三角比は1時間で解けるようになる

三角比は1時間で解けるようになる

目標習得時間:1時間 問題数:4問

この単元では「三角比」という新しい概念が導入されます。新しい概念だけに、覚えなければいけないことも多いのですが、実は公式さえ覚えてしまえばほとんどの問題が解けてしまう、比較的易しい単元です。
数Iの「三角比」は、数IIに登場する「三角関数」の入門編、ただの計算練習だと考えるのが良いでしょう。

覚えること

三角比_1

いずれも暗記必須の公式ですが、中でも重要なのは三角比の定義②「三角比=円の座標」という考え方です。定義①「三角比=直角三角形の辺の比」で理解している人が多いと思いますが、実はこの定義は測量計算の問題以外でほとんど役に立ちません。

では②の何が重要なのか。
これまで、我々が座標平面上で扱うことができたのは「直線(一次関数)」と「放物線(二次関数)」という2種類の形だけでした。三角比を導入することで、これからは「円」という新しい形を座標平面上で扱えるようになるのです。今まで、直線を見たら「一次関数だ!」と反応してきたように、これからは円を見たら「三角比だ!」と反応すればよいわけです。

ポイント1: まずは基本の測量問題

問1
ある山から5km離れた地点で山を見上げると、30度上方に頂上が見えた。山の高さを求めよ。

三角比で最初に習う測量の問題です。図を描くと、sin、cos、tanどれを使えばよいのか、すぐにわかるはずです。

三角比_問1_1

問題によっては、見上げている人の身長を足すケースなどのバリエーションがありますが、絵を描く→sin、cos、tanどれを使うか判断する、という流れだけわかっていれば、簡単に解ける問題です。


ポイント2: 三角比=円の座標

問2 以下の条件を満たすθの範囲を求めよ。

三角比_問2_1

ここからが本題です。
先ほども話題に挙げたように、「三角比=円の座標」と覚えましょう。
具体的には、
・cosθは、半径1の円をθだけ回転した点のx座標
・sinθは、半径1の円をθだけ回転した点のy座標
と覚えておきます。これを知っているだけで、多くの問題が自然と解けるようになります。
例えば本問はsinの範囲を調べたいので、座標平面に円を描いて、y座標を調べればよいのです。

三角比_問2_2

ここで大事なのは、「sinは円のy座標」を知っていても、「sin30°=1/2」を覚えていないと問題は解けない、ということです。

しかし、0°~360°まで全部暗記しておく必要はなく、0°~90°まで覚えておけば、残りは必要な時にすぐ導くことができます。
「三角比=円の座標」であり、円というのは上下左右に対象なので、90°より大きな角の三角比は、0°~90°と符号が異なるだけです。さらに、いつどれが+で-なのか?という点も、cosがx座標、sinがy座標、ということから考えれば明らかです。ぜひ、教科書に書かれている三角比の値を確認してください。90°まで覚えれば十分、ということに気づくはずです。

ポイント3: 「とりあえず二乗」の計算テク

問3

三角比_問3_1

この手の計算問題は、現時点で全く意義がわからないのですが、 数II「三角関数」で頻出します。そのための基礎力として、ここで計算力を養うという目的です。

「とりあえず式を二乗して、三角関数の相関関係を適用」ということだけ覚えておけば、たいていの問題には対処できます。

三角比_問3_2

ポイント4: 「cosを求めよ」なら余弦定理

問4 円に内接する三角形ABCについて、AB=BC=2、AC=3のとき、以下の値を求めよ。
(1) cos∠ABC
(2) sin∠ABC
(3) 外接円の半径

これはセンター試験でよく出題されるタイプの問題です。
「cosを求めよ」と言われたら余弦定理、「外接円」と言われたら正弦定理、これを覚えておけばだいたい解決できます。

三角比_問4_1

このように、まず余弦定理でcosを求め、次に相関関係を使ってsinを求める、というのは入試で頻繁に登場する流れなので、自然とできるようになっておく必要があります。

公式さえ覚えれば解ける

最初と同じ話ですが、この単元は「三角比」という新しい概念を理解するハードルが高いものの、一度公式さえ覚えてしまえば、非常に容易な計算問題ばかりです。上記4問を解いたうえでもう一度問題集を眺めると、似たような問題ばかりだと気づけるはずです。

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