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夏の始まり

台風が避けて行ったらしい朝、散歩を終えてシャワーを浴びる。

朝シャワーを浴びて思い出すのは、あの1日だ。
久しぶりに畑作業して帰って来て、濡れた髪のまま折り畳まれた布団を枕に、心地よい疲労感と共にフローリングの冷たい硬い感触を楽しんでいた。
そこに父親から電話がかかってきた。

「ばあばが救急車で運ばれたらしい。歯医者さんから電話がかかって来たからキャンセルしないと」

何で歯医者がと思いながらも(母は歯医者に通っていない)、とりあえず濡れた髪のまま家を出る。

「救急車に対応してもらってるのは良い事だ、熱中症で倒れて誰にも気づかれないよりも、、」

と自転車を漕ぐ右足と共に飛び出そうな心臓を抑えつつ、8月が始まった。

実家に着くと父が家の戸締りをしないと、とオロオロしている。救急車から電話がかかって来てたようだというため慣れない電話機で、てこずりながら留守番電話を再生。入っていたのはスーパーからのメッセージだった。

「イオンスタイルの○○です。××さんはエスカレーターから転落し、救急車を呼び搬送されました」

肝心の搬送先がない💦父も救急車からの電話を受けたが聞き取れなかったと言う為、履歴を確認し次にかかって来た携帯番号が救急車だと思いリダイヤル。祈る様な気持ちで呼び出しを聞き続け、やっと搬送先の病院と負傷箇所を教えて貰えた。

そこでも「歯医者さんの予約をキャンセルしないと」という父をなるべく穏やかに遮り、車で搬送先の病院に向かった。

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