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エアコンが顔の右側にあたって寒い。足がだるい。メロンがおいしい。夕方、いつから日記をかいているんだろうと振り返るとあと2ヶ月くらいが経っていた。夜のねる前の時間、その日を思い出して頭にうかんできた3つのことを書こうといつ決めたか分からないルールをうたがわず、書いているうちに60日が経っていた。さくらももこは高校3年生のときに漫画家になろうときめたらしい。過去をふりかえって、そのときに見たもの、ひと、思ったこと、匂い、暑さ寒さぬるさ、それらを思い出してえがくことは自分にはできない(と海外受験時にわかった)から、せめてものその日の自分と一緒にいたなにかは書き残しておこうとおもってはじめた日記。1年後に1年前をふりかえったとき、40歳になって自分のこれまでのキャリアを聞かれたとき、子どもに23歳のおとうさんは何をしていたの?と聞かれたとき、たぶん思い出せないものを毎日書いてある気がするし、もしかしたらその集積が自分の大きな人生の選択に影響をあたえている気もする。明日になればわすれる、できるだけ目立たない、どうでもいい、取るに足らない、ささいな、くだらない、がここにいて。

リビングでだまって日記を書いているから、ひまだとおもったお母さんが話しかけてくる。もうすぐカナダにかえる息子が愛おしいにちがいない。いつもより目をみてはなしかけてくるから少し淋しい。

しばらく会わなくなるだろう地元のともだちに会う予定、当日の予定変更と調整がなんとなくめんどうでなしにしてしまった。前の自分だったら、めんどうだと思わなかっただろうなあ。大きくなって、色々なひとに出会って、だんだんと会わなくなるひとが増えていく。それを淋しいとはじめて思ったのは成人式だった。それなら住む場所がコロコロかわらなければいいのに。そう思う同じ自分が、同じ場所に住みつづけたくないと心の中でおもっている。ふらふらと住む場所がかわる、そこで暮らす責任感のない心地よさをあじわいながら、このひとに会いつづけたい、話をしてほしいと信じる身勝手さを思いだし、あまり目の前のひとの心に寄り添わないようにと細心の注意を払うことになる。あなたが必要だともとめられる嬉しさ、それは帰る場所ができそうな怖さでもあって、そんなときはつとめて冷静にニッコリ笑うだけの優柔不断さしか出てこない。今日は書くことがおおい。それに愚痴みたい。カナダでは書けなくなりそうだから

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