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雌鶏/楡 周平

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昭和29年、ナイトクラブ「ニュー・サボイ」で働く貴美子は、上客の鬼頭から京都で占い師として生計を立てないかとスカウトを受ける。服役の過去を持つ貴美子は、そこを足掛かりに次々と成り…
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2024年7月の記事一覧

雌鶏 第七章/楡 周平

【前回】    1  貴美子(きみこ)から計画を聞かされた小早川(こばやかわ)は素早く動いた。  誠一(せいいち)の修士論文に目処(めど)がついた時点で、指導教授のマクレインに、「帰国後は現職の衆議院議員である父親の後継者となるべく秘書になることを決意した。日米は今後より一層固い絆(きずな)で結ばれることになるであろうから、アメリカの政治の場に身を置いて研鑽(けんさん)を積みながら人脈を築きたい。ついては上院でも下院でも構わない。私を受け入れてくれる現職議員を紹介してくれ