「無題」の男の子の話
初めて会った時に「下の名前、呼び捨てにしていいよ」と言ってくれたのをよく覚えている。よろしくね、と笑った顔はこれまでゆうに50人くらいの女の子を殺していそうな爽やかさだった。色白で背が高く、さらさらの黒い髪の毛、長いまつ毛、二重の目、すっと通った鼻筋、うすい口唇、きれいな歯並び。彼はわたしが今までに出会った中で、いちばん「イケメン」な男の子だった。当時わたしは付き合っているひとがいたために、彼を恋愛対象として見ていたわけではない。それでも気を抜くとほんとうに好きになってしまい