世界一わかりにくい算数(小学校4年_数と計算編)


1.日本のカリキュラム

 日本のカリキュラムは、整理すると次のようになります。
(以下のサイトを参考にしています。)

内容を私なりにまとめると以下のようになります。

(A.数と計算)
億や兆といった数を理解し、大小関係や数を固まりで把握する。
概数と四捨五入
整数の除法(3桁÷2桁、被除数=除数×商+余り)
小数の計算(加法、減法、小数×整数、小数÷整数)
同分母の分数の加法、減法、帯分数
そろばん

 そろばんは頭の中でそろばんが出て、計算が速くなるという人もいますが、2年間もやる必要があるでしょうか。そういったことができる子供は学校ではなく別の塾で学習してできるようになっているので、学校教育のかかわり方として非常に中途半端だなと感じます。
また暗算が得意なほうが有利という日本のテストの作り方もどうかと思います。情報処理能力はコンピューターに任せましょう。
3年生の時のボリューム感に比べると4年生は新しい概念が少ないので、3年生で分数、4年生で小数としたほうがよいようにも感じました。

2.米国のカリキュラム

 世界大学ランキングで上位を占める大学が多い米国を参考にします。
ソースはカーンアカデミーを参考にしています。

4th grade と5th grade を参考にしています。

4th grade
1)大きい位の数とその足し算、引き算
2)余りのあるわり算
3)分数の比較と同分母の分数の加法、減法、帯分数

5th grade
1)2ケタ以上のかけ算とわり算
2)小数の足し算、引き算

3.理解と社会的実践

(1)1億より大きい数と位の大きな数の足し算と引き算

 これまで見てきた数の単位を整理したいと思います。
わかりやすくするために千(0が3つ)で一区切り「,」入れて表すことがあります。

一「いち:1」,十「じゅう:10」,百「ひゃく:100」,千「せん:1,000」
万「まん:10,000」,十万「100,000」,百万「1,000,000」,千万「10,000,000」
一億「いちおく:100,000,000」,十億「1,000,000,000」
百億「10,000,000,000」,千億「100,000,000,000」
一兆「1,000,000,000,000」

日本の人口(1億人以上)のような大きなケタを表すために、「億」単位があります。
兆はさらに大きい単位で、天体や腸内細菌の数のようなけた外れの数を表すのに使います。
(ちなみに昔、ウルトラマンという作品に出てきた怪獣ゼットンは1兆度の火の玉を吐くらしいです。)
大きい桁の数はなんだかワクワクするものです。
大人の場合、仕事や日常生活の中でよく使う単位があると思います。

足し算や引き算についてどこまで位が増えてもやることは変わりません。
足し算:「数を分解して同じ位の数を足し算します」
引き算:「数を分解して同じ位の数を引き算します。足りない場合は一つ上の位の数からもらってきます。」

[算数の問題]
(1)
 「3,2,4,4,9,8」を使って最も大きい数と最も小さい数を表してください。
(2)
□=589003+70409 を計算して、□に当てはまる数を求めてください。
(3)
□=451020-319005 を計算して、□に当てはまる数を求めてください。
(4)
ビルの高さをある位で四捨五入したら320,000mmと言われた場合、どちらの数が元の値だと思いますか。
325,456mm、319,888mm

(答え)
(1)
ケタが大きいところに大きい数を持ってくると大きな数となります。
そのため「984432」が最も大きい数となります。
ケタが大きいところに小さい数を持ってくると小さな数となります。
そのため「234489」が最も小さな数となります。
(2)
589,003+70,409=500,000+(80,000+70,000)+9,000+400+(3+9) <-同じケタ
  =500,000+150,000+9,000+400+12=659,412
(3)
451,020-319,005 
 =(400,000-300,000)+(50,000-10,000)+(1,020-9,005) <-小さい数-大きい数
 =100,000+30,000+(11,000-9,000)+(20-5) <-40,000から10,000を渡す
 =132,015
(4)
1の位、10の位で四捨五入しても、どちらの数も一致しません。
100の位で四捨五入すると、325,456=>325,000、319,888=>320,000 となるので319,888が元の値となります。
1000の位で四捨五入すると、325,456=>330,000、319,888=>320,000となるので、319,888が元の値となります。
10,000の位では四捨五入していることはないでしょう。なぜならば10,000の位の数が0ではないからです。四捨五入した位の数は0になり、それより少ない位の数も0になるからです。
つまり、319,888mmを100の位、または1000の位で四捨五入しているだろうと考えられます。

[社会実践問題]
月の収入が324,000円、家賃が82,000円、通信費が21,000円、食費が28,000円、交際費が25,000円、雑費が25,000円の場合、どれくらいの額が貯金や投資に回せますか。

(答え)
(月の収入)ー(全部の出費)=(残ったお金) となります。
(全部の出費)=82,000+21,000+28,000+25,000+25,000
                =(80,000+20,000×4)+(2,000+1,000+8,000+5,000+5,000)
                =160,000+21,000=181,000
324,000-181,000=(300,000-100,000)+(24,000-81,000) <-100,000を渡す
    =100,000+(124,000-81,000)
               =100,000+(100,000-80,000)+20,000+(4,000-1,000)
               =100,000+20,000+20,000+3,000=143,000
よって貯金や投資に回せる金額は143,000円となります。

(2)わり算(3桁÷2桁等)

〇 言葉の整理
 
足し算、引き算、かけ算、わり算の計算結果を何と呼ぶか整理します。
これはこの後の説明に使います。
足し算の計算結果は和、引き算の計算結果は差、
かけ算の計算結果は積、わり算の計算結果は商といいます。

〇 わり算の計算
 
18÷3 を計算する場合、3に何をかけたら18になるかを考えます。
九九に慣れていくと6だとわかると思います。
「わった数(3)」にわり算の計算結果(商=6)をかけると、元の数(=18)となることがわかります。
わった数×商=元の数   3×6=18

つぎにわり切れない数を考えます。19÷3を考えてみます。
6 だと 3×6=18、7だと 3×7=21 となり19を超えるので、商は6だとわかります。さらに 19-18=1 となるので余りは1となります。
「わった数×商+余り=元の数」となっていることがわかります。
(計算式:19=3×6+1)
18÷3 の例は余りが0のケースと考えることができます。

ここで大事なことは「わった数」と「余り」を比べると、わった数のほうが絶対に大きくなるということです。
例えば19÷3 で商が5だと思ったとします。
この場合 19=3×5+□ となり、□=19-15=4 となります。
4は3より大きいので、まだわり算ができます。
4を3で割ると商が1、余りは1となります。
すると 19=3×5+4=3×5+3×1+1 と書けることがわかります。
「3×5+3×1」の部分に注目して下の図形を見てください。

分割と統合

3cmと5cmの四角形の面積と3cmと1cmの四角形の面積の足し算を計算する場合、「3×5+3×1」と計算しますが、これは「3×6」と同じ計算結果となります。
〇×□+〇×△=〇×(□+△) となります。
つまり19=3×5+4=3×5+3×1+1=3×(5+1)+1=3×6+1 となります。
そのため 19÷3の商は6、余りは1と計算することができます。 

商が正しいかどうかは、「元の数ー商×わった数」がわった数より小さいかどうかで確認でき、大きい場合はさらにわり算をすることで答えが出ます。

〇 桁数が増えた場合の計算
 
ケタが増えてもやることは変わらず、何をかけたらいいか考え、余りがわった数より大きい場合、さらにわり算をしていく流れとなります。

69÷3 を考えてみます。商が100だと、3×100=300、商が10だと、3×10=30となるので、商は2ケタ(10~99の間)だとわかります。
まずは10の位から見ていきます。商が20だと、3×20=3×2×10=60、
商が30だと、3×30=90 で69を超えるので、10の位は2だとわかります。
69=3×20+□ となるので□=69-60=9 となります。
9を3で割ると商が3、余り0となるので、9=3×3 と表せます。
69=3×20+9=3×20+3×3=3×(20+3)=3×23 となり、69÷3 の商は23、余りは0が答えとなります。

694÷21 を考えてみます。
Ⅰ)商が100だと2100(21×100)、商が10だと210(21×10)なので2ケタが答えだとわかります。
Ⅱ)商が30だと630(21×30)、商が40だと840(21×40)なので、十の位は3となります。
694=630+□ で□=694-630=64 となります。64は21より大きいのでまだわり算ができます。
Ⅲ)64÷21を考えると、商を3とすると63(21×3)、商を4とすると84(21×4)となるので、商は3となり、余りは64-63=1となります。
Ⅳ)694=630+64=21×30+ 21×3+1=21×(30+3)+1=21×33+1 となります。
よって商は33、余りは1となります。

[算数の問題]
(1)
ウサギが5羽います。ニンジンが39本ある場合、1羽に何本あげることができますか。また余りがあれば、余りも計算してください。
(2)
あなたは工場で働いています。仕事の内容はチョコレート12個を1つの箱につめる仕事です。チョコレートが144個あるとき、何箱つめる必要がありますか。

(答え)
(1)
(ウサギの数)×(1羽が食べるニンジンの数)=(ニンジンの本数)
となるので、(1羽が食べるニンジンの数)は(ニンジンの本数)÷(ウサギの数)となります。
(1羽が食べるニンジンの数)=39÷5を計算します。
Ⅰ)商を7とすると、5×7=35、商を8とすると5×8=40なので、商は7となります。
Ⅱ)39-35=4 となるので、7より小さい数のためここでわり算は終了となり、商は7、余りは4となります。よって1羽に7本あげることができ、余りは4本となります。
この余りもきれいに分けたいという考えが分数となります。

(2)
(1箱につめるチョコレートの数)×(箱数)=(全部のチョコレートの数)
となるので、(箱数)=(全部のチョコレートの数)÷(1箱につめるチョコレートの数) で計算できます。
(箱数)=144÷12を計算します。

Ⅰ)商を10とすると12×10=120、商を100とすると12×100=1200 となるので2ケタであることがわかります。
Ⅱ)商を10とすると12×10=120、商を20とすると12×20=240 となるので、十の位の数は1となります。
144=12×10+□ □=144-120=24 となるのでまだわり算ができます。
Ⅲ)24 について商を2とすると、12×2=24 となります。
つまり 144=12×10+24=12×10+12×2=12×(10+2)=12×12
よって商は12、余りは0となります。そのため12箱つめることになります。

(3)分数の足し算、引き算、帯分数

〇 サイズをそろえる
同じ分母の数の足し算についてみてます。
たとえば、ケーキを$${\frac{9}{4}}$$個と$${\frac{3}{4}}$$個食べたとき、どれだけ食べたか計算する場合、$${\frac{9}{4}}$$+$${\frac{3}{4}}$$を計算することになります。

赤が$${\frac{9}{4}}$$で、黄色が$${\frac{3}{4}}$$です。これは単純に$${\frac{1}{4}}$$が9個分と3個分で足し合わせて、$${\frac{12}{4}}$$となります。
12÷4=3 なので答えは3となります。
分母が同じ場合はケーキの切り方が一緒なので、単純に分母はそのままで分子の足し算をすればよいことがわかります。
$${\frac{9}{4}}$$+$${\frac{3}{4}}$$=$${\frac{9+3}{4}}$$=$${\frac{12}{4}}$$=3

これは引き算も同じで単純に分母そのままで分子を引き算すればよいです。

さて分母が違う場合はどうすればよいでしょうか。
$${\frac{1}{3}}$$+$${\frac{2}{6}}$$ を考えてみます。

違う分母の足し算

切り方が違うので、$${\frac{1}{〇}}$$が何個分という計算ができません。
そこで一カットを合わることを考えます。
分子と分母に同じ数をかけたり、同じ数で割った数は同じ数になるという話を前回しましたが、$${\frac{1}{3}}$$の分子と分母に2をかけてみます。
すると、$${\frac{1}{3}}$$=$${\frac{1×2}{3×2}}$$=$${\frac{2}{6}}$$ となります。
分母が同じになったので、$${\frac{1}{6}}$$が2個分と2個分を合わせて、
$${\frac{4}{6}}$$となります。ここで本来であれば約分をするのですが、まずは分母を合わせて、分子を足し算や引き算するということをつかんでほしいと思います。

分母を合わせた場合

次にどの数で分母をそろえるのがよいかという点について考えます。
足したり、引いたりする数の分母に注目して、それぞれの分母を2倍、3倍、4倍…と計算していきます。そして同じ数になるところを見つけ、その数にそろえます(もう少し効率の良い方法はまたあとで学習します。)

では$${\frac{2}{3}}$$+$${\frac{1}{4}}$$を考えてみます。
まず分母が違うのでそのまま足し算や引き算はできません。
分母を見ると3と4なので、それぞれ計算してみます。
3×1=3, 3×2=6, 3×3=9, 3×4=12…. となります。
4×1=4, 4×2=8, 4×3=12, 4×4=16 …となります。
12という数で同じ数になることがわかるので、分母を12にそろえることを考えます。(分子と分母の両方に同じ数をかけることを忘れないでください)
分母が3の数には分子と分母に4を、分母が4の数には分子と分母に3をかけます。
$${\frac{2}{3}}$$+$${\frac{1}{4}}$$
=$${\frac{2×4}{3×4}}$$+$${\frac{1×3}{4×3}}$$
=$${\frac{2×4+1×3}{3×4}}$$=$${\frac{11}{12}}$$
と計算できます。
このように分母をそろえることを通分といいます。

大きさを比べるときも、分母をそろえる必要があります。
$${\frac{2}{3}}$$と$${\frac{1}{4}}$$を比べます。分母を12でそろえるとよいことを前に確認しました。
$${\frac{2}{3}}$$=$${\frac{2×4}{3×4}}$$=$${\frac{8}{12}}$$
$${\frac{1}{4}}$$=$${\frac{1×3}{4×3}}$$=$${\frac{3}{12}}$$
分子を比べると8のほうが大きいので$${\frac{8}{12}}$$のほうが大きいことがわかります。
そのため$${\frac{8}{12}}$$>$${\frac{3}{12}}$$
となるので$${\frac{2}{3}}$$>$${\frac{1}{4}}$$ となります。

〇 だいたいどれくらいの大きさか知る(小学生のとき位しか使わない)
 
小学生の時くらいしか使わないのですが、帯分数といものがあります。
分子が大きくなるとだいたいどれくらいの大きさなのかがわかりにくくなるので、それをわかりやすくしたものです。
大人になると、「商+余り」、「小数」、「通常の分数」のほうが扱いやすいので、ほとんど使わなくなります。

例えば$${\frac{9}{4}}$$を考えます。

赤い部分に注目

図をみると、2と$${\frac{1}{4}}$$であることがわかります。これを
2$${\frac{1}{4}}$$と表すことを帯分数といいます。
2+$${\frac{1}{4}}$$の「+」を省略していると考えるといいと思います。
分子の数>分母の数 の時に帯分数に変えることができます。

それでは普通の分数から帯分数に変える方法を見てみます。
$${\frac{9}{4}}$$について考えてみます。
Ⅰ)9÷4 は商が2、余り1となり、9=4×2+1となります。
Ⅱ) $${\frac{9}{4}}$$=$${\frac{4×2+1}{4}}$$
       =$${\frac{4×2}{4}}$$+$${\frac{1}{4}}$$ <-8÷4=2
  =2+$${\frac{1}{4}}$$=2$${\frac{1}{4}}$$
このようにして、2$${\frac{1}{4}}$$と計算できます。

つぎに帯分数から普通の分数に変える方法を見てみます。
2$${\frac{1}{4}}$$について考えます。
Ⅰ)2+$${\frac{1}{4}}$$=$${\frac{2}{1}}$$+$${\frac{1}{4}}$$
Ⅱ)分母が1と4で、分母は4にそろえることができます。
$${\frac{2×4}{1×4}}$$+$${\frac{1}{4}}$$=$${\frac{8+1}{4}}$$
=$${\frac{9}{4}}$$
このようにして$${\frac{9}{4}}$$と計算できます。

[算数の問題]
(1)
$${\frac{3}{5}}$$+$${\frac{4}{10}}$$ を計算してください。
(2)
$${\frac{7}{10}}$$-$${\frac{3}{100}}$$ を計算してください。
(3)
$${\frac{2}{5}}$$、$${\frac{2}{8}}$$、 $${\frac{1}{4}}$$を比べて小さい順に並べてください。
(4)
8$${\frac{3}{4}}$$+5$${\frac{2}{4}}$$ を計算してください。
(5)
国語の教科書が$${\frac{3}{8}}$$kg、算数の教科書が$${\frac{11}{8}}$$kg、理科の教科書が$${\frac{5}{8}}$$kgのとき、全ての教科書を入れたランドセルの重さは何kgになるか計算してください(ランドセルの重さは無視してください。)また答えを帯分数で表してください。

(答え)
(1)
$${\frac{3}{5}}$$+$${\frac{4}{10}}$$ について分母が5と10になります。
10×1=10, 5×2=10 となり10が共通の数になることがわかります。
$${\frac{3×2}{5×2}}$$+$${\frac{4}{10}}$$=$${\frac{6+4}{5×2}}$$
=$${\frac{10}{10}}$$=1 よって答えは1です
(2)
$${\frac{7}{10}}$$-$${\frac{3}{100}}$$ について分母が10と100になります。
100=10×10 より100を分母とすればよいことがわかります。
$${\frac{7×10}{10×10}}$$-$${\frac{3}{100}}$$=$${\frac{70-3}{100}}$$
=$${\frac{67}{100}}$$
(3)
$${\frac{2}{8}}$$と $${\frac{1}{4}}$$を比べると、分母は8と4です。
8=4×2 なので8を分母としてそろえればよいことがわかります。
$${\frac{1×2}{4×2}}$$=$${\frac{2}{8}}$$ となるので、
$${\frac{2}{8}}$$= $${\frac{1}{4}}$$であることがわかります。

つぎに$${\frac{1}{4}}$$と$${\frac{2}{5}}$$を比べます。分母の4と5について分母をいくつにそろえればよいか見ていきます。
4×2=8, 4×3=12, 4×4=16, 4×5=20, 4×6=24…
5×2=10, 5×3=15, 5×4=20, 5×5=25, …
20でそろえるとよさそうなことが分かりました。
$${\frac{1}{4}}$$=$${\frac{1×5}{4×5}}$$=$${\frac{5}{20}}$$
$${\frac{2}{5}}$$=$${\frac{2×4}{5×4}}$$=$${\frac{8}{20}}$$
分子を見ると$${\frac{8}{20}}$$のほうが大きいので、
$${\frac{2}{5}}$$>$${\frac{1}{4}}$$ となります。
そのため$${\frac{2}{8}}$$=$${\frac{1}{4}}$$<$${\frac{2}{5}}$$ となります。
(4)
8$${\frac{3}{4}}$$+5$${\frac{2}{4}}$$=8+$${\frac{3}{4}}$$+5+$${\frac{2}{4}}$$
分母は4でそろっているので、そのまま分子を足し算します。
=8+5+$${\frac{3+2}{4}}$$=13+$${\frac{5}{4}}$$
$${\frac{5}{4}}$$について帯分数になおすと、5÷4で商1、余り1になることから、
$${\frac{5}{4}}$$=$${\frac{4×1+1}{4}}$$
=$${\frac{4×1}{4}}$$+$${\frac{1}{4}}$$=1+$${\frac{1}{4}}$$ となります。
13+$${\frac{5}{4}}$$=13+1+$${\frac{1}{4}}$$=14$${\frac{1}{4}}$$ が答えとなります。
(5)
(国語の教科書の重さ)+(算数の教科書の重さ)+(理科の教科書の重さ)
=(全ての教科書の重さ) となります。
そのため$${\frac{3}{8}}$$+$${\frac{11}{8}}$$+$${\frac{5}{8}}$$を計算します。
分母が8でそろっているので、$${\frac{3+11+5}{8}}$$=$${\frac{19}{8}}$$kgが答えとなります。
また帯分数に変えると、19÷8 より商が2、余り3となることから、
$${\frac{19}{8}}$$=$${\frac{8×2+3}{8}}$$
=$${\frac{8×2}{8}}$$+$${\frac{3}{8}}$$=2$${\frac{3}{8}}$$kgとなります。

(4)小数の計算(加法、減法)

〇 小数とケタ
 小数点以下のケタの呼び方を整理します。
例えば、99.123 という数があったとします。小数点以下のケタは小数第〇位と呼び、右に行くほど数字は大きくなります。
そのため「99.1」の1があるケタを小数第1位とよび、「99.12」の2のあるケタは小数第2位、「99.123」の3のあるケタは小数第3位と呼びます。

〇 小数の足し算、引き算
 小数については$${\frac{1}{10}}$$、$${\frac{1}{100}}$$、
$${\frac{1}{1000}}$$といった分数としてとらえることで、分母をそろえて足し算、引き算をすればよいということになります。

1.1-0.68を計算してみます。
1.1=$${\frac{11}{10}}$$、0.68=$${\frac{68}{100}}$$となります。分母を見ると、10と100なので、100=10×10 で分母を100にそろえるとよさそうとわかります。
1.1=$${\frac{11×10}{10×10}}$$とすると分母がそろうので、分子同士を引き算すればよいことになります。
1.1-0.68=$${\frac{11×10}{10×10}}$$-$${\frac{68}{100}}$$
      =$${\frac{110-68}{10×10}}$$=$${\frac{(100-60)+(10-8)}{100}}$$
      =$${\frac{42}{100}}$$=0.42 となります。
慣れてくると110-68をして、小数点をそろえるような感覚になると思います。

小数を比較するときも、分母をそろえると考えればよいです。
0.7 と 0.68 の大小関係を調べるとします。
0.7=$${\frac{7}{10}}$$、0.68=$${\frac{68}{100}}$$ となるので、分母を100にそろえます。
0.7=$${\frac{7×10}{10×10}}$$=$${\frac{70}{100}}$$ と計算できるので、分子を比べて、$${\frac{70}{100}}$$ つまり0.7のほうが大きいと判断できます。

また小数第〇位で四捨五入したいという状況があります。(特に理系の学問や研究では有効数字というものを考えるときに使います)
四捨五入自体は十の位や百の位でやったものと変わりません。
例えば、1.58を小数第1位で四捨五入するとします。
小数第1位の数は5なので、上の位に1を足し、小数第1位も含んだそれより下のケタは0となりなくなります。「1.58=>2」
11.43を小数第1位で四捨五入すると、小数第1位は4なので0となり、なくなります。「11.43=>11」
1.58を小数第2位で四捨五入すると、小数第2位の数は8なので、上の位に1を足し、小数第2位も含んだそれより下のケタは0となりなくなります。「1.58=>1.6」
十の位や百の位などの四捨五入と小数点以下の四捨五入の違いは、ケタがなくなることです。
例えば小数第1位で四捨五入すると、小数点以下のケタはなくなります。
また小数第2位で四捨五入すると、小数第2位以下のケタはなくなります。
十の位や百の位の四捨五入の場合は0だからといって、0を消すとケタが変わってしまいますが、小数点の四捨五入の場合はそれ以降がなくなっても問題がないためと思われます。

[算数の問題]
(1)
4.097  4.709   4.079   を大きい順に並べてください。
(2)
31.88+57.1 を計算してください。
(3)
2.1+31.8 についてそれぞれの数を小数第1位で四捨五入したあとに足してください。
(4)
44.83-38.9 を計算してください。

(答え)
(1)
4.097=$${\frac{4097}{1000}}$$  4.709=$${\frac{4709}{1000}}$$  
4.079=$${\frac{4079}{1000}}$$  とみると、全て分母が1000でそろっていますので分子の大きさ順にならべればよいことがわかります。
4.709>4.097>4.079  となります。
(2)
31.88+57.1=$${\frac{3188}{100}}$$+$${\frac{571}{10}}$$ となるので、分母を100にそろえます。
$${\frac{3188}{100}}$$+$${\frac{571×10}{10×10}}$$
=$${\frac{3188+5710}{100}}$$=$${\frac{8898}{100}}$$=88.98 となります。
(3)
2.1 を小数第1位で四捨五入すると、2になります。
31.8 を小数第1位で四捨五入すると、32になります。
2+32=34 答えは34となります。
(4)
44.83=$${\frac{4483}{100}}$$   38.9=$${\frac{389}{10}}$$ なので分母を100でそろえます。
44.83-38.9=$${\frac{4483}{100}}$$-$${\frac{389×10}{10×10}}$$
     =$${\frac{4483-3890}{100}}$$=$${\frac{593}{100}}$$=5.93
答えは5.93となります。

[社会実践問題]
実生活で小数が使われている例を考えてください

(答え)
身長・体重(165.4cm、66.6kg)、打率(3.84)、体温(36.5度)、
マラソン(42.195km)、視力(0.8)等いろいろ存在します。

実生活では数の大小関係を比べやすいので、小数表示がよくつかわれているものと思われます。
それに対して学問や研究の分野では分数が使用されます。小数だときれいな数にならず四捨五入したりしていることもありますが、分数だと正確な数になっているためだと思います。
また計算に使う途中のものは分数で表されたりします。

(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

民法900条

これは相続に関する条文ですが、ここでは分数で書いてあります。このあと分数のかけ算等を紹介しますが、(遺産)×(分数)と計算する方が小数をかけるより便利なことが多く、正確に計算できるためです。
このように小数や分数はそれぞれの特徴を活かして、得意な分野で活躍しています。

(5)小数や分数のカリキュラムについて

小数×整数、小数÷整数をカリキュラムではやることになっていますが、分数とともに進めていったほうがいいのではと思います。
そのため分数のかけ算やわり算のところで、小数のかけ算やわり算を説明したいと思います。
小数や分数のカリキュラムは、私としてはつながりがよくないように感じました。(約数や倍数は早めにやることで、通分や約分を計算しやすくなると思います。)
小学校3-4年生は壁があるといいますが、このカリキュラムも要因としてあると感じました。
小数の計算はケタに注目するとほかの計算と同じように考えることができるので、先に教えていると思いますが、分数の特殊なもの(分母が10,100等)が小数なので、本質を理解してもらうには分数を先行して教えるべきだと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?