鉄鍋からどれくらい鉄分が溶出するのか

鉄瓶・鉄鍋のお湯や料理で私の場合体調が悪くなることが多いです。どれくらい鉄が溶け出るのか、ネットで調べてみましたが、よくわからないので論文を探してみましたら、一本見つかったので簡単にに紹介します。

《紹介論文》今野 暁子, 及川 桂子, 調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化, 日本調理科学会誌, 2003, 36: 39-44

実験によると鉄の溶出量は添加調味料に影響され、食酢、トマトケチャップ、食塩の順に多く溶出されることが示されました。特に食酢添加における鉄溶出量は顕著に増加すること、さらに加熱時間が長いほど、鉄溶出量が増加しました。また、鉄の溶出量は油の使用により減少する傾向がみられたそうです。

鉄溶出実験では、ビーフシチュー、酢豚、野菜炒めを実際に作って、ステンレス鍋と鉄鍋の鉄分の差を調べています。例えば、ビーフシチューがもっとも鉄溶出量が多く、4.19 mg/4人分(ステンレス鍋との差分) でした。このときの鉄分の絶対量は11.98 mg/4人分 なので、一人あたり約3 mgの鉄分が摂れることがわかります。

この研究では鉄瓶からの鉄溶出についても調べています。実験の結果、鉄の溶出量 は0.41~0.15ppmでした。ppmはmg/Lに換算できますので(厳密には少し違いますが)、1L中に最大でも0.41 mgが溶けていることになります。

また論文では鉄鍋、鉄びんから溶出した鉄の78~98%が吸収されやすい2価鉄であることが報告されています。

以上のように、鉄鍋・鉄瓶で適度な吸収されやすい2価鉄が溶出されており、調理における鉄鍋の使用は生体利用性の高い鉄摂取量を増加させ、貧血改善に有効であると結論付けています。

《以降、私の考察》

ビーフシチューのように鉄分が溶出しやすい料理でも最大3mg、鉄瓶では0.41 mg/Lなので、この量は1日の鉄分必要量を超えていないことになります。つまり、料理に溶け出している鉄分は安全な範囲ということになります。

ただ、特に男性の場合、鉄を積極的に排出しませんので、ギリギリまで蓄積してしまっている可能性も否定できません。十分な鉄があるのに、更に鉄を積極的に摂ると、個人差や体調にも関わってくるので一概には言えませんが、私のように体調に少し悪さをするのかもしれません。




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