い:共産主義・社会主義だから書記長だよね。
す:そうなんです。
レーニン、スターリン、フルシチョフ、ブレジネフ、それから・・・
い:すごいね。→笑い
す:アンドロポフ、チェルネンコ、そしてゴルバチョフがいて・・・
い:おそらく(歴代の)徳川将軍は言えないはずだよ。→笑い
す:www
い:すごい、全部言えるんだ!
す:たぶん合ってると思うんですけど・・・
でも、わたしはソ連時代に生きてはいなかったので・・・生きたいとは思わないんですけど・・・
い:イメージ?
す:なんだろう、共産・社会主義を目指して、広い大陸の全国民が、謎の思想に付き合っていた不思議な時代というのが面白いなと思って。→笑い
い:でも、鉄のカーテンっていうのは東ヨーロッパも入ってたわけじゃない。
す:はい、東欧諸国も・・・
い:旧東ヨーロッパ。ポーランドとかあのへんはダメなの?
す:興味はあるんですけど、いかんせん小ちゃくて覚えられない・・・→笑い
い:ちっちゃい!?
す:面積が・・・
い:いやけっこうあるよ!→笑い
す:ロシアを基準に考えると・・・
い:あんなでかい国、他はもう中国くらいだよw

す:そうなんですよ・・・地理は非常に弱くて・・・
い:弱いの?
す:ルーマニアはどこか、とかパッと出てこないんですけれども。
い:それはなかなか指せないよ、俺も。→笑い
す:www
やっぱり、ああいう膨大なエネルギーを持った国だったということが・・・
あと、ソ連が開発した戦車は非常に性能がよくて。
い:はい。
す:ドイツのティーガーとかパンターと互角に戦う・・・しかも量産型であるということが素晴らしくてですね。
い:うん。
す:ソ連には、メタルという文化が伝わるのは遅かったわけですが・・・
い:なるほど。
す:ソ連市民も・・・レントゲンがレコードになっていた、というようなお話もありまして・・・こっそり西側の音楽を聴いていたと。(※「肋骨レコード」などと呼ばれる、X線フィルムに刻まれたソノシート形式のレコード盤。 1940年代から1960年代にかけてソビエト連邦で作られたこれらのレコード盤は、国内の放送が禁じられている西洋音楽を入手して配布する闇市場の方法であった)
い:はい。
す:わたしは、ソ連のメタルというとゴーリキー・パークしか知らないんですけど・・・あれはメタルでもないと思うんですけど。(※1987年に結成されたロシアのハードロック・バンド)
い:まあ、ハードロックだね。
す:牧歌的な・・・ややダサ・・・w→笑い
い:ややダサw

●伊藤政則、ソ連に行く ’79

※伊藤さんがかつてソ連に渡航したときの貴重なエピソードが語られます。
す:伊藤さんはソ連にも何回か行かれたと聞きまして。
い:行きましたよ。僕は、ハッキリ言って旧ソ連の復活は全く望んでない→笑い
僕は、牢獄みたいなところに入れられたことがあるからね。
す:当時行かれた方は、絶対イヤだと思うんですけどw
い:とにかく、自由がきかない国なんですよ。
す:そうですねえ。
い:指示されたとおりにしないといけない・・・イエスもノーもない。
す:「はい」と「はい」しかない。→笑い
い:とにかく、一番苦しかったのは、1979年にアエロフロート(※旧ソ連の国営航空会社。ソ連崩壊後に民営化した)でヨーロッパに行くんですけど。
す:はい。
い:アエロフロートが、北回りで一番安いんですよ。
す:(うなずいて)ふんふん。
い:社会主義国だから、サービスっていう概念は全くなくて。
す:無いですねえ。
い:で、普通はモスクワ経由、ロンドン行きとかに乗るんですけど、たまたま満員で。一回モスクワ行きに乗りまして。
す:はい。
い:トランジット(※航空機で目的国に行く途中、給油その他のために一時他国の空港に立ち寄ること)で、1日弱くらいモスクワにいなきゃいけなかった。
す:1日弱!?
い:夕方着きまして、翌朝一番で、モスクワ発のロンドン行きに乗る、と、そういうスケジュールでした。
だけど、トランジットの我々はビザが無いので、空港の外に出られないんだけれども。
す:そうですよね。
い:トランジットの客は、そのエアライン(航空会社)が指定した、モスクワ市内の場所に行かなきゃいけないんですよ。
す:へぇえ・・・
い:まず1人ずつ、空港の中の部屋みたいなところに列で並ばされて。するといかにもミリタリーっぽい、職員だか兵隊みたいなのがいて、「パスポートを出せ」と。
す:はい。
い:で、出すと、(手のひらサイズくらいの四角形を空中に示して)こんな、番号の書いた紙を1枚くれるんですよ。
す:はい。
い:それとパスポートを引き換えるんだよ。意味がわかんなくて。パスポートが無かったらロンドンに行けないじゃん、って言っても、「早く出ろ」と。それでみんな部屋を出て・・・すると空港の外にバスが待ってるんだけど。
す:はい。
い:バスが全部、鉄格子なんだよ。(※窓などに、ということかと思われます)
す:ぅわぁ〜・・・!!
い:鉄格子。
す:(ひときわ大きい声で)やぁ〜!!こわぁ〜〜〜い!!!→笑い&拍手
い:俺、その声に怖いよ!!→笑い
す:どうなっちゃうのぉ〜〜〜!!

※言葉とは裏腹に、ハートマークを飛ばしているように見えるすみぺでした(筆者の主観)
い:人の話だからそう(面白い)かもしれないけど、俺はもうその時、「どうなるんだろう」と。
その時はソニーの方と2人で行ったんだけど、「どうなっちゃうんだろう」「でも行くしかないだろ」なんて言って。
それでバスに乗って、日本人と、何人だかわからない人たちと一緒にバスに揺られて行きまして。
す:はい、はい。
い:すると、ホテル・・・でもない、宿舎みたいなところに着いて。入れと言われる。
す:はい。
い:中に機関銃とか、武装した人が何人かいて、何階に行け、と言うわけ。
行くと、また自動小銃とか、持った人たちがいて、あそこに行け、と言われて部屋に入れられるのよ。
す:はぁ〜・・・
い:ホテルの部屋みたいな感じじゃなくて、(ドアが)閉まると中から開かない。
す:うわぁ〜〜〜!!→客席からもどよめき
い:一番大事なことを聞くの忘れたんだよ・・・明日何時に出発するんだって。→笑い
す:開かないから、確認に行けないですね・・・!
い:それで、どうしようかって言って・・・
黒電話みたいなのがあったから、これで聞いてみようって言って、持ってみたら、空なんだよ。中になんにも入ってない。
す:電話が空・・・
い:これは困ったと・・・寝ないでいて、明日の朝ドンドンって(ドアを)叩くしかないんじゃないかと。
す:うわぁ〜・・・
い:7月か8月だったんだけど、すごい寒いんですよ・・・エアコンが無いから。窓も鉄格子で開かなくなっていて。
す:わぁ〜・・・あ〜・・・
い:困ったなということになって。
それで、友達に持っていこうと思っていたサントリーのオールド(※ウィスキー)があるから、それ飲もうって言って。でもコップが無い。ラッパ飲みもなんだから、瓶のフタにこう入れて飲んで。
でもシャワーくらい浴びたいなと思って、(シャワールームに)行ったんだけど、水が出ない。
す:おぉ〜・・・
い:そこは単にそういう見た目に作ってある部屋であって、部屋の機能は全く無いわけ。
す:どういう建物だったんでしょう、それは・・・
い:宿舎みたいな感じ?
す:宿舎みたいな見た目をしてるけれども、電気もガスも・・・
い:ない。真っ暗。湯・水も出ない。電話は置いてあるけど、空。
それで徹夜して、朝まだ暗いんだけど、外でガタガタって音がし始めたときにガンガンドアを叩いて。でも誰も出てこない。
ところが、ある時、ガチャって音がして・・・兵隊がドアを開けて。
つまり、時間になったら開けて合図する仕組みになっていて。「出ろ」って言われて。
出ると、同じ便に乗るであろう人たちも(各部屋から)出てきて。下の階に降りていくわけ。
す:はい。
い:で、真っ暗なロビーがあって。乗ってきたバスが遠くに見えて。それで進んでいったら、知り合いがバタって倒れた。
す:えっ。
い:「大丈夫か!」って言ったら「伊藤、なんかここにあるよ」って。「えっ?」て見たら、遅くに来た人たちが、まったくそういう(伊藤さんたちがいたような)ところに泊まれなくて、何百人も床に寝てるんだよ。
す&客席:ええ〜〜〜!!
い:死人かと思ったよ。→笑い
す:うわぁ〜!
い:怖いよ・・・!
す:真っ暗の中でつまづいて、何かと思えば・・・
い:目を凝らしてみたら、人がバァ〜っと寝てるんだよ。
す:うわぁ〜・・・
い:それを、ちょっとすいません、ってまたいで行ってバスに乗って。兵隊が人数を数えたらまたバァーンて閉まって、行くわけ。
で、「これ空港行くんだよな」「きっとそうだろう」とか話してたら、空港に着きまして。
また兵隊がいて、階段をのぼって行けと。そしたら踊り場みたいなところにテーブルみたいなのがあって、「紙を出せ」と。
ここでさっきの整理券、紙を渡すと、ここ(床のあたりを指して)のところに箱があって、同じ番号のパスポートを出すわけ。ここで交換なんだ。
す:なるほど・・・
い:それで、ボタンじゃなくてレバーみたいなのを(拳を突き出す動きで)ぐーってやると、目の前の扉が開いて空港があるんだよ。
す:うわぁ〜〜〜・・・
い:俺ね、旧ソ連復活は絶対反対だよ→笑い&拍手

す:(※それはショック・・・と言っていたような気がしますが、拍手でよく聞こえませんでした。すみません)
い:そりゃあイヤだよw
す:今の話・・・めっっっちゃおもしろかった〜〜〜!!→笑い&拍手
い:面白いかねえ・・・w
す:こんなソ連っぽいエピソード、なかなか伺うことができないので・・・
い:そんな経験した奴いないもん。
す:ホントですよね。トランジットでそんな思いをさせられるなんて・・・
やはり、70年代のソ連は混迷をきわめていたんですね。
い:ヒドいですよ・・・
す:しかも、町に出てもモノが無いですよね。

●しかし再びソ連へ '89

い:そういう体験があったから、とにかく僕はソ連には行きたくなかった。
けどどうしてもまた行かなきゃいけない事態になった。
す:はい。
い:1989年の8月に、ロシアのルジニキ・スタジアム(※モスクワにあるスタジアム)でロックフェスが行われることになって。
(ソ連で)初めて西側のバンドが集まって、共産圏・社会主義国家で行われるから、日本を代表して取材してくれという話が出て。
す:素晴らしい・・・
い:ボン・ジョヴィ、オジー・オズボーン、モトリー・クルー(※アメリカ合衆国出身の、LAメタルの代表的なヘヴィメタル・バンド)、スキッド・ロウ(※アメリカ合衆国出身のヘヴィメタル・バンド。同郷のミュージシャン ジョン・ボン・ジョヴィらの支援を受け、1980年代のLAメタル・ムーブメント末期にメジャーデビュー)、シンデレラ(※アメリカペンシルベニア州フィラデルフィア出身のヘヴィメタルバンド。主に1980年代のハードロックシーンで活躍した)などなどが出たわけです。(※聞き逃して抜けているバンド名があるかもしれません)
で、僕は「ソ連か・・・行きたくないぞ」と。→笑い
す:www
い:そうしたら、担当の人が、「いや伊藤さん、79年に伊藤さんが行ったときから10年たって、ソ連もずいぶん変わってると思いますよ・・・いや、絶対変わってると思う」と。
(それを聞いて)「・・・ああ、そうかなあ・・・」って。→笑い(※この後の展開が読めそうな口ぶりで、すみぺもお客さんも笑っていた感じです)
「じゃあ、行ってみるか・・・」なんて言って。
当時、ソ連に行くにはいろんな書類を大使館からもらって、署名して、ハンコも押して、それを送って、ビザを発行してもらわないといけなかったんですよ。
す:ビザは、今でもけっこう手続きが面倒くさいですけど・・・ソ連は特にですよね。
い:で、手続きをして、ソ連に行きました。
今度は入国が簡単だったし、ホテルも・・・まあひでえホテルだったけど・・・
す:水は出ましたか?
い:水は出ました。→笑い

でもね、僕はソ連はやっぱり合わないと思った。
いいホテルは全部(フェスに出る)バンドが泊まってるんですよ。ウクライナ・ホテルとか。
す:そうですよね。
い:僕らは宿屋みたいなところで。
す:宿屋・・・w
い:各フロアに番台みたいなのがあって、知らないと思うけどタマラ・プレスみたいなオバさんがいて。(※旧ソビエト連邦の陸上競技選手。1960年ローマオリンピックと1964年東京オリンピックの投てき種目で3つの金メダルを獲得した選手である。砲丸投、円盤投とも6回の世界記録を樹立している)
「何号室です」っていうとその部屋の鍵をくれるわけ。
す:ああ〜・・・
い:小さい部屋なんですけど、僕はそういうことも想定して・・・1週間くらいそこにいるからね。このオバちゃんと仲良くならないと、ソ連だから絶対なにかあるから、すげえ仲良くしておこうと思って。
す:はい。
い:というのも、部屋にコンセントがないんですよ。
す:ええ〜・・・!
い:だからドライヤーも使えない。コンセントはオバさんの番台のここ(※自分の膝のあたりを指して)のところにあるんだから。→笑い
す:オバさんのところにコンセントが・・・
い:そこ1個だけ。ホテルのロビーみたいな・・・7階とかでね。
だからオバさんと仲良くしておかないと今後あれだろうって思って、
免税店で買ってあったチョコレートを袖の下であげて。
す:おお〜!
い:(顔を突き出して)「俺、この顔だからな」って→笑い
「えっ、くれるの?」「(顔を突き出して)んっ」なんつって、あげたのよ。
そしたら知らなかったんだけど、オバさん、毎日代わるんだよ。→笑い&拍手
す:www・・・悔しい〜!
い:二日目の朝起きていったら、「あれえ?」「どなた?」ってwww
す:せっかく渡したのに・・・!
い:社会主義国で、くるくる(人が)代わっていくんだよ。
そんなことになっていて・・・で、記者会見とか色々あるので。
す:はい。
い:タクシー移動で・・・で、その時いっしょにいた方が、ソ連生まれ日本育ちの方だったんですよ。
す:おお〜。
い:英語も、ロシア語もできる方だった。で、その人が「伊藤さん、本当に面倒だけど我慢してもらいたい」と。
す:ふんふん。
い:というのは、タクシーに乗るけど、ルーブル(※現地の通貨)は使えないと。
す:ルーブルが使えない・・・なぜでしょう?
い:なぜかと聞いたら、とにかく使えないと。これから何日か、一緒に歩いていればわかるからって。
それでまず、スタジアムに向かう前に、ドルショップに寄ると。
す:外国人専用の・・・
い:そうです。ショップ。ウィスキーとか、タバコとか、そこでは普通に売ってる。
す:スーパーに全然モノが無い・・・ワカメの缶詰しかないのに。
い:そこでまずマルボロ何カートンかと、ウィスキー何本かを買ってバッグに入れて。
で、その一緒にいたアレクさんという人が、タクシーと交渉するわけです。何か話してるな、と思ったらマルボロを4つ渡して、そしてまた何とか言って、(合計で)6個渡して、それでスタジアムまで行くことになって。
なぜかと言うと、89年の夏ぐらいには、ソ連の中では(ルーブルの)貨幣価値がまったく無くなっていて。
す:ああ〜・・・
い:ハイパーインフレのようになってしまっていて・・・お給料なんかはルーブルでもらっているんだけど、使えるお店というのが・・・近所の八百屋とかでは使えたかもしれないけど・・・他では使えなくなっていて。
もしくは、ドルを要求してくる。米ドルか、物々交換なんですよ。
す:ふんふん・・・
い:アレクさんは、我々にとってはドルの方が価値があるから、物々交換がいいと。
す:なるほど〜・・・
い:そういう判断で、スタジアムまで行きました。
す:89年の頃には、もう(ルーブルの)貨幣価値が全然・・・
い:無い。だから、イベントが終わってモスクワを去るときに、伊藤さん体験してみたらいい、ということで、ウクライナ・ホテルのロビーに怪しげな奴らが何人かいたんだけれども、その方(※アレクさんかと思います)が、イギリスのカメラマンのジョージ(※フルネームだったようですが聞き取れませんでした。話の流れから、伊藤さんたちと同行していた方かと思います)という人に300ドル渡して、あそこを闇の両替商がうろうろしているから、誰かつかまえてルーブルに替えてもらっておいでと。そしたら、300ドルが、こんな(※手で10〜15cmくらいの厚みを表していたと思います)になるんだよ。
す:うわぁ〜・・・!
い:だけど、それがいくらくらいの価値になるのか・・・とにかく300ドル分。
それで1時間か2時間だけ、マーケットに連れて行くので、伊藤さんとシンコー・ミュージックのカメラマンの長谷部 宏(はせべ こう)さんにあげるから、買い物を体験してみたらいい。だけどヤバいからあまり遠くにいかないようにと。
す:うんうん。
い:ただ、僕から、その前にメロディアという国営のレコードショップに行きたいと。
す:ああ〜・・・
い:ポール・マッカートニー(※1960年代にはロックバンドのビートルズのメンバーとしてジョン・レノンと共に多くの楽曲を作詞作曲しヴォーカルと演奏を担当。ビートルズ解散後はウイングス(ポール・マッカートニー&ウイングス)のメンバーまたはソロ・ミュージシャン名義で活動)と、ボン・ジョヴィの「ニュージャージー」のロシア盤が出たから、お土産に買いたいと。
す:へぇ〜!
い:これが、レコードショップと思えないくらい地味な、暗いところで。
普通、CDとかレコードって面出しして、きれいに飾ってあって、音楽とか流れてるでしょう。
す:はい。
い:・・・銀行みたいなんだ。しーんとして。
す:そういう、サービスという概念が無いので・・・
い:で、どうやって買うの?ってアレクさんに聞いたら、受付までいって「ポール・マッカトニーのなんとかとボン・ジョヴィのなんとか」って伝えたら、後ろ(バックヤード)から持ってくる、って言うんだよ。
す:w・・・銀行ですね。
い:で、(注文を)言ってみたら、5分、10分、ぜんぜん(店員がバックヤードから)出てこないんだよね。そしたらね?
す:はい。
い:待っている人は他に2人くらいだったけど、ヘンな男が3人くらいいるんだよ。
肩からバッグを提げていて・・・こっちはレコードを見てるわけだけど、目を合わせようとしてくる。
す:え、え、え?
い:たとえば、すみれちゃんが買い物してるとして。
す:はい。
い:で、僕が目を合わせようとしてるのよ。(身体をひねってすみぺの顔を覗き込もうとする動き)→笑い
す:これは気になりますね。
い:なるよ!→笑い
す:「何ですか?」って・・・
い:何だよ? って。それで目が合うと、こっちに寄ってくるというか・・・
す:寄ってくる!?
い:で、近くまで来て、何かと思ったら、自分のバッグを僕にチラ見させるの。→笑い
す:チラ見させる・・・
い:で、チラ見して、「えっ・・・ああ、そういうやつか・・・」と思って、(手招きする動きで)「こっちこっち」と言われて見ると、レコードが入ってるんだよ。
す:おぉ〜・・・
い:一番表にあったのはディープ・パープルの「インロック」(※1970年発表のアルバム)だったね。
す:ほぉぇ〜・・・
い:それは、まだ流通していない西側のレコードなんだよ。
す:裏レコード・・・
い:中古だろうけど、そういう(レコードを探している)客を見つけたら、「ん、あいつ・・・」って、(すみぺに目を合わせようとする動き)→笑い
す:w・・・なるほど!
い:そうやって外に出ていって、バッグを・・・僕は見たからね。激レアなのがあるかもと思って。30枚くらい・・・そしたら、そこらへんで100円で売ってそうなものばかりで・・・(ディスク)ユニオンなら100円だよ、みたいな。ひでえもんだよ。欲しいものなんてねえよ、って。
す:www
い:そういうやつが、異常にいるんだ。
す:ソ連国民は見たことないものばかりだから・・・
い:そう。(流通してないレコードでも)知ってる人はいるの。なぜかというと、カセットで、海賊音源が出回っていた。
す:あぁ〜。
い:どこから出回ってるって、ラジオの音源なのよ。何語かわからない、DJの声も入ってる。こういうの、どこから持ってくるのか(闇)業者に聞いてくれと。(※アレクさんに頼んだという話かと思います)そしたら、国境の、フィンランド側に行って、音楽番組を傍受、録音してくるんだって。
す:わあ。
い:それをノー編集で。
す:w・・・聴いてみたいですねw
い:ひどいもんだよ・・・それを売ってるんだよ。
す:「ザザザザザ・・・」みたいな・・・
い:「○×△☆♯♭●□▲★〜レッド・ツェッペリン・・・」みたいな。→笑い(※レッド・ツェッペリンはイギリスのロックバンド。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第14位、ウォール・ストリート・ジャーナルの「史上最も人気のある100のロックバンド」にて2位)
す:「曲紹介入ってる〜!」って・・・
い:音楽番組だから。これひどいね・・・なんて言って。
す:海賊盤と一発でわかっちゃいますね。
い:西側の文化に対しては、当時ゴルバチョフによって情報開示とか、開放の雰囲気に向かっていたんだけど、まだ西側の、そういうものを受け入れる土壌が無かった。
す:そうですね・・・上からの改革はあったけれども、70年やってきたから・・・混乱がスゴかったとは伺ってます。
い:土壌が無かったんだけれども、変な話、89年にそのフェスをやったとき、あんなに来るのかというくらい、若いお客さんでいっぱいなんだ。スタジアムの上の方まで満員だから。
す:スタジアムは、どのくらいの大きさなんですか?
い:オリンピック・スタジアムですよ。
す:おお〜。
い:「ルジニキ」って「レーニン」のことなんだけれども・・・80年ソ連オリンピックのメインスタジアムですよ。(※Wikipediaによると、ルジニキ・スタジアムの旧称がレーニン・スタジアム。80年にはモスクワオリンピックでメイン会場として使用された)
す:はぁ〜、そういう名前なんですね。
い:だから、ステージから客席側を見ると、右上にオリンピック・トーチ(聖火)があるんですよ。
す:おお〜。
い:フェスの間はそれがずっと燃えてるの。
ソ連としては、西側のアーティストやジャーナリストを招いてやっているので、トーチをつけて友好関係を・・・一応演出してたんじゃない?
す:ああ〜・・・
い:俺ばっかしゃべってんじゃねえかよ!!w→笑い&拍手
す:すごい面白いなあ〜・・・

※そんな伊藤さんですが、すみぺとのトークの前には少し体調が悪かったようで・・・
い:(本番前に)俺、スタッフに「まだ2日目なんだけど、ちょっと調子悪いわ・・・」
(スタッフさんが)「大丈夫ですよ伊藤さん、声優の話すパワーって圧倒的ですから」→笑い
す:www
い:(スタッフさん)「伊藤さん今日は楽勝じゃない? 全然しゃべんなくていいかも」
(伊藤さん)「ホントに? やったー!」
なんて言ってたら俺ばっかりしゃべってんじゃんかよ・・・
す:でも、モスクワでメタルのフェスが行われたっていうのは、イメージが湧かなかったんですよ。混迷を究めていた89年に、チケットどうやって買ってたんだろう・・・
い:チケットは僕も持ってますけど・・・ソ連好きな人には失礼な言い方かもだけど、わら半紙なんですよ。
す:ああ〜、ソ連っぽい〜!
い:茶色い、日本で戦後使ってたような。
印刷してあるんだけど、まあ戦前くらいの感じで・・・赤い字で、何か書いてあるんだ。あとスタジアムの形が描いてあるから、切符(チケット)だなと。
す:はい。
い:あと、注意事項かなにか分からないけど、ホチキスで留めてあって・・・それがチケットなんですよ。念の為に、いまだにキープしてある。
す:え〜! 見てみたい!

※そんなフェスに行って、伊藤さんは何をしていたかというと・・・
い:ふつう、フェスってマーチャン(物販商品)売り場あるじゃない。Tシャツとか。スタジアムのどこにあるんだ、って。
す:あ、物販コーナーがない?
い:ない!
す:「サイン入りCDこっちです」・・・とか、ない?
い:ない。で、いろいろ聞いてもらったら、どうやらトラックで売りに来て、トラックの後ろのドアを開けて販売所にするんじゃないか、と言っている。
す:言っているw
い:人づての話なんだよ→笑い
す:どういうことなんだろう・・・w
い:だから俺、オジーとかモトリーとか何百回も観てるから、(ステージを)観ないで外でトラックずっと待ってたんだよ。
す:え〜〜〜!→笑い&拍手
い:(トラック)こないなあ・・・って。まあ、(フェスは)2日間あるから。
そしたら、たまたまだったんだけど・・・
ボン・ジョヴィのインタビューを、スタジアムの隣の、教室みたいなところでやったのね。
す:はい。
い:そこに必ず1人、責任者みたいな人がつくんですよ。
それがね・・・少年だったんだ。高校生くらいの感じかな?
す:はい。
い:見張ってるというわけでもないけど、その彼が、(インタビューの間)立って見てるんだよ。
ボン・ジョヴィと、他にも誰か・・・そこがインタビューする部屋だったみたいで。
で、あるとき、インタビューするバンドがなかなか来なかったので、その少年を呼んで、僕が持ってたAC/DC(※オーストラリア出身のロックバンド。スコットランド生まれのアンガス、マルコムのヤング兄弟を中心に結成。同国を代表するグループとして世界的な知名度を獲得し、21世紀に入ってからも活動した)の缶バッジをあげたんですよ。
す:はい。
い:そしたら、(少年が)「何だ?」っていう感じなので、「あげるよ」って。「プレゼント」とか「ギフト」とか分かる言葉全部言って、(通じたようで)バッジをつけてやった。すごい喜んでて。
す:へぇ〜!
い:そんなに喜ぶんだったら、モトリー・クルーの新しいの(レコード)まだ出てないけどあげるよ、なんて言って。→笑い
す:おお〜!
い:そのうちバンドがやってきて・・・
翌日、彼が・・・(空中にA4サイズくらいの四角を描いて)こういう・・・何で出来てるのかな、イコン? アイコン?
す:あ、イコン! ロシア正教の・・・(※説明が長くなるので、詳しくは調べてみてください)
い:そうそう、それを持ってきて・・後ろに、ブルーか、ピンクかで何か描いてある。
す:メッセージ・・・
い:メッセージが。僕は読めないから、アレクさんが来ていたから、「何て書いてるの?」って聞いたら、「きみはぼくの友だちだ」って。
す:うわぁ〜! めちゃくちゃいい話ですね・・・!
い:で、僕は、「こいつ使ったほうがいいな」って思って。→笑い&拍手
す:www

※いい話が一瞬で台無しになったところで。
い:(少年に対して)「マーチャンのトラックが来るかもしれないんだ」と。
「どのへんに来るか予想して、様子見てろ」みたいな。
(そしたら)「喜んで!」みたいな様子で。→笑い
す:ええ〜!手下にしちゃったんですか!
い:で、彼(少年)の情報で、このへんからこう来るらしい・・・というのを聞いて待ってたら、30分くらいしたら・・・来たんだよ!
これかなあ、なんて言ってたら、アレクさんが「いやあマサ、これじゃないんじゃない?」なんて言って。「店を開くにしたらこのトラックは・・・」「いやこれだよ」なんて言ってたら。
す:はい。
い:トラックの後ろがガラガラッと開いて。
す:お、開いた!
い:そしたら「Tシャツだ」って。
す:おお!
い:白系だったね。
そしたらその情報は俺だけじゃなくて、その辺のやつらも掴んでいたらしく、後ろの方からものすごい人がうわ〜!って。
す:わぁ・・・!
い:そしたら、そんな状況に慣れてないのか、トラックに乗ってた2人くらいのぼんず(※「坊主」の方言的な言い方。この場合まあ「若者」くらいの意味でしょうか)が、危険だと思ったのか、Tシャツを投げ始めた!→笑い&拍手
す:www
い:投げちゃって・・・新築の餅撒きみたいな。→笑い
す:ええ〜!w
い:殴り合いじゃないけど、とり合いになって。
す:うわあ・・・襲って来たと思ったんですかね。
い:いやあ、それで、トラックが全部(商品を)降ろさないうちに行っちゃったんだよ。
す:ええ〜!
い:だから、俺そのTシャツ持ってないんだよ。→笑い
す:公式グッズを・・・
い:だから、日本で「公式Tシャツ着てる」なんて言ってるやついたけど、全部ニセもの。
俺が持ってないのに持ってるわけない。ウソつけと。→笑い
だからね、俺は旧ソ連復活、望んでないよ→笑い&拍手
す:すごい・・・そんな文化に慣れてないソ連の人たち、面白いですね・・・
い:サービスとか、物をどうやって売るとか、全くね・・・

※寄り道から戻って、買い物体験でマーケットに向かった話に。
い:レコードショップに行ったあとで、(手で札束の厚みを示して)このくらいお金があるわけですよ。
す:はい。
い:これで買うものを色々(マーケットで)見たんだけど、モノが無い。
す:そうですよね・・・
い:売ってるのはゴルバチョフのバッチ。→笑い
す:わ〜!
い:それと、ソ連のハンマーと鎌のTシャツ。(※ソ連国旗に描かれているシンボル)
す:それは売ってるんだ・・・w
い:売ってた。でも、一回洗濯したら(縮んで)赤ちゃんのTシャツみたいになっちゃった。→笑い
す:w・・・モノがよくないんですね。
い:なんでこんなになるんだよって。→笑い
す:素材が、非常に悪かった・・・w
い:最低ですよ・・・
す:いやあ、ソ連の工業製品というのは非常に合理的でですね・・・→笑い
い:「効率のいい戦車」とかさ、めちゃめちゃ褒めてたじゃん!
す:合理的という言葉がぴったりなんですけれども、
嗜好品とか、電球とか、スゴい箱に入ってるんですね。
日本だとちゃんとダンボールに入っているんですけど、
(手で小さい四角を作って)このくらいの厚紙を組んだものに入っていたりして。
非常に・・・クオリティは低いです。→笑い
い:何を言うのかと思ったら、こんだけ(クオリティが)低い話をしてるのに、高え話がひとっつもないんだよw
す:ですが!
い:おお!?
す:ソ連の誇る、「ロージナ」と呼ばれるT-34という戦車!(※ロージナという愛称については諸説あるようです)→笑い
い:さっき言ってた、量産できる戦車でしょ?
す:りょうしゃん・・・量産できる戦車が、すごく性能がよろしいんです!

※ここからすみぺ、まさにエンジンが入ったという感じで、怒涛の戦車トーク。
す:ドイツの戦車はあまりにも高性能で、複雑なんですね。
だから微細な泥とかによって止まっちゃったり・・・でも前線の兵士には修理できないくらい高度で。
けれどもソ連の戦車は非常に簡素な作り方で・・・→笑い
「あ、ここが壊れてんの・・・じゃあ、(手で何か貼り付けるような動きをして)ペタペタペタ・・・」という感じで直っちゃうわけですね
い:なるほど。
す:そういうタフさがあるんです→笑い
い:タフなの?
す:タフなんですよ!
とにかく数が沢山作れる。
今まで工場で働いたことのないような人も駆り出され、
ハリコフ工場(※ハリコフ機関車工場(KhPZ)を指していると思われますが、違ったらすみません)とかでじゃんじゃん戦車を作るわけです。
で、鹵獲したドイツ戦車のパーツをかっぱらったり・・・スクラップ&ビルドしていくんです。→笑い
なので、前線で戦車がパワーアップしていくという・・・→笑い
い:申し訳ないけどゲーム話じゃないよね?→笑い
す:違いますぅ!
ホントの話です。じゃないと、独ソ戦には勝てなかったですし・・・
アメリカ人が宇宙でも使えるボールペンを・・・宇宙でも漏れないインクを開発した、一方ソ連は鉛筆を使った、みたいな・・・→笑
い:鉛筆の方がいいよねえ。
す:「ザ・効率」というか・・・余計なものは作らないという。
鎌とハンマーのTシャツも外国人しか買いませんから・・・
い:旧ソ連で食事したことが無いからそういうこと言いますけど、食事なんてひどいもんですよ。
す:おいしくなかったですか?
い:食べられないですよ。マズい。
す:どういう感じでしたか?スタローヴァヤ(столовая)・・・食堂みたいなところですか。
い:食堂みたいなところ。宿の近くにあって・・・
一回止められたんですよ。お腹こわすかもしれないからやめた方がいいと。
でも一回くらい・・・ということで行ってみたんですけど。
す:はい。
い:頼んだのはスープと何か・・・
す:ボルシチ的な・・・
い:そんな感じでした。もう食べられたもんじゃない。
す:へぇ〜・・・
い:結局、そういうことは想定されていて・・・
イギリス、アメリカ、日本から何千人も行ってますから、
外で食事しなくていいように、スタジアム内でできるように、食料はイギリス、ドイツから陸送したんですよ。
す:はぁ〜、レンドリース・・・(※レンドリース法、または武器貸与法は、アメリカ合衆国が1941年から1945年にかけて、イギリス、ソビエト連邦(ソ連)、中華民国、フランスやその他の連合国に対して、イギリスの場合はニューファンドランド、バミューダ諸島、イギリス領西インド諸島の基地を提供することと引き換えに、膨大な量の軍需物資を供給するプログラムのこと・・・だそうですが、この場合に当てはまるのかどうかはすみませんよくわかりません)
い:食料、ドリンク、ビール・・・そういったもの全部。
す:外国人用に・・・
い:そう。外で食べさせないように。フェスをやらなきゃいけないから、お腹こわしたとかそんなことにならないように。
す:なるほど・・・
い:興味深かったのは、赤の兵士(※ソビエト連邦軍を指した言い方かと思うのですが、間違っていたらすみません)もそこで一緒に食べられるんですけど・・・
す:ほうほう・・・・
い:スタジアムを守っている・・・まあ、今で言うと(※よく聞こえませんでした)みたいな、そのへんのスタッフです。
す:セキュリティの方がた・・・
い:そう。そういうのを赤の兵士がやってる。
興味深かったのは、僕らは並んで、トレイを持って、ケーキとか、肉とかとって
それでテーブルで食べるわけですが、赤の兵士も時々並んで、食べるわけ。
そのときアレクさんが、
「マサ、教えてあげるけど、こういう風に自分の好きなものを選ぶというのは、今の赤の兵士は、民主主義を少しずつ、自然に覚えていってるところなんだ。こういうのは東では無い、西のやり方だから。こういうことで、西の自由とか、民主主義を、なんとなく感じながら我々と一緒にいるんだよ」って。それが印象的な言葉だった。
す:その時代感を象徴していると言いますか。
ソ連には「選ぶ」ということが存在しないので・・・
い:そのとおり。
す:選挙もあってなきようなもので・・・
選択するという概念を、ゴルバチョフ政権の終わりから、エリツィン時代を越えて、プーチン時代の頭まで、少しづつ市場経済を得ていったと思うんです。
まさにそのスタート地点をご覧になったんだと思います。
い:いやあ、そうだと思いますよ。
で、そのデカい食堂で…イギリス人やドイツ人、男女働いてるんだけど…あるときTシャツが配られたんです。
す:何のTシャツだろう。
い:ハードロックカフェ(※ハンバーガーを中心としたアメリカンレストランである。現在では北アメリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、中近東、カリブ海、アジアなど世界の主要都市に120店舗以上がある)のロゴで、「モスクワ店」とロシア語で書いてあった。
す:いいですね!
い:それは、存在しない店なの。
す:えっ?
い:つまり、まだ西側の店というのは無いから、フェスに来た人に、「こういう店があったらいいでしょ?」という、幻のTシャツを配ったの。
そしたら、兵士たちがみんなニコニコしながらもらっていくんですよ。
す:いいですね〜!
い:誰かが、「マサ、ほんとにソ連は変わるぜ」と言って。「そんな気がするよね」って。
そういうことを、滞在している1週間で感じていった。
す:へぇ〜!
い:あるとき、ウクライナホテルの裏側の大きな川を、ボートに乗ってゴーリキー・パーク(※前述のバンドではなく、こちらは実際の公園)まで行くということで。
す:おお〜、いいですね。
い:僕と、スコーピオンズ(※ドイツ・ハノーファー出身のハードロック、ヘヴィメタル・バンド。旧西ドイツ出身で、ジャーマン・ロック界の黎明期から、ハードロック・ヘヴィメタル・バンドとして活動。同国出身HR/HMバンドとしてアメリカ進出にも成功した、世界的に有名なロックバンドである)と、兵士10人くらいと、アメリカのMTV(※ニューヨークとロンドンに本部を置くアメリカの若者向けのケーブルテレビ・チャンネル)のクルーで、パークまで行こうと。
天気がよくて風も爽やかで・・・
そしたら、笑い声がするんですよ。
見たら、赤の兵士たちが、帽子とって、ここ(胸元を指して)ボタン外して、大笑いしてる。
す:おお〜・・・何でしょう?
い:自由だよ。ビール飲んだりしながら公園に向かって・・・
その時に、スコーピオンズのクラウス・マイネ(※ヴォーカリスト)が、頭に浮かんだ歌詞を書いたのが、「ウィンド・オブ・チェンジ」という曲。
「変革の風が吹き抜けていく」っていう歌。
(※また、この曲が後のEU誕生のときに・・・というようなこともおっしゃっていたと思うのですが、はっきり覚えていません。すみません)
す:へぇ〜! そんなお話が・・・!
い:僕たちが行ったソ連の最後は、兵士も、僕が出会った男の子もそうだけど、あの近くにいた人たちはみんな、少しずつ何か変わっていく手応えを感じていて、フェスを通じて・・・特に関係者の僕たちは、ロシアの兵士や・・・スタツナミ(※と聞こえたんですが、検索では引っかからず、間違っているかもしれません)っていう、ゴーリキー・パークのマネージャーとかやってる人なんだけど、そういう人たちが、少しずつソ連は変わっていくんだということを感じていた・・・
す:へぇ〜・・・!
い:あれは、1989年に時代の潮流が大きく動き出して、潮目が変わろうとしていた・・・そういう時代だったことは間違いないです。
す:そうですね・・・ちょっとずつ、西側の文化も見られるようになり、実際に各国のメタルバンドもやってきて・・・闇でじゃなく、実際に目の当たりにできるのが、いい体験だったと思いますし・・・
その頃、モスクワに初めてマクドナルドがオープンしたり。
い:そうそう。
す:ソ連の人が、店員が笑っているのを見てびっくりして・・・
「なんで笑っているんだ?」「あ、あれはサービスなんだ!すごい!」って・・・→笑い
そういう体験をしたという話は聞くので・・・
でも、モスクワにハードロックカフェは、今はあるんでしょうか。
い:あるんじゃない?(※公式サイトを確認すると、モスクワ店が存在するようです)

※ここで伊藤さん、先程の幻のTシャツについて思い出したことがあるようで・・・
い:とにかく89年は、旧ソ連でロックフェスが行われるということが、我々も成功するかどうか分からないと言いながら、ずいぶん期待して、楽しい・・・そういう気持ちがあったから、イギリス的なセンス・オブ・ユーモアというのか・・・
今出ている「THE 伊藤政則」(※BURRN! PRESENTS THE 伊藤政則 (シンコー・ミュージックMOOK)のことかと思われます)の、1991年7月10日の、NYでメタリカにインタビューした時のページに、メタリカの2人が、黒いケーキとろうそくで、僕を歓迎してくれている写真が使われていて。
す:黒いケーキ・・・
い:「ブラック・アルバム」(※メタリカがリリースした5作目のアルバムで、正式タイトルは「Metallica」。通称が「ブラック・アルバム」)という、メタリカの最高傑作が作られた日なんです。その日は僕の誕生日だったんですよ。
す:おお〜!
い:そのときに僕が着ていたのが、そのハードロックカフェの、幻のモスクワ店のTシャツですよ・・・今思い出した。
す:その写真が残ってる・・・
い:カラー写真になってます。
す:素晴らしい・・・もらったものを大事にする方なんですねえ・・・
い:そこなのね!→笑い&拍手

い:そこだよね、突っ込みたいのは・・・「モノを大事にする伊藤政則」
す:www・・・Tシャツ2年着てると、ヨレヨレしちゃうので・・・大事に・・・
い:大事に着れば、2年も着れる。
す:しかも、ソ連製の・・・
い:違うって。イギリス製。→笑い
す:あ、だからもってたんですね・・・→笑い
い:そうだよ・・・(すみぺのTシャツを指して)人間椅子は日本製でしょ?
す:そうだと思います。
い:僕ばっかり話したね、なんか・・・→笑い
す:でもすごく勉強になったと言うか・・・
わたしは、一人で資料を読んで妄想してたりするんですけど、こういうフィジカルな体験のお話というのはなかなか聞けないですし、実際にソ連に、フェスや取材で行った人がいないので・・・そんな恐ろしい経験があったのか、と・・・→笑い
特に、ゴルバチョフ政権の終わり頃の混乱のすごさとか。メロディアの話は初めて聞きましたし・・・
い:そうなんだ。
す:銀行みたいな、(レコードの)平積みとか今週のオススメみたいなのが・・・
い:ない。誰もオススメしてないので。→笑い
す:無音のレコードショップというのに、ソ連の雰囲気を感じますし・・・
それにこう(かばんを持つようなジェスチャー)チラッチラッて見せてくる人がいるというのも、ソ連の終わり頃の雰囲気がありますし・・・
ゴルバチョフの缶バッジとかが売ってるのは、謎だなあと・・・
い:あれ、お土産に買ってきましたよ。缶バッジ。
す:あ、そうなんですか? 何ルーブルくらいで買えたんですか?
い:どのくらいかな、別にコレクターじゃないから、1個か2個買って・・・
あとは、(残った)お金の使いどころがなかったんですよ。当時は、ルーブルは国外に持ち出し禁止だったんで。
す:えぇ〜・・・!
い:だから使わないといけなくて、待ち合わせまで時間が無くて・・・歩いていたら何か異様に高いものがある。
(手のひらサイズくらいの大きさを示して)このくらいの、有名な漆塗りか何かの・・・宝石を入れるような小箱だった。貨幣価値でいうと10万くらいする・・・それを買って。
で、紙幣が2、3枚余ったんだけど、しょうがないからどこかのトイレに流した。
す:えぇ〜!
そっか・・・ルーブルは持ち出せなかったんですね。
い:禁止です。
す:すごいなぁ〜!
い:出国で調べられたりはしないだろうけど、難癖つけられてもイヤだから、一応持ってない方がいいと。
一緒にいた、長谷部 宏さんというとても有名なカメラマンの方がいるんだけど、その方が時間になっても帰ってこないんですよ。
そしたら(向こうから長谷部さんが)ずーっと歩いてきて。
「政則、政則」って呼ばれて。
「何やってんの?」って聞いたら
「買うものが無かったから」って言って、
(両手をいっぱいに広げて)こんな(大きな)絵を買ってきちゃって。→笑い
す:えぇ〜! それで遅れちゃったんですか・・・w
しかも、包みもなくてハダカで・・・(絵を抱えてる長谷部さんの)顔が見えないんだよ!→笑い
「これ飛行機に積むんですか?」「買う物が無いんだから」なんて言って・・・
す:お金があっても買うものがない・・・!
そういう実体験が聞けたのも・・・
しかも、79年のソ連にも行かれたという・・・
い:収容所ですよ。→笑い
す:その頃のソ連は、ノルマ至上主義と言いますか・・・
上から言われたことだけをこなしていく・・・暮らしと言いますか・・・
い:それ褒めてんの?→笑い
俺、旧ソ連の復活は絶対に賛成しないから・・・→笑い

す:なので、いかに凄かったか、体験を聞けてわくわくしちゃいましたし・・・復活は難しいとは思うんですけど・・・
い:無い、無い・・・無いよ→笑い
す:ですけど、そういうワールドが存在したのが奇跡的だと思いますし・・
い:やぁ、辛かったですね・・・
す:ウォッカとか、飲まなかったんですか?
い:飲みましたけど・・・ウォッカとか好きなんだよね?
す:そうですね。
い:それ、ウォッカが好きというよりソ連のものだから好きなんでしょ?
す:最初はそこから入りました。ロシア人と仲良くなりたくて・・・
でも、今の若者にとって、ソ連時代は反面教師として存在していて・・・
今の若者の親世代は、みんなウォッカによってアル中になってしまったので、ああはならない、おれたちはビールしか飲まない、という人が多くて・・・
い:ハード・リッカーは飲まないってことね。
す:ロシアの大学生と交流した時、乾杯で誰もウォッカを手に取らなくて・・・→笑い
い:若い子はそうなんだ。
す:若者のウォッカ離れが・・・→笑い
い:どこかのメーカーのまわしものみたいだよw
す:w・・・でも、スーパーに行くとたくさんウォッカが売っていて、とても安く・・・1本40ルーブルぐらいで・・・
い:そういうロシア系のドリンク、グルジアワインとかは?
す:グルジアワインも大好きで。
い:ワインってフランスとかカリフォルニアとか、めっちゃ美味しいのいっぱいあるのに、何でそこに行くの?
す:やっぱり、スターリンが飲んでたから・・・w
い:そうでしょ!?→笑い&拍手
い:うまいとか、滋養があるとかじゃなくて、「ソ連」というのがあれば・・・
す:や、グルジアワインは味もおいしいですよ!
い:そりゃあそう言わなきゃしょうがないよ・・・もっとうまいのいっぱいあるもん。→笑
す:わたしは、ガワから入るタイプで・・・メタルも、ジャケットとか、ファッションとか、80年代のテンションが・・・
い:テンションとか、ファッションね。
す:ミュージック・ライフの、キャッチコピーもすごい好きで・・
い:さっきから、モトリー・クルーとかラットしか見てないじゃん!→笑い&拍手
LAメタルって他にもあるのに・・・なんでそれ以外見てないの。
す:w・・・なんで目がいっちゃうんでしょうね?
い:好きだからでしょ?
(誌面を指して)この人知ってる?・・・知らない?この人。
す:ん? この人・・・
い:アクセル・ローズだよ。(※世界的なロックバンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」を主宰しボーカリストを務める)
す:あっ、こんな顔してたんですね!→笑い&拍手
い:そろそろ終わった方がいいかな・・・

す:え〜!そうなんですか?

●しかし終わらない

い:(また誌面を指して)この人知ってる? 股間にノコギリがある人→笑い
す:誰ですか?
い:ワスプ。(※W.A.S.P.(ワスプ)は、アメリカ合衆国出身のヘヴィメタル・バンド。
「LAメタル」を代表するバンドの一つ。強烈なキャラクター ブラッキー・ローレスを擁し、キャッチーな音楽性と過激なパフォーマンスで人気を博した。後年はブラッキーのソロ・プロジェクト的側面が濃くなり、正統派のHR/HMスタイルに変化していった)
す:あ、ワスプさん・・・(読み上げて)「狂乱のヘヴィ・メタル」「全世界発売禁止」・・・そうなんですか?
い:デビューシングルのタイトルが、あまりおよろしくないから、禁止になったんです。
す:じゃあ、どうやって・・・(※発売ないし再販したのか?ということを言っていたと思います)
い:イギリスのレコード会社が、大胆にも出したんだけど、すみれちゃんの前では言えないようなタイトルなので・・・→笑い
す:たしかに、この記事にはタイトルは・・・
い:何て書いてます?→笑い
す:伏せ字になってる!
い:伏せ字!www

(※ここには載せませんので、興味ある方はご自身で確認してください!)
す:でも、1万枚限定発売したって書いてますね・・・そういうやり方があったんですね。
い:やり方!もう、プロモーションと読んでるもんねw→笑い
す:(読み上げて)「さらにすごいのはライブ・・・」(※ボーカルのブラッキーローレスが松明でガス管に火をつけて・・・といった、ライブ演出の話だったと思います)
い:いや、朗読会じゃねえし→笑い
なんですぐ朗読会に入ろうとするのw
す:や、読みやすい文章だなと・・・w→笑い
い:www
LAメタルは、だいたい読みやすいよね。
す:やってることがわかりやすいと言うか・・・
聴いていると、80年代っぽさを味わえると言うか。生まれてない時代を想像するのが好きなので。
い:なるほど。

※ここですみぺから、伊藤さんに質問。
す:こういう、若くて雑にメタルを聴いてるメタルファンは・・・
い:待って、どういう意味ですかw→笑い
す:リアルタイムではないので・・・
い:そういうことか。
す:ワスプを知らなかったり、LAメタルと言っても、ラットやモトリー・クルーばっかり聴いてたり・・・そういう人が、楽しく、包括的にメタルを学ぶには、どうすればいいでしょう?
い:それは・・・
す:あっ、聞こうと思ってたことがあったんだ!
い:いいよ。
す:ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタルの・・・歴史。
い:・・・長いな!!→笑い&拍手
す:www

(※1970年代後半のイギリスで勃発した音楽ムーブメントのことである。"N.W.O.B.H.M."と表記されることもある。アイアン・メイデン、デフ・レパードらが、NWOBHMの代表的なバンドとされている)
す:聞こうと思ってて、忘れてた!
い:(歴史については)教えてあげるけど、それはアタマの方でやらないと・・・もう3回くらい、タワー(レコード)から「終われ」の指示が来てるんだよ。→笑い
ここに来てチャレンジングな・・・
す:エンディング・トークではできない・・・
い:いやいや、何を知りたいですか?
す:「ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタルとは何か」みたいな、番組を観たんです。サム・ダン監督の・・・(※英語版Wikipediaより引用:受賞歴のあるドキュメンタリー映画製作者、カナダのミュージシャン、人類学者であり、ヘヴィ・メタルに関する一連のドキュメンタリーで最も有名)
い:ああ〜、カナダ人の。僕の友達ですよ。
す:お友達? そうなんですね!
い:僕も「グローバル・メタル」というのに出演してるんです・・・それで?
(※スコット・マクフェイデンと人類学者のサム・ダンが監督した、2007年公開のドキュメンタリー映画。2人が監督した2005年公開の映画『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』の続編。2007年10月17日にベルゲン国際映画祭で封切られた。『グローバル・メタル』では、グローバリゼーションが及ぼした前衛ヘヴィメタルへの影響と、異なる文化圏の人々がどのようにヘヴィメタルに変化を起こしたかを描いている)
す:わたしは(番組を)途切れ途切れにしか・・・主にブラック・サバスとアイアンメイデンのところしか観ていなかったんですね。
そもそも、ブラック・サバスのようなダークな音楽は・・・「パラノイド」は(リリースが)70年ですよね?
い:そうです。
す:ああいった音楽が、急にパンクの中から生まれてきたのか・・・
い:ああ、それは違いますね。
す:違うんですか?

●よくわかるN.W.O.B.H.M.

※伊藤さんから、当時の音楽の時代背景が語られます。
い:イギリスの音楽はとても独特で・・・
60年代・・・66年くらいから、イギリス人/白人が、アメリカから黒人の、ギタリストや、ソウルとかブルースを歌う人を、バンドとしてじゃなく、(個別に)呼んできて。
なぜかというと、ユニオンと言うんだけど、外国人をイギリス国内で、いっぱい働かせないという法律があった。
す:へぇ〜・・・!
い:イギリス人を優先して働かせるために、そういう組合というか法律があって。
そういう問題があったから、ギタリストだけとか、(個別に)呼んで。
それで、白人のバンドが、そういう人たちのバックで演奏して、国内で興行(コンサート)をしたんですよ。
す:はい。
い:そのようにして、イギリスの、若い無名のバンドが、黒人のスタイルとか、プレイを学んでいく。
す:なるほど、一人だけ呼んで・・・
い:そういうことが、繰り返されていったんです。
す:へぇ〜!
い:だから、イギリスの音楽は、根底にブルースがある。
す:なるほど、外国からやってきた・・・
い:そのとおり。イギリスにはブルースは無かったから。
イギリスにいた黒人というのは、旧植民地の、西インド諸島・ジャマイカとかから呼んできた、そっち系の方がいる。アメリカの・・・失礼だけど、奴隷として連れて来られたような、黒人の人種(系)ではなかったので、イギリスではブルースは生まれてなかった。
す:あぁ〜・・・
い:イギリスのミュージシャンは、自分たちに無い要素を取り入れて、自分たちのものを作るというのが得意だった。
す:なるほど。
い:だから、ブルースがあるんだ。ブルースは、哀しい感じのコード(※和音のこと)で、暗い。ブルースは、ハッピーなことを歌ってない。今日も労働で、お母ちゃんは具合悪くて、雨で・・・そういうことを歌ってるから、暗い。
す:哀しいイメージがありますね。
い:そのとおり。そういうものを、実は60年代に演奏してた。
そのうち、機材が発達して、大きな音を出せるようになって・・・
ファズとか、ギターの音を歪(ひず)ませたり・・・
だんだんブラック・サバスに近づいてる話だよ。
す:はい、聴いてます・・・!
い:機材の発達によって、「チャラーン」としか(ギターなどで)鳴らなかった音が「ウワ〜ン」という音も出せるようになる。
す:外国のブルースの要素が・・・
い:それが基本です。
どんどん機材が発達して、音が大きくなって・・・
ポイントは、大きな音を出せるアンプが開発されたということです。(※アンプ・・・正確には違いますが、エレキギターなどをつなぐでっかいスピーカーと思ってもらえれば分かりやすいかと)
今までは、音が小さかったので、音が(遠くまで)いかないから、演奏しててもバーで酒飲んでる人の声が聞こえた。
そうじゃない、「ガーン」と弾いたら、スーパーカーみたいな「バーン!」という音が出せるような、マーシャル(※メーカー名)のアンプとかが開発されて・・・
す:じゃあ、60年代までは、おっきい音のライブというのは・・・
い:ないです。
66年に初めて、アンプが大きくなって・・・クリームというバンドがいたんですけど、
(※クリーム(Cream)は、イングランド出身のスリーピース・ロックバンド。1960年代のハードロックの源流とされるグループの一つ。当時新鋭のプレイヤー ジャック・ブルース、エリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカーによる編成から、スーパーグループの草分け的存在として知られている)ドラムもいっぱい・・・キックとか、周りに置いて。やったときに、ものすごく音がデカくて。当時の新聞に、「〜km離れたところの、農家のにわとりが卵を産まなくなった」って→笑い
す:音がでっかいバンドに驚かされたんですね・・・!
い:当時、クリームは機材の発達を一番最初にとらえたバンドのひとつで、「ボワ〜ン!」という(大きい)音で衝撃を与えたんです。
す:へぇ〜・・・! そうは思わなかったなあ・・・(※クリームがそういうバンドだったとは思わなかった、という意味かと思いました)
い:そういう時代が、どんどん進んでいって・・・
ブラック・サバスの・・・(前身として)アースっていうバンドを、バーミンガムの町でやっていたんだけれども・・・
バーミンガムって、はっきり言って希望のない町っぽい感じがするんだよ。
工場、労働者、鉄工場・・・ロンドンとはまるで違う。
す:産業革命みたいなテンションの町なんですね。
い:そうそう! そういうところで、貧乏な労働者が多くて・・・そういう人たちが、バンドをやるようになるわけ。その中の一つがブラック・サバス。
す:へぇ〜!そうなんだ!
い:注目すべきなのは、ギターのトニー・アイオミが、初期は食えなくて、出稼ぎに行ったりして・・・全然ダメだった。
す:えっ、最初はダメだったんですね!
い:ダメだった。けど、(サバスの)マネージャーは、元々ジャズのプレイヤーだった。だからいつも、後にブラック・サバスになる4人を集めて、ジャズを聴かせていた。「こういうものを、自分たちのプレイに落とし込んで、今の機材でやれば、新しいものが生まれる」と。だから、よく聴いてみると、ブラック・サバスの3rdくらいまでのドラムは、ジャズビートが多い。
す:メタルと、ジャズのビートはどう違うんですか?
い:違う。よく聴いてみると、グルーヴって言うんだけど・・・
「メタル」「ハードロック」と言うのも、もともとは普通に「ロック」と呼ばれていた時代だから・・・
当時は、「クラシック」、「ジャズ」、なんとかかんとか・・・そういった既存の要素を取り入れて、組み立てて、自分の音楽としてやっていたわけです。
す:そういえば、その番組で、「ブラック・サバスにはクラシックの要素もある」みたいなことを・・・
い:あるかもしれない。はっきりクラシックとはわからないけど。
トニー・アイオミは、働いていた工場で指を2本切断するという事故があって、金属の指サックをはめているから、普通に指で(ギターの弦を)押さえるよりも(出す音が)金属的なトーンなんだよ。
す:そんな違いまで・・・
い:そんなこともあって、ブラック・サバスは・・・トニー・アイオミが、ロックではあまり使われなかった音階を発明したりとか・・・今でこそすごいバンドだと言われてますけど、イギリスでは、(評価・人気は)そこそこ。
す:えぇ〜!
い:なぜかというと、60年代は、他にもうすごいバンドがいっぱいいたから。
ブラック・サバスが評価されたのはアメリカでなんですよ。
す:イギリス国内じゃないんですね・・・国内では、その頃はどういう人がいたんですか。
い:まあ、レッド・ツェッペリンだね。
す:おぉ〜・・・! そっか、同期なんだ・・・
い:(デビューが)68年だから、(サバスより)先輩だね。そういう先輩たちがすごくて。ブラック・サバスのレーベルも、ヴァーティゴといって、そんなに大きなところじゃなかった。
す:全然作風が違う・・・
い:実験的なレーベルだった。予算も少なくて、一日でレコーディングを終わって、売れたら2枚目以降を出そうという・・・サバス以外にも、マネージャーの手持ちのバンドが、いっぱいレコードを出すんだけど、その中の一つがブラック・サバスだったんだよ。
す:へぇ〜。
い:だけど、ブラック・サバスの不気味さや、クラシックの要素、オジーの甲高い声、狂気・・・そこを評価したのはアメリカなんだ。
す:はぁ〜・・・!
い:アメリカにああいうタイプは全くいなかったから。ブルースをベースにしているけれども、アメリカのブルースじゃなく、イギリスの白人が確立したブルースだから。
す:別物という・・・
い:そう、アメリカ人は聴いたことがなかった。特に、ヨーロッパ的な不気味さ、「13日の金曜日」みたいな・・・アートワークや、魔女伝説とか・・・全部ヨーロッパのエピソードだから、アメリカ人にとっては映画や小説の中の世界なんですよ。そういったものを音楽で表現したということで、ブラック・サバスはアメリカで大ブレイクするんです。
す:そういうことだったんですね・・・!
い:だから、今でもイギリスよりアメリカでの評価が非常に高いです。
す:黒人じゃない人が考えたブルース・・・
い:白人のブルースね。
す:白人のブルースが、独自性があったと・・・
い:おどろおどろしさを強調するようなスタイルで・・・
もう、4回くらいタワーから「終わってくれ」って→笑い
別にいいんだけどね・・・この後、何か仕事入ってますか?
す:いえ、わたしは特に・・・
い:じゃあ、もうちょっとやりますか→笑い&拍手

※この時点で2時間くらい経過していたと思いますが、まさかの延長戦に。
す:そんな、タイムスケジュールの存在しない感じなんですね。
い:打ち合わせも全然しなかったもんね。
す:一応、サイトウさんとは事前に話したんですけど・・・
い:ああ、一切見なかったです→笑い
サイトウさんが「一応話を・・・」(と言ってきたけど)「ああそうですか」と言って・・・→笑い(※事前にゲストの情報を頭に入れないタイプだから・・・的なこともおっしゃっていた気がしますが、うろ覚えです。すみません)
す:やっぱり、体系立てて説明して頂くと、ブラック・サバスがなぜこんなにすごいのか、理解できました。
い:うまく言えないけど、特にイギリスは狭い中にバンドの数が多くて、大手のレコード会社から出てくるバンドのプロモーションもあったので、サブレーベルと言うんだけど、大手のレーベルにぶら下がって、実験的なことをやっている・・・マニアには注目されたけど、保守的な一般層には、ブラック・サバスはまだ届いていなかった。
す:ナゴムレコードみたいな感じの・・・
い:ああ〜!→笑い&拍手

好きですよねえ・・・そんな感じ!→笑い
(※1983年より断続的に活動している日本のインディーズレーベル。通称ナゴム。すみぺの好きな筋肉少女帯も在籍していた)
す:そうだったんですね・・・
い:だけど、アメリカではラジオでかかるから。
す:ああ〜。
い:ラジオでかかると、「何これ、ヤバい!」って思う人が出てくる。イギリスでは、ブラック・サバスは一切かからない。BBC(※英国放送協会)なんか絶対かけません。→笑い
す:アメリカの人は、ラジオで聴いて、リクエストしたりして・・・
い:そう。何だこれは、って。
こういう話もありました。イギリスは国土がちっこいので、イギリスのバンドはドイツのハンブルクとか、そういう近場のクラブに行って、ハコバン(※店やクラブで一定期間専属として演奏すること)で1週間ずーっとやったりして、お金もらって生活していたって。ブラック・サバスも、ドイツやスイスで、細々とコンサートなんかやっていたんだけど、ある時、アメリカでレコードがブレイクして、ツアーをやると。
す:おお、一気に!
い:彼らが最初に到着したのは、たしかフロリダですよ。
到着して、メンバーが驚いた。なぜか。海外に初めて行く。飛行機もまず普段乗らない。そういう人間がフロリダに来た。たしか夜中・・・遅い時間に着いて、飛行機を降りた・・・暑い!!→笑い
す:暑い・・・
い:イギリスは寒いから。
す:ああ〜・・・
い:で、何したと思います?
泊まったのはモーテルです。全員、夜中にプールで泳いだんです。→笑い
す:めちゃくちゃ満喫してますね!
い:嬉しい!
す:暑くて嬉しい?
い:つまり、「これがアメリカか!」と。
す:ああ〜・・・
い:「何これ!」と・・・
それで、プールがある。イギリスには、寒いからプールが無い。
す:なさそうですねえ。
い:夜中に泳いだこと・・・それが思い出だって言ってましたよ。
す:w・・・めちゃくちゃいいじゃないですか。
い:あの思い出の無いオジー・オズボーンが。→笑い
す:その思い出は大事に・・・w
やっぱり、初めて行ったときの衝撃が強かったんですね。
い:暑いと。イギリスは寒いから・・・イギリス人のヴァケーションは、いまだにスペインとか、南フランスとか、あっちのほう。
す:どんよりした曇り空から離れたい・・・
い:そのとおりですよ。
オジーは、何十年もどんよりとしたバーミンガムに住んでたんですよ。
す:しかも、工場ばっかりのところで・・・
い:そう、ムショに入ったりとか・・・→笑い
す:それは・・・楽しくない・・・
い:楽しくないですよムショは・・・→笑い
それが、たまたまアメリカに行くことになって・・・
だけど、逆に言うと、アメリカの文化に影響を受けちゃったんだ。
アメリカでのコンサートだと、楽屋に酒がタダで置いてあったり・・・
す:ああ!
い:そして、悪いやつら・・・ドラッグを持ってるような連中が寄ってくる。
すると、ドラッグ、アルコール、夜遊び・・・身体崩すよね。
す:ああ〜・・・
い:それが、ブラック・サバスの「4」というアルバム(※正式タイトルは「Black Sabbath Vol.4」)なんですが、すみれちゃんも知っている、1曲目が「スウィート・リーフ」で。
す:はい。
(※Wikipedia等で確認すると「スウィート・リーフ」が収録されているのは3rdアルバムの「マスター・オブ・リアリティ」(Master of Reality)が正しいかと思われますので、ここは伊藤さんの記憶違いと思われます)
い:「オホッ、オホッ、オホッ」という、トニー・アイオミの声から始まりますけど、あれは、マリファナを吸っていて、喉にグァーっと来て・・・
「ドゥハッ、ドゥハッ、ドゥハッ!」
・・・っていったのを、プロデューサーが面白いと思って、タイトルを「スウィート・リーフ」・・・つまりマリファナの葉っぱです。それで「オホッ、オホッ、オホッ・・・♪ジャージャージャジャジャジャ・・・・」
・・・あのアルバムの頃が、ブラック・サバスは一番ヒドかった。
す:具合が悪かったんですねえ。
い:具合が悪かったっていうか・・・心も病んでますから→笑い
す:悪い友達がいっぱいできて・・・
い:そんな顔してましたよ→笑い
す:でも、素敵な曲ですし・・・
い:めちゃいい曲だよね。
す:とても、ヤク漬けでとっていたとは・・・→笑い
い:そりゃ、ベロベロならレコードにならないですから。
す:ちゃんと起きてるときもあった・・・
い:起きてますよ!→笑い

ウェイクアップはしてます・・・
す:でも、むせてる音からイントロに入るという、発想がすごいですよね。
い:発想がトんでるよね。
す:素敵です・・・
い:素敵というか・・・僕には、スタジオの様子が手に取るように分かるな。
す:モックモクですか。(※煙で)
い:モックモクですよ。→笑い

スタジオだけじゃなくて、コンソールルームとか・・・モックモク。(葉巻を吸うようなポーズで)こんな、ジャマイカのおっさんみたいな感じで、「ガハハハハ!」とか、笑いながら・・・
す:だから、あんな声がおっきいんですね。

●メタルの人はなぜ

※いよいよ最後の話題に。
い:最後に、すみれちゃんから何か聞きたいことありますか。
す:今のでなんとなくわかりましたけど・・・メタルの人の歌唱法って・・・
い:歌唱法。その話はいまだにしたことがないかも。
す:なんで、あんなにおっきい、高い声が出るのか・・・
い:ロブ・ハルフォードとか、オジーとかね。
す:高い声だったり、ダメージっぽい声だったり・・・
い:デス声みたいな。
す:デスと地声の中間があったり・・・ダミ声みたいなのも。ああいうのって、練習なんですか? 才能なんでしょうか?
い:やっぱり、どういうバンドやるか決めるときに、ソプラノじゃできないからね。バンドの方向性があるわけですから・・・
す:それは、協議の結果、寄せていかなきゃいけないんですね。
い:ソプラノのデスメタル・バンドは難しいし。逆にデス声のフォーク・バンドも・・・ちょっと売れそうな気もするけど→笑い
す:聴いてみたいですねw
い:ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードはああいう声が出せるヴォーカリストだから、あれだけレンジの広い音楽性があるし、アイアン・メイデンのブルース・ディッキンソン(※同バンドのヴォーカリスト)は、そんなに高い声は出ないけど、彼の音域に合ったソング・ライティングの能力があるし・・・バンドのスタイルに合っている。やっぱりブラック・サバスも、オジーのあの声が合うよね。声が高い。ちょっと頭痛くなるような・・・
す:そうですね・・・誰にも似ていないから、すごいなって思います。
い:つまり、誰かに似てるということは、売れないということ。
す:ああ〜・・・!
い:当時、イギリスのバンドたちは、誰にも似てないものを作ろうと思っていたんです。だから個性的なバンドが多い。でも、バンドの絶対数が多い21世紀の現在は、人の真似をしないというのはとても難しい。
す:確かに・・・
い:だけど、1つだけ・・・色々な要素をピックアップして、組み合わせていく能力・センスは、現代の方があるかもしれない。
す:色々な、参考になるものがいっぱいあるわけですからね。
い:人がいいと思うものをどう組み立てて作っていくのか・・・ブラック・サバスが出てきた60年代、70年代は、人と違うことをやろう、自分たちにしかできないことをやろうという・・・だから、もともとはアースというバンドをやっていたんだけれども、自分たちがリハーサルをやってるところの近所にホラー映画をやっている映画館があって、「なぜホラーみたいなものを、みんな列をつくって見にいくんだろう」「なら、みんなが見たいホラー的なものをバンドでやったらどうか」と。で、「ブラック・サバス」というバンドの名前を映画のタイトルからとった。
す:人と違って、かつ面白いものをどんどん取り入れていった結果、成功したんですね。
い:そのとおりですよ。ブラック・サバス以外のバンドもやってきたことですが・・・
だから、歌唱法についても同じこと。成功する人の声は、目を閉じて聴いてもすぐわかる。例えば早押し(クイズ)で、「これは?」「オジー!」「ロブ!」とすぐに分かる。
売れてないバンドっていうのは、声に特徴とか無い。ギターも、80年代とか、一音だけで分かる。イングヴェイ・マルムスティーン(スウェーデン・ストックホルム出身のミュージシャン、ギタリスト、作曲家、マルチプレイヤー)とか・・・
す:一音で分かるんですか?
い:みんなそれだけの個性を持ってたけど、今はもう埋没しちゃって、我々の方もなかなか個性を見出すことができない。
す:限界点に達したということですかね。
い:そういう風に言われますね・・・
最後に聞きたかったのはそのことですか?
す:メタルの人は、なんであんなに声が大きいんだろう、というのが純粋に気になって・・
い:ボソボソ歌ってる人いないもんねえ。
す:演奏に負けないように歌ってたら、声が大きくなるってことなんでしょうかね。
い:でも、レコーディングでは一人で歌うから・・・
す:そっか・・・
い:大きな声だけじゃなくて、不気味さとか、小さな声で表現することもあるだろうけどね。
す:ああ〜・・・
い:まあでも、ハードロック・ヘヴィーメタルは音がデカいでしょう。やっぱり、みんなそこに行くよね。
す:演奏に負けないように、ライブとかを通して、なっていくんでしょうか・・・
い:と言うより、声が小さい人はもともとヴォーカリスト目指さないと思う→笑い
す:www
い:「お前なんでそんな声小さいんだよ」「(小声で)今度デビューすることになりました」「何だって?」みたいな・・・
す:それはそれで、応援したくなりますねw
い:応援はするけど、1年も続かないだろうねw→笑い
い:でも、声優になったのは何でなんですか?
す:わたしは、アニメが好きで・・・
い:そうだよね。
す:好きとか、得意から、入っていくわけですね。
い:そのとおりだよ。
す:でも、わたしは歌が得意でCDを出したわけではないので・・・→笑い
そこが、う〜ん・・・難しいなと思うんですね。
い:しょうがない。マルチに活動しないといけないから・・・
歌は、納得できてないんですか?
す:音程って、バラバラですし・・・人前で歌うとき、歌詞を間違えちゃいけないというのが・・・
い:オジーみたいにプロンプター(※ステージ前方部の床付近にディスプレイを設置したりして、歌詞などを表示するシステム)使ったらどう?
す:オジーはプロンプター見てるんですか?
い:気がついてない? じゃあ・・・あまり言っちゃいけないよ。秘密ですよ?→笑い

●オジーは真剣(マジ)

※レポに書いちゃってスミマセン・・・オジーのプロンプター秘話が明らかに。
い:今度オジーのライブを観る機会があったら・・・最後だと思うけど・・・オジーは、ステージで(目の下に手を当てて)ここより上にライト当たらないよ。
す:あっ、目(より上)に当たらないってことですか。
い:そうです・・・下見てるから。→笑い
す:そんなガン見ってことですか。
い:なるべく照明を当てないように、ちゃんと指示が出ていて・・・
(ステージ手前を指して)こっちに来るときは「レッツゴー!」とか言って、(照明も)ガンガン来るけど、歌になったら、俄然・・・→笑い
す:それはラクだなあ・・・
い:で、すごいことがあったんだよ。
オジーが武道館でライブをやったとき、僕はこっち(※舞台袖を指していたかと思います)で見ていた・・・で、オジーがプロンプターガン見で、いつもどおり歌っていた。
で、バケツで、前の方(のお客さん)に水をかけようとしていた。
でも、年寄りで力が無いから、プロンプターにかかっちゃた。→笑い
す:ええ〜!
で、それを見てスタッフは笑ってた。「ダハハ!」「やっちゃったなあ!」って。
そしたら、オジーが歌に入るはずのところで、突然こっちを見て、
こう・・・(両手の人指し指を立てて、振る動き)→笑い
す:かわいいなぁ〜・・・
い:で、俺が、盛り上がってるスタッフに「ねえ、あれヤバいんじゃない?」「あれ・・・ワイパーじゃないの?」って。→笑い
それでスタッフがバァーッ!って走っていって雑巾で・・・(拭くジェスチャー)→笑い

す:えぇ〜・・・!「拭いてくれ」だったんですね・・・ワイパーだったんだ・・・
い:「あれヤバいよ、ワイパーだよ」「マサ、何?」「拭けってことだよ」「・・・おっ!?」って→笑い
す:よく分かりましたね!
い:分かったよ・・・だって歌ってないんだから→笑い&拍手
す:www・・・なるほど・・・
い:今度よく見てみてください。プロンプターガン見で、ここ(目)照明当たってないですから。
す:その演出は・・・
い:演出じゃないんだよ!マジだよ・・・オジーはマジなんだよ・・・マジーなんだ→笑い&拍手
す:オジーだったら成立するじゃないですか・・・
い:しねーよ!→笑い

す:かっこいいから・・・
い:そういうふうに見せてるの・・・
す:すごいなあ・・・それも、バーミンガムの・・・
い:いや、関係無いから!→笑い
す:バーミンガムの土壌が作り出した、工夫の力なんですね。
い:みなさん、「バーミンガムの土壌が作り出した」これがシメのお言葉でございます!ありがとうございました!→笑い&拍手

す:ありがとうございました〜!

●ED

※長かったトークも終了。お二人、席を立って最後の挨拶に。
い:どうもありがとうございました!
す:すごく、観客みたいに楽しんじゃって、しゃべりっぱなしで・・・
い:いやいや・・・
※ここで伊藤さん、すみぺに手を差し出して、お二人握手。
す:あ〜!ありがとうございます!嬉しい〜!
い:どうもありがとうございました!上坂すみれさんでした!
す:ありがとうございました〜!→拍手

※ということで、一礼してすみぺは退場されました。
い:いやあ・・・何とかもったな・・・→笑い&拍手
本当は、昭和プロレスの話もしようと思ってたんですが、内容決めてしゃべってないから・・・完全にフリートークで。
(すみぺは)キングレコードさんでレコーディングしているということで、一度顔合わせておいた方がいいんじゃないかと、サイトウDから話があって。行こうと思ってたんだけど、体調が風邪気味だったので、うつしちゃいけないと思って断って・・・
だから、ぶっつけ本番。挨拶、すり合わせなし。全部、その場の雰囲気。
僕も、上坂さんのことは全く知らないから・・・一応、(スタッフさんが)「ヘドバン」読んでおいたほうがいいよと。少し読んだけど、意味ないと思ってやめました・・・僕が聞きたいのは違うことなんでね。
でも第三回・・・いや〜、明日・明後日、楽になります。→笑い&拍手
どうもありがとうございました!

※ということで伊藤さんも退場され、会場からは拍手。
約2時間半くらいだったと思いますが、トークショーは終了となりました。
参加された皆さん、お疲れ様でした!

●おまけ

※イベント終了直後に収録されたというすみぺのコメントが、伊藤さんのラジオ「POWER ROCK TODAY」(9/21放送回)で流れたので、文字起こしを載せておきます。

い:はい、上坂すみれさんです。今日のイベントどうでしたか?
す:はい、あのー、紙の上でしか見たことがなかった、伊藤政則さんの生声、生のお姿を、えー、見ることができて、さらに、この・・・w ソ連の、79年のお話と、89年のお話も伺いまして、なんかもう、非常に、なんだろう、お勉強に、なりましたし、あのいかに、ブラック・サバスが、こう、あのー色んな要素を得て、あのーアメリカでヒットしたかっていうのを、おさらいすることができて、ちょっと頭がよくなった感じがします。
い:ははははw でも楽しかったね。
す:楽しかったです! あの、すごいいっぱい喋って下さって・・・w あのーわたしがあの、質問をする前にこう、疑問を解決してくださるぐらい、喋って下さって、あの、いち視聴者みたいな気持ちで、イベントに参加しちゃったんですけど、すっごく楽しかったです。
い:はい、また機会があったらやりましょう。
す:はい! ぜひよろしくお願いします!
い:ありがとうございました。
す:ありがとうございました!

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