高校数学が一夜漬けで_解けるようになる方法

高校数学が一夜漬けで「解ける」ようになる方法

「数学は暗記科目ではない!」

と、よく言いますが、その言葉を信じて数学が得意になった人はどの程度いるのでしょうか。僕も数学が苦手だった者の一人で、割とまじめに勉強に取り組んでいた方だと思いますが、中学・高校と数学の成績は下がっていく一方でした。

しかしある時、勉強のコツをつかんでから数学嫌いを克服し、その後は大学で物理学を専攻し、今ではAIの仕事などもしている、結構な「数学好き」になりました。そんな今となって思うことは、効率的な勉強法を知っていれば、もっと短時間で数学を習得することができたのではないか?ということです。

なぜ「数学アレルギー」はあるのに「社会アレルギー」はないのか?

「数学アレルギーだから文系の大学に進む」という高校生はかなりたくさんいますが、「社会アレルギー」というのは聞いたことがありません。日本史や地理だって膨大な知識を暗記する必要があり、「社会が苦手だから理系の大学に進む」という人がいてもいいようなものです。

私は、この違いには数学と社会の成績の伸び方の違いが大きく関わっていると考えています。以下の図を見てください。

<成績の伸び方>

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数学の学習において「いくら公式・解法を覚えても、テストの点数が上がらない」という経験を誰もがしています。これがいわゆる数学アレルギーの大きな原因ですが、一方の社会は、覚えたことがテストに直結するため、勉強したらその分だけ成績が上がっていきます。

しかし、この状況はあるところから逆転します。社会は基本的な知識を覚えきってしまうと、出題頻度の低く、重箱の隅をつつくような知識を覚えていく必要があり、学習量に対して成績の上り幅がどんどん小さくなっていきます。一方数学は、一度コツをつかんでしまえば、覚えることはほとんどなく、少ない時間でも確実に成績を上げていくことができるようになります。

つまり、数学学習の最も重要なポイントは、いかに早く段階①から段階②へステップアップするか、という点なのです。

暗記する?暗記しない?

高校数学の学習法には、大きく「暗記はしない」と「ひたすら解法暗記」の2派があります。一般的に、学校の数学の先生は前者、塾の先生は後者のスタンスを取っていることが多いでしょう。しかし私は、このどちらも賛成しません。

まず「暗記はしない」という方法は、様々な公式を覚えるのではなく、一つ一つ意味を理解し、導出できるようにする、というスタイルですが、これは初学者にとってあまりにも難しすぎます。従ってこの方法では、自頭の良い一部の人しか段階②へたどり着くことができません。

一方「ひたすら解法暗記」は、最終的には誰でも段階②へたどり着くことが可能ですが、多くの参考書の分厚さを見ても分かる通り、覚えなければいけないパターンが多すぎて途中で嫌になってしまう確率が非常に高いと言えます。

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どうすれば「段階②」へたどり着けるのか?

では、どうすれば良いのでしょうか。その答えは、「必要最低限だけ暗記する」ことです。これは「ひたすら解法暗記」と同じに見えますが、全く違うものです。「ひたすら解法暗記」はその名の通り、できるだけ多くの解法を覚えに臨みますが、私の方法は、1単元あたり1~2時間程度で覚えられる程度の非常に基本的なものに絞っていきます。その代わり、それらの公式を組み合わせて応用的な問題を解いていくためのテクニック・頭の使い方を一緒に習得します。この方法により、誰でも最短距離で「段階②」へたどり着くことが可能です。

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「必要最低限だけ暗記する」勉強法とは?

では「必要最低限だけ暗記」とは、具体的にどうすればよいのでしょうか?それは、各単元ごとに、以下の3ステップに分割できます。

<「必要最低限だけ暗記」学習のステップ>

・その単元の学習内容を理解する
・「最低限の公式」を覚える
・基本的な出題パターンの問題を解き、「最低限の解法」を覚える

学校では一単元にかなり多くの時間を割いて学習しますが、実は必要最低限の部分だけを抜き出すと大したボリュームではなく、1つの単元あたり1~3時間程度で習得可能です。

順番にそれぞれのポイントを見ていきましょう。

1. その単元の学習内容を理解する

「学習内容」とは言っても、「三角比は測量で使われている技術だよ」のような実生活と数学の関係の話をしたところで数学学習のモチベーション向上に役立たないことはわかっています。

そうではなくて、この単元は何が難しいのか?(みんなはどこで躓くのか?)ということや、ここで習得する知識は他単元とどう関係しているのか?(「数学」という大きな学問の中で、これから学ぶ知識はどんな位置づけなのか)を理解しておくことは、重要なこととそうでないことの緩急をつけられるようになり、学習効率の向上に大きく役立ちます。内容に取り掛かる前に、まずはこの単元を学ぶポイントを理解します。

2. 「最低限の公式」を覚える

公式の教え方は先生によって様々ですが、私がお勧めするのは、

・簡単に導出できる公式は覚えない
・簡単に導出できない公式は覚える(「段階②」に進むまで、導出方法は無視)

という考え方です。これにより、覚えなければいけない公式は1単元あたり10個以内程度に抑えることができます。その結果、非常に短時間で問題を解くための基礎知識を習得できます。

3. 基本的な出題パターンの問題を解き、「最低限の解法」を覚える

実は高校数学の問題は、ある程度パターン化することが可能です。そこに注目したのが「ひたすら解法暗記」の勉強法なのですが、実はその中でもさらに習得必須のものだけを抽出すると、だいたい1単元あたり5~10問程度の数になります。すなわち、まずはこの最重要問題だけをトレーニングして確実に習得することで、短い時間で数学力を一気に向上させることが可能です。

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高校数学は一夜漬けで習得できる

このマガジンでは、ここまでに解説した考え方で、具体的に各単元で覚えるべき公式、解法を紹介していきます。前述の通り、各単元はいずれも1~3時間程度で読めるボリュームとし、かつただの読み物ではなく、実際にテストで成果を出せるような内容としています。ぜひこのコンテンツを「数学アレルギー」の克服に役立ててください。

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