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いきなり文庫! グランプリ

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単行本を経ず文庫版で初めて世に出るオリジナル文庫。 私たちはこれを「いきなり文庫!」と呼びます。 毎年2000冊を超える作品の中から、毎回優秀作を選び、 類似テーマの名作、傑作と…
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#時代小説

【第12回 いきなり文庫! グランプリ】いよいよ第一回いきなり文庫! グランプリ最優秀作品賞決定!

江口 今回は、いよいよグランプリ最優秀作品を決める回です。これまで、グランプリ候補として残っている優秀作品は堀川アサコさん『定年就活 働きものがゆく』、中山祐次郎さん『俺たちは神じゃない 麻布中央病院外科』、長月天音さん『ただいま、お酒は出せません!』、山本甲士さん『民宿ひなた屋』、吉森大祐さん『青二才で候』、佐藤さくらさん『波の鼓動と風の歌』、辻井南青紀さん『主君押込 城なき殿の戦い』。 以上、七作です。それでは、一作ずつ振り返っていきましょうか。 まずは、ザ・定年小説、堀

【第11回 いきなり文庫! グランプリ】今回の優秀作は時代小説! 辻井南青紀『主君押込 城なき殿の闘い』

江口 「いきなり文庫! グランプリ」座談会、第11回です。今回優秀作に選ばせていただいたのは辻井南青紀さんの『主君押込 城なき殿の闘い』です。大名家のお家騒動ものなんですが、予想外の展開が実に面白い。 浜本 私も面白く読んだんですが、飯山藩の筆頭家老・田辺斎宮が、主君である本多重元を押込なければいけなかった理由が、今ひとつクリアになっていないように感じました。主君押込というのは一大事なので、相応の理由があったはずだと思うのですが、そこに至るまでの過程が描かれていない。