【感想】ガールズバンドクライ(第13話「ロックンロールは鳴り止まないっ」)
以下、第十三話全編の内容に触れていますのでご注意ください。
<前回の感想>
●冒頭
教室にいる仁菜とヒナ。黒板には「自習」とあり、他の生徒の姿はない。
二人のやりとりからは、仁菜がいじめられているクラスメイトを助けに行こうとしていて、ヒナがそれを止めようとしていることがわかる。
教室を出ていこうとする仁菜にヒナが告げる。
そこで目を覚ました仁菜。夢だったようだが、これはおそらくほぼ実際の記憶だろう。
ここでOPへ。
●Aパート
サブタイトル
第十二話のサブタイトルは神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」
売れない!
事務所に集まった仁菜たちは、三浦さんからダイダスとの対バンライブのチケットの売れ行きが芳しくないことを知らされる。
また、三浦さんによればトゲトゲの露出度、認知度、検索数なども増えているということだが、それでも新曲の再生数が伸びていないらしい。
宣伝の不首尾だろうと頭を下げる三浦さんに桃香は慌てるが・・・
事務所の前。このあと練習があるはずだったが、桃香は先に帰ってしまったらしい。だと言うのに仁菜以外はそれもやむなしという態度で、ついていけていない仁菜だが・・・
言葉に詰まる仁菜。そこへ追いうちのようにダイヤモンドダストのアドトラックが通りがかる。
アドトラックに小指を立てる仁菜だが、「やめれ!みっともないよ」とすばるに引っ張られていく。
助けてあげる
翌日、トゲトゲの評判をエゴサして怒り心頭の仁菜。
しかもこの時点で対バンライブの初日、ダイダスはチケットがソールドアウト。
そんなタイミングでSNSにフォローリクエストが来ていることに気づく仁菜。相手は・・・
川崎駅前。人待ち顔の仁菜に声がかかる。あたりを見回すと・・・
ヒナの「わざとダイダスのボーカルに収まったわけじゃない」という話を言葉通り受け取るなら、芸能なり音楽活動という目指す方向性があった上でのめぐり合わせといったところだろうか。
とはいえ「ダイダスのボーカルオーディション」という認識無しで受けるということはまず無いだろうから、いざ受けるという段階ではそのポジションをしっかりと理解していたことだろう。
ヒナが言うには、トゲトゲのチケットはキャパの3割も売れていないらしく、三浦さんからダイダスに両日出演してほしいという打診があったそうだ。
そしてそれはダイダスのスケジュールとしては可能だが、仁菜たちの考えを聞いておきたいというのが呼び出しの主旨ということらしい。
そのとき施設のBGMだろうか、ダイヤモンドダストの「Cycle Of Sorrow」が聞こえてくる。
ヒナの言葉を聞きながら、トゲを放射しつつ高校での記憶がフラッシュバックする仁菜。
「全部をさらして生きてやる」は第5話のライブでの仁菜のセリフだ。ヒナが仁菜のバンド活動を認識したのは少なくとも第8話以降かと思われるので、後でライブ映像を確認したか何かだろう。
舌を出し、小指を立てて見せるヒナ。
仁菜は立ち上がり、「帰る!」「お金!ごちそうさまでした!」とドリンク代だかを置いて去っていく。
仁菜の背中を見送るヒナの表情が意味するところは・・・
否定しないで!
電話での呼び出しに応じ、桃香の家に来た仁菜。他のメンバーは全員集まっており・・・
まさにヒナから聞かされた対バンの件だったが、ダイダス側からの提案、という点が違っていた。そう聞いてさすがに仁菜もどういうことかの察しはついたようだ。
そんな仁菜に、桃香は冷静な言葉を返す。経費などお金の問題があり、想定を下回っているからには、ダメージを減らすことを考えるしかないという。
桃香は仁菜に・・・皆に対して頭を下げる。
仁菜は桃香のギターをつかみ、こたつの上でかき鳴らし始める。
「ダイダスの両日出演」が仮に本当にダイダス側からの提案だったとしても、この段階でそれを飲むということは仁菜の言った通り負けを認めたことになる。それだけでも仁菜にとっては承服し難いことだろうし、三浦さん(トゲトゲ側)からこの件を打診したとわかった以上は、両日出演に同意することはダイダスに頭を下げるのと同じことになるわけで、それは「絶対に嫌」ということになるだろう。
それはトゲナシトゲアリが、先の仁菜のセリフの通り「桃香さんは間違ってない、桃香さんの歌は通用するんだって、それを証明するんですよね!それを信じてるからここまでやってきたんです!」と、そういうバンドであるから・・・つまり仁菜にとって自身とバンドの根幹に関わることなのだ。
「あの時の私」とはヒナに止められてもクラスメイトを助けに行った瞬間のことだろう。ヒナはその時のことを指して「間違っていたと言えば助ける」と言ってきたのだから。
勢い余って足を踏み外し、こたつから落下してしまう仁菜。
両手で顔を覆い、涙する仁菜。そんな仁菜を見て、桃香は・・・
あのォ~・・・ここの桃香さんなんですがね・・・
こたつに飛び乗ってギターを弾き始めた仁菜を驚きの目で見ているのは、まあその突飛な行動に驚いてるというのもあるかもしれませんが、(後のシーンに関わる話でもあるけど)仁菜のギターが上達してることに驚いてるっていうのがあると思いますし、その後こたつから落ちて泣く仁菜をひとりなんか「まったくしょうがねーな・・・」みたいな微笑みを浮かべて見てるのはもうなんか本格的にダメと言いますか・・・「私の歌」に脳をヤられすぎてるとしか思えないんですよねぇ・・・だってもうこの時点で仁菜の主張を受け入れてる顔してるんだもの・・・ハァ~ア!(クソデカため息)
ここでAパート終了。
●Bパート
選択と責任
教室。おそらく冒頭の夢/回想の場面の続きだろう。
仁菜の額には絆創膏が貼られていた。高校の回想シーンで何度も現れている姿だ。いじめを止めに行った結果、受けた傷なのだろう。
場面は現在。前回も登場した、仁菜の家の近所の神社。
仁菜は高校でのいじめと、ヒナとの絶交について桃香たちに話していた。
驚きの表情を見せる桃香たち。
仁菜はそんな目に遭っても、助けた子のことを悪くは思えなかったのだろう。
智の言葉が嬉しかったのか、勢いよく抱きつく仁菜。
事務所。仁菜たちはトゲナシトゲアリとしての選択を三浦さんに伝える。
桃香が差し出したものを見て、三浦さんは言葉を飲み込む。
「退所願」と書かれた封筒。仁菜たちは自分たちの選択の責任をとるべく、事務所を辞めることを選んだのだった。
頭を上げて理由を教えてほしいという三浦さんに逡巡を見せる桃香だが、その問いには仁菜が答えた。
レコーディングスタジオ。新曲のレコーディング・エンジニアを務めてくれた中田さんにも、退所の件を伝える仁菜たち。
一生の誓い
事務所/スタジオからの帰りだろう。いつもの吉野家の前にいる仁菜たち。
仁菜の言った「誓い」は、桃香がかつてダイヤモンドダストのメンバーと交わした・・・果たされなかった約束と同じ。
運命の華
いよいよ対バンライブ、トゲナシトゲアリのワンマンDAY当日となった。
ちなみに観客の中には、
・キョーコと革ジャン
・第5話で桃香に絡んできたバンドマン
・第7話でトゲアリトゲナシトゲトゲTシャツを着ていた女の子(たち)
・いつものサラリーマン
・すばるのスクールの子たち
と思われる人たちの姿があるので、探してみると面白いだろう。もしかしたら筆者も気づいていないようなキャラが他にもいたりするかもしれない。
本番前の楽屋で喋っている仁菜たち。結局、チケットの売れ行きはソールドアウトにはほど遠かったようで・・・
桃香の言う通り、仁菜が大人しく物わかりのいい人間なら「間違ってない」を貫き通せなかったし、きっとこの5人はこうして集まってすらいなかっただろう。
「そういえば」と桃香が話題を変える。昨日のダイダスのライブに伴って、トゲトゲの新曲に対するコメントが増えているらしい。桃香がそれらを読み上げていく。
ここの仁菜のセリフだが、第11話でダイダスのステージを見た桃香の「お客にもちゃんと伝わってるんだ・・・本気は」というセリフにも呼応しているように思う。(もちろん本作では「本気」というキーワードは他にも随所に用いられているが)
どうやら、ついに仁菜がステージでギターを持つことになるようだ。
そんな話をしていると、三浦さんから呼び出しがかかる。
楽屋を出た仁菜は、ホワイトボードに自分宛ての書き込みを見つける。
指示通りにしていくと・・・
ヒナのイタズラ、あるいは挑発か、嫌がらせか・・・それを見た桃香たちは面白がって好き放題言い始める。
さて、我々はもはやこういった場面ですばるの言う他者に対する見解はおおむね正しいということを経験的に知っているわけだが、ここでは桃香すらそれに乗っかって、すばるの意見を補強しているように思う。
そうなるとつまりヒナは仁菜の反応を見越してああいった提案を投げかけてきたということになるだろう。このへんについては、後で詳しく述べたいと思う。
改めて、三浦さんから声がかかる。
三浦さんにとってもトゲトゲとの最後の仕事になってしまうからだろうか、見守るような優しさと、一抹の寂しさを感じさせる表情だ。
幕が除かれ、照明がステージを照らす。
客入りは会場の3~4割といったところだろうか。満員には程遠い埋まり具合だが、観客からは仁菜たちへの声援が上がる。
頭を下げる勢いでマイクにぶつかる仁菜。そんな古典的な・・・
ちなみに説明するのもなんだが、仁菜が慌てて言葉を切ったのは、「結果はダイダスには及ばない」とか「少ない」みたいな言い方をしては、実際に来てくれているひとりひとりのお客さんに失礼になってしまうと思ったからだろう。
そこまで話して、仁菜は二階席の正面(関係者席だろう)にヒナの姿を発見し、眉をひそめる。
微笑んで、仁菜は続ける。
<第13話挿入歌「運命の華」>
●全体的な感想
13話の中で気になった点について、ここまでで書ききれなかったことを述べていきたいと思います。
衣装のこと
トゲトゲのライブ衣装ですが、実はOP映像ではすでに登場していたものですね。
衣装のテーマというか、全員に共通しているのは「これまでの自分」「今の自分を構成している(してきた)もの」みたいなことかと思います。
仁菜は高校の制服を中に着ていますし、桃香の衣装は第8話の回想シーンで登場した「アイドル路線のダイダスの衣装」をアレンジしたものと思われます。
すばるはいつもの制服スタイルの流れからだと思われるヤンキーというかスケバンというか特攻服スタイルの衣装ですし、智とルパはバイトしていた吉野家の制服アレンジで、二人のユニットであった「beni-shouga(紅生姜)」の文字も入っています。
それと、仁菜、桃香、ルパの衣装には写真?のコラージュみたいなものもほどこされていますね。智とすばるに関しては確認できませんでしたが、よく見えないだけかも。
これらも、仁菜たちの「構成要素」みたいなものを表現しているんじゃないかなと思います。
ヒナと仁菜の関係性について
仁菜はラストシーンのライブの直前、ふと今まで忘れていたことを思い出します。
ヒナとは絶交した経緯とか、あと仁菜があまりにもダイダスの歌への思い入れというか自分だけのものだという想いが強すぎたためとかもあるかもしれませんが(実際「私だけの歌じゃない」と言ってますし)、ヒナも自分と同じくダイダスの歌が好きだったということをずっと忘れていたんですね。
でも、仁菜は思い出しました。それも、ただ思い出すというより何かこう「悟り」のようなものとしてそれが訪れたような感じがある。それは「ちゃんと届いてたんだ」というセリフにもあらわれている気がするのですが、その意味を正しく筆者が受け止められているかどうかは正直あまり自信がないです。
それでも言葉にするならば、それは「ダイダスの歌から何かを受け取ったのは自分だけじゃない」「桃香さんの歌は届く人には届いてたんだ」という気づきなんじゃないかと思うんです。
たぶん仁菜は、「自分を救ってくれた桃香さんは、桃香さんの音楽は間違ってない、それを証明したい」という想いが強すぎて、桃香さんと桃香さんの音楽を肯定しているのは世界で自分だけかのように思い込んでいたフシがあるんじゃないかという気がするんですよね。けど、もちろんそんなことはなかった。そしてその自分だけじゃない他者のひとりというのが、友達だったヒナに他ならない、と気づいた。そういう瞬間だったんじゃないでしょうか。
ただ、あそこで別に「和解」というかヒナとのわだかまりが溶けて消えたとかそういう簡単な話ではないと思うんですよ。
でも、たぶんあそこで「ヒナも好きだった。ダイダスの歌が。私だけの歌じゃない。ちゃんと届いてたんだ。」と思ったのであれば、同時に仁菜はヒナが現ダイダスのボーカルであることについても何か感じたと思うんですね。
もちろんヒナがどういう想いで今ダイダスのボーカルをやってるかというのは、本人のセリフとかで明快に語られているわけじゃないから、わからないといえばわからない。
でも、たとえば11話のダイダスのライブシーンを見た桃香がこう言ってるわけですよね。
であるならば、それは仁菜にだって伝わっているはずなんです。
つまり、たとえどんな動機に根ざしているとしても、ヒナは生半可な想いではダイダスのボーカルをやってないんですよ。
だったらどうなるのか、というと、ここでようやく仁菜とヒナの関係性という話になるんですが、筆者は、二人はいわばコインの裏表みたいな存在というのが一番しっくりくるかなと思っています。
仁菜は、元ダイダスの桃香と共にトゲナシトゲアリとして。
ヒナは、桃香の抜けたダイダスで新しいボーカルとして。
同じものを好きだった二人が、そこから道は分かれたけれども、それぞれの大事なものを守り、体現しているんだと思うんです。
ヒナは仁菜をどう思っているのか?
正直、わからないです。
でもヒントはあると思います。たとえば13話でヒナが仁菜に「三浦さんが両日出演を頼みに来た」と伝えたこと。
すばると桃香のこんなセリフがありました。
たぶんこの二人の言っていることは正解で、ヒナは仁菜の反応を見越して両日出演の件を伝えに来ていると考えるのが自然だと思います。
じゃあ、ヒナは仁菜に両日出演のことを突っぱねて欲しかったからああいうことを言ったのか?と言われると、それはわからないです。筆者としては、そこには一言では言えない屈折した感情があるはずだと思っています。やはり、親友ではあったけれども、考え方の違いから絶交している相手ですからね。
対バンの件に関してであれば、強いて言うならヒナは仁菜に、ヒナの思う仁菜として競い合う相手であって欲しかったんじゃないかなと思います。
ヒナの思う仁菜とは、つまり「”謝れ”なんて言われたら意地でも謝らない仁菜」であり、「ことの真相を知っても知らなくてもおそらく両日出演の件は受け入れないだろうが、万が一真相を知らずに受け入れるなんてことは一層プライドが許さないだろうと思われる仁菜」であり、「ヒナがどうしてもある面では相容れなかった仁菜」なのだろうと思います。
ナナたちはどう思っていたのか?
ちなみにヒナ以外のダイダスのメンバー(ナナ、リン、アイ)はこの件をどう思っていたのか。そもそも、この企画自体ナナたちがどう思っているのかということ自体明らかになっていませんし、これも憶測にすぎませんが、なんとなく、
とかそんなことだったんじゃないかなという気がしています。
理由を言葉にするのが難しいのですが、下の画像のシーン(いつの間にかナナたちがヒナの横に来ていて、ナナがウインク→ヒナがムッとしてステージに向き直り、不敵に笑う)を見て、そういう感じなんじゃないかなあと思いました・・・そう感じたとしか言えないですね、すみません。
OPの変更点
OPの最後、アウトロで次々に切り替わるカットの中に13話だけ違う部分がありましたね。これは最後のライブシーン直前の仁菜の語りに対応した変更だと思います。
●「ガールズバンドクライ」を振り返っての感想
「間違ってない」ということ
作品を通して仁菜が常々口にしてきた「間違ってない」という言葉。本作にとって重要なキーワードだと思います。
「間違ってない」という言葉に意味が近い別の言葉として「正しい」というのがあると思うんですが、仁菜はけして「(自分が)正しい」とは言いません。この違いはなんだろうか。ずっと考えていて、なかなかうまく説明できないのですが、ひとつ筆者が思ったことは、それは「内側」と「外側」の違いなんじゃないかということです。
「正しい」、つまり「正解」という概念は、自分の「外側」にあることも多いと思います。たとえば、自分ひとりで考えてもなかなか答えが出なかったことが、他者の考えや情報を知ることで解決することがあります。あるいは、自分ひとりの問題ではなく他者が絡む問題には、仮に自分の本意でなくとも、そうすべき「ベターな解答」や「最適解」が望まれることもあるでしょう。こういった状況では「正しい/正解」が自分の「外側」にあったと言えると思います。いくら「自分にとってこれが正しい」と思っていることがあった(「正しい/正解」が自分の「内側」にあった)としても、それが他者や状況にとっても「正しい/正解」とは限らないということです。
反対に、「間違ってない」というのは自分だけが判断できることです。もちろん、それが「正しい/正解」かどうかはわからない。でも「間違ってない」ことだけは確かだという感覚。他者によらず情報によらず、自分自身の中で納得できる基準に基づいて判断される自分の中の「絶対防衛ライン」、それが「間違ってない」ということではないかと思うのです。
ある状況において、これが「正しい」かどうかはわからない。しかし「間違ってない」ということだけはわかる。そういう選択ができたなら、結果がどうであれきっと後悔なんてしない。
井芹仁菜の「間違ってない」とは、そういう生き方を貫くことなんだと思います。
井芹仁菜は「憧れ」
作品を通して、仁菜というキャラクターを好きになれない、共感できないという人もたぶん多いんじゃないかと思います。
仁菜はワガママだし、感情的だし、やることなすことけっこう無茶苦茶です。第11話でいみじくもステージで背負った「傍若無人」の文字は井芹仁菜という人間をけっこう的確に表現していると思います。
ですが筆者は井芹仁菜というキャラクターに出会って、彼女に強く惹かれました。そういう魅力があるからです。
第11話のすばるのセリフを一部借りるならば、嘘はつかないし、すべてに全力。目指したものやなりたいものに本気で、まっすぐに向かって行ける。
できることなら仁菜のように生きたい。
そんな風に感じるのは、たぶん筆者だけではないと思います。
この「ガールズバンドクライ」という作品が描いていることのひとつ・・・井芹仁菜というキャラクターが体現していることのひとつは、この「憧れ」
ではないでしょうか。
我々は(勝手に一緒にするな、と思われた方は申し訳ありません)どうしてなのか、なかなか仁菜のように生きることができません。
だから眩しい。
自分を貫き、自分を誇らしく思える。そういう自分が好きで、後悔しない生き方を選べる。そういう仁菜のことをうらやましいと感じる。
筆者は、必ずしも人は自分を好きにならなくてもいいと考えている人間ですが、それでも自分を全く肯定できず、自己嫌悪しながら生きるのは辛いことだと思います。
だから、もし誰に否定されても誰に認められなくても、自分だけは自分を肯定できる・・・そういう小さな灯火みたいなものが人間には必要なんだと思います。
小さくて見失いそうな心の灯火だけど、自分にも確かにそれがあるということを、井芹仁菜という眩しい光が照らしてくれたから、思い出すことができた。
「ガールズバンドクライ」は、井芹仁菜は自分にとってそういう存在だったと思います。
この作品に出会えて
いちオタクとしてアニメなどを見ている以上、作品に対して少なからず期待していることがあって、それはやはり「見たことのないようなものを見せてほしい」「感動させてほしい」というのがあると思います。いや、他の方がどうかはわかりませんが少なくとも自分はそうです。
アニメって毎シーズン相変わらず作品数は多いし、技術的な進歩もあってか、どの作品も品質(クオリティ)という面では最低レベルが保証されているというか、よっぽどひどいものってなかなか見かけない。逆に言うと魂が入ってない作品でも見た目はキレイだから、なんか見れてしまう。
で、そんな中、本作は魂入ってるなっていうのを見せてくれた作品だと思っています。
最初は正直敬遠していた、フルCGアニメという手法。
フタを開けてみると、イキイキとしたキャラクターの動き、仕草、表情・・・作品世界の中に、キャラクターが生きている。
そして、この作品ならではの表現を生み出そうという気概を感じるライブシーン。フルCGアニメにしかできない表現に到達しているのではないか・・・技術的なことには詳しくないのでこの言い方が妥当なのかはわからないんですが、そんな風に思えました。
そういう作り手の熱量を感じながら毎週のエピソードを追いかけるうち、人に勧められてそれほど期待するでもなく見ていた本作ですが、いつしか自分は「ガールズバンドクライ」が大好きになっていました。
こういう作品に出会えるということはオタク冥利に尽きる部分があります。
本作を勧めてくれた先輩オタクと、ここまで記事を読んでくださった方に感謝申し上げます。ありがとうございました。
「ガールズバンドクライ」の続編や展開がどうなっていくかはまだわかりませんが、作品の世界がここからどんどん広がって行ってほしいと切に願っています。
EDについて
手島nari先生がこんなツイートをされていました。
そうだったのか!!
というわけで改めてED「誰にもなれない私だから」の映像についても詳しく見ていきたいと思いますが、これはそのうち別記事で書きたいと思います。
【追記】
EDを詳しく見ていく記事を書きました。
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