【第11回 いきなり文庫! グランプリ】今回の優秀作は時代小説! 辻井南青紀『主君押込 城なき殿の闘い』
江口 「いきなり文庫! グランプリ」座談会、第11回です。今回優秀作に選ばせていただいたのは辻井南青紀さんの『主君押込 城なき殿の闘い』です。大名家のお家騒動ものなんですが、予想外の展開が実に面白い。
浜本 私も面白く読んだんですが、飯山藩の筆頭家老・田辺斎宮が、主君である本多重元を押込なければいけなかった理由が、今ひとつクリアになっていないように感じました。主君押込というのは一大事なので、相応の理由があったはずだと思うのですが、そこに至るまでの過程が描かれていない。