良い鍼灸師の見つけ方

客側の本音
仕事中にいろんな患者さんからよく聞くのは「どこの誰だかわからない人の鍼灸は受けるのは怖い、もしくは絶対にヤダ!」と言う声をとても多く聞きます。同業者目線で言うなればハッキリ言ってしまうと その感性は『ハイ正解!』と言わざる得ないのが本音の所であって、事実マッサ-ジや整体は受けたことあるけど鍼灸はやった事ないと言う人も多く、「やっぱり痛いんでしょ?」「こわいよね」と、注射とのイメージが重なるため、その「身体に刺す」の共通性を払拭できない所もある事から、国内全体の鍼灸の利用率は決して高くなくむしろ激低なのが現状です。
しかしながら普及しない理由はまだ他にもあります。

技量の問題
鍼灸師自身「鍼灸は薬に頼らずに健康になれるから良いですよ」などと言ったりして啓蒙していますが、そもそもマッサ-ジや整体と同様に鍼灸も当然上手下手はあります【これ重要:けっこうわかってない人多い】さらに受けた事が無い人に対する正確な情報があまりにも少ないためイマイチ積極的になれない理由も潜んでいます。

今や鍼灸師の数は10万人を超えているため、狭いマーケットの取り合いになってしまい鍼灸師自身の修業の場数が踏めないのも事実です。そんな玉石混交の中で経験不足の線から見ても大半の鍼灸師は下手くその類に入ってしまうのです。なので「どこの誰だかわからない人の鍼灸を受けるのは怖い、あるいは絶対にヤダ!」は至極正解なってしまうのです。

鍼は痛いの?

どこの鍼灸院にも書かれていない正直な鍼灸の話をします。
皆様は鍼を打たれる際、ブスッ! チクッ! ギャーーッッ!!みたいなイメージを持っている人がいると思います。これは注射と鍼灸を完全に混同しており 実際は違います。注射針は身体(皮静脈or筋肉)に液体を入れるための針管であり実際 針でなく管を入れています。なので鍼灸針と注射針とは根本的に細さが大きく異なり、例えるなら鍼灸針は太めのマツエクで着けるまつ毛ぐらいの太さだと思っていただいて良いと思います。(ビョーンってすごくしなります)

実際 鍼灸針は刺された時「チクッ」みたいな痛みもほぼ無いのですが、しかし鍼が刺さり鍼が身体の奥に行くと「ズーーン」、「ビーーン」と言ういわゆる『重く・ひびく』と言う感覚が現れます。これは中国医学で言うとこの「得気(とっき)」と言われる現象でこの感覚は西洋医学的にはまだ解明されていません。
その得気によって響いて重~い感覚が来る事で、場合によっては刺していない身体の部位にまで何かしらの感覚がおそって来る、いわゆる経絡に沿った得気が来ます。これらの現象を個人的には「ツボってる」って言ってますが、残念ながら受けて見ないとわからないこの”得気”の感覚は結局 的確な表現が無いため「イタい」と言う表現でまとめられてしまい、この独特な感覚「重く 響く=イタイ」は個々によって好きになる人ダメな人に分かれてしまうのです。
(ドSだからダメとかドMだからもっとやってと言う概念はありません。)

痛くない鍼?
これらを踏まえて、よく「痛くない鍼します」と書かれた鍼灸院のHPを見ますが、果たして痛くない鍼は効果があるのか?と言う疑問が湧いてきます、わたくし自身の個人的なリサーチと見解からするとある程度の”得気”が出せない鍼灸師はあまり上手とは言えないと考えているからです。

西洋医学的に鍼灸は「プラシーボ効果(プラセボ効果)」と言われています。身体に疑似的な刺激を加える事で脳をダマして身体(血流や内臓の働き:自律神経)に何らかの反応を引き出す現象を狙って施術をするのですが、痛くない鍼をするとその「疑似的な刺激」未満の行為になるため効果は薄いあるいはナシ、せいぜいリラックス程度の効果ではないかと考えます。

【重要ポイント】
したがって下手な鍼灸師の施術は「どこも良くならない」「なにも起こらない」(プラシーボ効果が出ない)のです。未熟な鍼灸師は妙に緊張しているため無茶はしないため重大な事故は起こりにくいのですが、その反面鍼を刺される恐怖だけ与えて何も起こらないと言う客側からすれば「よくわからなかった」「怖いだけだった」と決してポジティブな感想に導けないのです。

得気が出せない鍼灸師?
これもわたくしの個人的な見解なのですが、実はこの得気を与える事が出来るか否かで鍼灸師のレベルがわかると考えます。(否定する鍼灸師もいます)前にも書いた「ツボっている」と言う表現にも繋がるのですが、客の主観的にもちゃんと『ツボ』に当たっているかどうか?と言う指標にもつながるため、客の主訴をどこまで改善させられるか?にもつながってきます。

ツボの取り方は大きく2種類
”得気”に対して肯定的でない鍼灸師からするツボの取り方は、まずクライアントの身体の診るのですが、その鍼灸の流派や古典(むか~しの中国医学の経典)からの引用し(脈を診たり、お腹を触ったり、舌を診たり などなど)そこから教科書に載っている経絡中のツボの箇所を丁寧に追っていくやり方が主流になります。

もう一つは阿是穴(あぜけつ)と言う概念です。どこか身体の部位を押圧すると「あ”ーーーっっ」とか「イターーーッッ!!」っと痛みで声が出てしまいがちな所があったりします。(馬鹿力で押せば全部阿是穴になってしまいますが)
一定の押圧で響く痛み(イタキモ)がでたらこれが阿是穴と言われるツボになります。最近では西洋医学側の表現で「トリガーポイント」などと言われていますが、この阿是穴の場所は人が1,000人いたら1,000人異なる場所にあり、さらには中国医学の古典にもシンクロしにくいため教科書を追うやり方と比べると難しい所があります。

見極めるポイント
ツボの取り方云々の前に、良い鍼灸師を見つける最重要ポイントにもなるのですが、兎にも角にも「正確にツボを取れているのか」と言うのが超重要になります。「○○と言うツボです」と言うのは良いがではその○○と言うツボが仮に正解であっても”ズビっと”的確に取穴できているのか?と言う理屈であります。

これが出来てない鍼灸師が異常に多いと言うのが前にも書いた玉石混交たる所以になります。客側は鍼灸師はツボのエキスパートだと思っている方も多いと思いますが、言うのと施術するのとでは全く異なるため、ツボの名前をやたら言える(能書きが多い)からと言って優れているとは限らないのです。

その正確なツボをゲットしているかの指標になるのが「マッサ-ジが上手」と言うのが挙げられます。さらに言うなら「指圧が上手」だと なお良いです。なぜなら指圧は点穴で押すため受ける客側からしても「そこじゃない」がすぐに判ってしまうため 即技量がバレてしまうため施術者はやりたがらない傾向があります。
指圧を通じて「あ~そこそこ」とズビっ見事に”得気(イタキモ)”を感じる事が出来れば優れた鍼灸師の可能性が高い事が伺えます。しかし残念ながら昨今の手技療法業界では指圧を主体でやっているお店は稀有な存在でそれと同時に優れた鍼灸師を見つけるのも至難の業になってきてしまっているのです。

【超重要ポイント】
鍼灸師の悪いクセの一つに、マッサージをやりたがらないと言う傾向があります。指が痛くなるのと疲れるから、と、その最大の理由は整体マッサージで解決出来ることは鍼の方がさらに効果も結果も出せると勘違いしているからです。

客側は鍼灸はやらないで主訴を改善させて欲しいと思っていても、鍼灸師は無駄に鍼灸をやりたがります。そこに両者の気持ちの乖離が発生しています。実際に手だけで改善させられる症状も山ほどあるのに、鍼灸師はナニが何でも鍼灸で解決しようと考えます。なのでそんな客の気持ちが汲めない”不寛容エゴ鍼灸師”がいる以上いつまで経っても鍼灸が普及しないのです。

先にも書きましたが、マッサージをしないとどこにツボがあるかわかるようになりません。しかし彼らはそうした基本的概念を持っておらず、教科書に書いてある場所さえ掴めばOKだと思っているため、マッサージをしたがりません。(ツボの根本的概念を理解していない)
ツボを確実に察知するためにも洗練された指先が必要になるのですが、こうした矛盾に気づかずに 脈診や舌診、腹診(中国医学)ばかり気にし過ぎて肝心のツボの的確性が欠けている事に気づかずに、そのスキル磨きのベクトルが間違っている事すら知らないまま、とにかく鍼を打ちたいと思っている鍼灸師が異常に多いのです。屈折した思考をもった鍼灸に信用は付かないのは当然で「どこの誰だかわからない人の鍼灸を受けるのは怖い、あるいは絶対にヤダ!」は正解なのです。しかし彼らにはその声は残念ながら届いていません。

得気が無かったとしても
仮に得気が無い鍼灸治療を受けたとしても、施術中もしくは施術直後に何らかの変化が起こっている事に気づくものです。フラフラしたり妙な疲労感を感じたりと、帰宅後よく眠れるようになったりなど、明らかな身体的生理反応が起こっているのですが、実感できなければ、効果が薄い(無い)可能性が高くなります。ちなみに当方で受けた人達は3~4日後に改善する傾向があり、V字回復する様なイメージです。

さじ加減と経過と結果
ちなみにこの得気は刺激(ドーゼ)に変換されるモノで、得気(響き)の強さ、時間の長さによってドーゼの量が決まってきます。客の体質や体力と症状を鍼灸師自身がキチンと見立ててどこをどうやってドーゼを与えるかが鍼灸師の技量その物になると思います。それを踏まえても施術後3日後程にならないと施術の効果がわからないと言うのもあります。
こうした時系列の説明をキチンとできて説明通りの結果に導けるのが良い鍼灸師の指標になるのではないかと考えます。

お灸をやらない鍼灸師
新米鍼灸師や鍼灸整骨院に多い傾向なのですがお灸をやらない鍼灸師がいます。典型的なのが美容鍼をやっているお店です。(そりゃそうです顔ヤケド大変です。)実際に美容鍼で働いているスタッフは新卒で恐ろしく経験が浅い鍼灸師が多く存在する事から、これ以降そのままこの路線で仕事をするのだろうか?と心配になってしまう程何もできない鍼灸師に仕上がっていきます。(顔の鍼を刺す技術は勇気だけで上手下手はありません)

鍼灸院と銘打ってお灸をやらないのはチョットどうなの?と思ってしまいます。新米鍼灸師は経験不足から施術中 頭がいっぱいでお灸の事を忘れている可能性もあるのですが、なぜなのかは割愛しますが、仕事を積み重ねていく上でお灸は必ず必要になってくるので鍼しかやっていない鍼灸師はあまり信用しない方が良いかも知れません。それなりに継続している鍼灸整骨院であれば なお更お灸ぐらいはやっていないとヤバイ鍼灸師じゃないかと考えます。

棚やワゴン等に使用感のある灰皿や線香がちゃんと常備してある鍼灸院を選びましょう。

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