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Youtube・Apple Musicに音楽を上げる時の推奨LUFS値| 他の音楽より音量が小さくならないために

お急ぎの方は先に結論を見てください。


この記事の目的

音源を作ってアップ後に「あれ?他の音楽より音量が小さい?」といった事を回避するために、LUFSの測定方法とどの値にするべきかを書きます。

RMSとLUFSについて

音量を表す代表的な単位にはRMSとLUFSがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

RMS(Root Mean Square)

LUFSが広まるまでに使われていた音量の指標です。

RMSの特徴といえば、
- 一言で言えば「音量感の指標」
- LUFS以前に用いられていた値
- 信号レベルを二乗平均平方根で表した時の値
- 実効値とも言われる
- 単位はdB
- 範囲は -∞dB~0dB

RMS(Root Mean Square)の問題点

このRMSの問題点は値と実際の音量感が同じで無いことにあります。
それは、人間の耳が大きく聞こえる帯域と聞こえない帯域があるからです。
(個人的な経験則だとRMSを高めるために行うミックスは周波数バランスが人間の耳で聞いた時に崩壊しやすいのでミックスの際は重視しないほうがいいと思います)

LUFS(Loudness Units relative to Full Scale)

RMSをより聞いた時の音量感に近づけた値です。
現在はこの値がメインで使われています。

参考: LUFS/LKFS…ラウドネスメーターについて復習して理解を深めよう
https://soundevotee.net/blog/2017/04/25/learning_about_loudness_meter/

LUFSの測定方法

LUFSと一言で言っても瞬時値や平均値などがありますが、
Youtubeなどで使われるのはLUFSの平均値です。
よってここから平均値の測定方法を書きます。
いずれの場合も、平均値を求めるにはDAW上で測定は出来ないので一旦書き出してからソフトに取り込んで測定するしか方法は無いです。

LUFSを測定出来るソフトには、
・各種DAW(Cubaseの解析機能, studio one)
・Volt(フリーソフト)
http://inamons.com/software/volt/howtouse.html
・SOUND FORGE Pro
・izotope RX
などがあります。

また、LOUDNESS PENALTY: ANALYZERというサイトでも測定可能
https://www.loudnesspenalty.com/#

これからのLUFS値は、全て曲全体の平均値での値とします。

LUFSをアップロード先に合わせて調節する

測定したLUFSを用いて音源を調整します。LUFSをどの値にするかは、アップロード先によって異なります。

Youtube

ラウドネスノーマライゼーションがかかるので、-14LUFS以上なら問題ないです。普通に2mixを作れば、-14LUFSはリミッターで圧縮しなくても到達する。

それから、サイト上で変換がかかるので-1.0dBぐらいのCeiling(ヘッドルーム)をとれば変換時にTrue Peakが0dBを超える事はないと思うので変換時の歪を回避できます。
参考: https://eki-docomokirai.hatenablog.com/entry/20191222/1576972933

自分で調節して-14LUFSの音源を作れば、Youtubeに上げた時にどのように再生されるかを確認できます。
LOUDNESS PENALTY: ANALYZERでも、Youtubeに上げた時にどのように再生されるかを確認できます。

AppleMusic(iTunes)

AppleMusicもラウドネスノーマライズがあるという記述がネットを探すとあるがそれは間違いです。正確には「ラウドネスノーマライゼーションのオプションがあるが、デフォルトではオフである」が正解です。
つまり、ラウドネスノーマライゼーションはかかっていないと考えて音量を調節しなければならないです。
音圧競争は終わっていませんが、あまり音圧を上げすぎても再生者に音量を下げられるだけなので、市販楽曲の平均の音量を狙うのがいいと思っています。

今後、AppleMusic(iTunes)がデフォルトでラウドネスノーマライゼーションをオンにする可能性は十分にあると思っています。

話が変わりますが、LUFSをリミッターで上げすぎると音源のミックスバランスは崩壊します。ミックスをされた音源をリミッターで上げていった時のLUFSの値と音源の状態は以下通りです。

-6LUFS...2mixが崩壊する
-7LUFS...少し圧迫感が あるが、まだ音楽として聞ける範囲
-8LUFS...特に問題ない

また、市販の音源だと大体-7 ~ -8 LUFSがよく使われているので、基本的にそれを目指してマスタリングすると良いです。

CeilingはAppleMusicで必ずaacに変換されるのでTrue Peak対策として-1.0dBとりたいのですが、現実問題としてCeilingをそれだけとると、音量が下がりミックスのバランスを保った状態で-7LUFSを達成するのが困難になります。

取れる方法としては、

- Ceilingを2.0dBとり、-7LUFSになるように調節する → コンプ感が強くなる
- Ceilingを0dBTPとり、-7LUFSになるように調節する → 変換時にTrue Peak原因の音割れが発生する

この2通りがあり、これを比べた場合、個人的にはコンプ感が強くなる方が致命的だと思っているので(True Peakによる音割れは正直いうと分からない場合が多い)、現状としては0dBTPに抑えておいて変換されない場合のみに、TPを超えてない状態を作るのが妥協案と思ってます。
(ここで 0dB ではなく 0dBTP を超えないようにするのは、音楽を商品として考えた場合に何も変換をしてない状態で聞いた時音割れが発生するのは問題と思っている為です)

-7LUFSに到達するまでにミックスが崩壊する場合は、2mixの方法を変えることで回避出来ます。(間違ってもマスタリングでどうにかしようと思わないでください)

その時に確認する重要な点は、ステレオ感・コンプ感・サチュレーションの量・リバーブ・EQバランスなどです。
いずれも感覚で調節を行うと失敗しやすいので、メーターとリファレンスを細かく聞きながらすることが重要です。
izotopeのTonal Balance Controlで確認するとやりやすいです。

同じLUFS値でも大きく聞こえる音源と小さく聞こえる音源がある

本来あってはならないことですが、同じラウドネス値でも大きく聞こえる音源と小さく聞こえる音源があります。
これについては、私もはっきりとした原因が分かってないのですが、LUFSが上がらないときと同じくミックスを変えることで改善すると思います。

結論

結論としては現状以下の通りに調節すれば大丈夫だと思います。

Youtube
・-14 LUFS以上
・Ceilingは -1.0 dB

AppleMusic・CD・Twitter
・-7 ~ -8 LUFS
・Ceilingは 0 dBTP

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