整体の実態と闇 その1

ここ10年程の間、街を歩いていると「○○整体」「○○矯正」の文字を良くかける様になりました。利用された方も多いとは思いますが、では、なぜそんなに急激に整体店が増えているのでしょうか?皆様は考えた事ありますか?

とにかくハードルが低い
「整体師」と言う職業を聞くと皆様は何か特別なスキル(技術)や資格が無ければできないのではないか?と思っている方もいらっしゃると思いますが、「整体師」「セラピスト」「療術師」と名乗っている人達は、専門の国家資格(あん摩 マッサージ 指圧師の免許)は持っていません。医療系の国家資格は厚生労働省が認定した学校(学校法人)で決められたカリキュラムを踏み国家試験を受ける資格を得て、その後試験に合格して資格(免許)を取ります。(プロセスは車の免許と同じ)整体師は民間の資格になるのでそういったカリキュラムや試験はありません。
そんな整体師になる道筋は大きく分けて3つあります。

1.整体師の学校
民間の学校で整体師の育成する学校は存在しますが国家資格ではないためスクール(法人を取得している協会)によってカリキュラムの内容にムラがあるのですが、難しくすると誰も来なくなるので、誰でも安易にその協会が発行している「認定証」を取得させます。【認定証は法的な証書(免許)ではありません。】

2.店(企業・協会)で研修する
立地の良い繁華街で開業している資本力がある店や、チェーン展開している整体店(リラクゼーション店)は『未経験者歓迎』としており、基本誰でも研修を受ければ現場に立って仕事をします。研修期間は店によって異なるようですが2週間から2か月言われています。

3.独学
すでに国家資格(柔道整復師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師など)を持っている人達は、改めて民間の整体学校に行って学ぶよう人はあまりいません。マッサージの勉強もろくにしないまま「整体」と銘打って手技療法をしているパターンが大半を占めます。例えば柔道整復師も理学療法士も背骨の歪みの事など全く違う分野なのになぜか専門家ぶって独自の診断術とアプローチ法を仕掛けてきます。彼らはマッサージの知識は持ち合わせていないため上手下手の概念が欠落しており整体としてのニーズはとても低いのが現状です。(この件に関しては詳細に紹介したいと思います)

4。独学 その2
全くの素人だった人がある日突然 通信教育やセミナーを受けまくって「整体師」になるパターン、ありとあらゆる民間療法に手を染めて、自称療術師(整体師)を名乗っているパターン。その正体は、当人が勉強したい事しかしないため(それも超浅い)肝心の医学知識はズバ抜けて低くく、しかしスゴイ勉強した自負があるためプライドは無駄に高く、結果偏向した思考に陥りやすい、本人自身自覚は無いため結果的には人を騙してお金を取る人達と変わらない人種に変貌しやすく、霊感商法、マルチ商法、健康食品商法などにも精通しやすい。一回整体学校に行った後にこのような傾向になる人も少なくない。(一番タチが悪い)

開業資金が安くすむ
参入障壁が異常に低い整体業界、整体師は自称の職業なので、極端な話今から誰でも「わたしは整体師」と名乗れば即整体院は開業できます。開業する際、飲食店や”物を売る店”と比べて圧倒的に設備投資(開業資金)が低くて済みます、無理に店舗物件で開業するまでもないと考え、マンションやアパートなどの賃貸住宅で開業する施術者も多くいます。備品もベッドとタオルがあれば出来てしまうため、どういう理想で開業するのかにもよりますが、いわゆる技術職(飲食店や理美容院)より設備投資も超低く抑えられるため、人知れず開業して人知れず無くなるゴースト整体院の数は未知数であり確定申告しているのかすらも不明過ぎるモグリ営業も数多く存在するため実際の実際の整体院数は約10万店と言われていますが、実際はその3倍以上と見込まれており、正確な数の集計が不可能なのが現状です。

ちなみに美容院を含めたサロンと呼ばれる業態は、3年で7割、5年で9割閉業すると言われています。しかし手技療法界隈は開業資金が低く済んでしまうので、性懲りも無く『移転』と言う名目で 何もなかったかのように転々と業を行う施術者、ワイセツ行為で誰も寄り立つなくなりまた違う土地で同じ事をする。ノマドの様な整体師もいます。これは整体に限らず手技療法全体で数多く存在します。

下積みの仕事が無い手技療法業界
理美容師であればシャンプーや掃除、料理人であれば皿洗いや掃除ホールの接客などの下積みの仕事があります。下積みの仕事をする事で営業形態や仕事のクオリティ、仕事内容、備品仕入先 などなど、いろいろ学んでおかなければならない事が多いですが、下積みを積んだ分だけ自分が独立開業する時に有利になるスキルが身に付く事が可能ですが、この業界はそれがありません。いきなり現場に立たされてモミモミさせてしまう事なんてザラにあります。料理で言えばやっと包丁が使えるレベルになった”料理人見習い”が作った料理ぐらいのクオリティの料理を提供しているレベルであり、業界の相場に合った施術料金を請求してきます。

理美容師でハサミをもてる様になる(スタイリスト)までに最低で5年と言われています。料理人で一人前と言われるまで約10年と言われています。実はそこからがスタートであり自分が描く理想を模索して修行して構築していかなければなりません。彼らには修行が足りないため、そもそも味覚オンチなので理想もなにも描くことすらままならないのです。

医学偏差値も技術レベルもバラバラ
国家資格を取れば専門学校レベルの医学知識(下駄)は付きます。しかし無免許無資格者の場合は医学偏差値も技術もムラがありすぎて、料理に例えるならとても食べられる料理を提供している底辺整体師も少なくありません。そもそも下積みの仕事が無いため、上に立つ人間も技量の良し悪しの評価がオンチなため何も考えずに、「とりあえず即戦力」と誰でも現場に立たせてしまいます。銭ゲバオーナーに雇われると即戦力とやらされ、そんな施術を受けた客は身体を破壊されるか過度なストレスで体調を崩してしまいます。

知っておかなければならない客側のリスク
整体一つ行くのにも安易に行くとリスクがあります。女性の場合であればワイセツ行為をされるリスクも含まれてきます。こうした健康被害や金銭トラブルを事前に防ぐためにも、ヘルスリテラシーを含めた知識を身に付けなければなりません。

つづく


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