「真っ直ぐに流れない。だから誰かに届く」寺地はるなさん最新作『水を縫う』/紫原明子さんによる書評を全文公開!
「男なのに」刺繍が好きな男子高校生の清澄(きよすみ)。「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青(みお)。「愛情豊かな母親」になれなかったさつ子。「まっとうな父親」になれなかった全と、その同居人の黒田。「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母の文枝――。
寺地はるなさん『水を縫う』は、世の中の<普通><当たり前>から弾かれ、痛みを抱え生きている彼らが、一歩前へ踏み出していく姿を描き出す、清々しい家族小説です。
『家族無計画』や『りこんのこども』など家族や社会をテーマに執筆す