人生は「打率」より「一発の長打」が大事
野球選手の野手の評価は主に打率・打点・ホームランの三つによって決まります。
加えて、これら三つの指標はそれぞれバラバラに評価されるだけでなく、バランスもまた重要で、例えばホームランの数はすごいけど打率が極端に低い、といった選手は敬遠されがちです。
それでは、私たちの人生の経営戦略=ライフマネジメントストラテジーキャリアをデザインするにあたって、どの指標を重視すればよいのでしょうか?
私の考えでは、特にキャリアの前半では「打率はどうでもいいのでホームランを狙いなさい」というのがアドバイスになります。
なぜなら「高い打率」は周囲5メートルの人しか評価してくれないから、です。
これは社会資本に関わる問題です。
キャリアというのは、誰もが等しく持っている1日24時間という時間資本を投資して、これを知識やスキルといった人的資本に、あるいは評判や信用といった社会資本に転換していく、一種の「投資の連鎖」であるということはこちらのNOTEの記事で指摘しました。
先述した「高い打率」というのは、もちろん周囲の高評価につながるのですが、その評価というのは、所属している組織の、せいぜい半径5メートルの範囲内で社会資本が蓄積されるに過ぎない、ということです。
一方で、一度でもホームランが出ると評価はまさに組織全体に共有されるだけでなく、場合によって社会的なものになり、その人の社会資本を一気に厚くしてくれます。
人生の戦略では「順番」が大事
もちろん、ホームランが出て、社会資本が厚くなったとしても、そのあとであまりに打率の低い「ムラの多い仕事」をしていると、やがて厚くなった社会資本もやせ細ってしまうことになりますから、打率もまた重要な指標なのですが、ここで重要なのは
どういう順番で高めるか?
という優先順位なのです。
これは経営でも同じなのですが、実は「順番」というのは無茶苦茶重要で、同じことをやっているように見えるのに、成果が全然違うというのはよくあることですが、これは「順番が違う」ということなのです。
人生の前半では打率よりもホームランを優先し、一度、ホームランが出て社会資本が厚くなったら今度は打率を維持する。
そうすることで再度ホームランが出ることもあるでしょう。
順番を逆にしてる人があまりにも多い
ところがこの順番を逆にしている人があまりにも多い。
人生の前半でとにかく打率を上げて、半径5メートルの人から評価されることばっかりを意識して、人生の後半になって袋小路に入ってから一発大逆転の場外ホームランを欲しがる人が多いのです。
これは厳しいと思います。
なぜなら、三振や凡打という失敗のコストは、年齢が若い時ほど小さく、年齢を経るにしたがって大きくなるからです。
また、若い時に打率ばかりを高めようとすることで、学習が停滞するということも指摘できます。
たとえば「打率を高める」ことばかりを求めると、三振や凡打の可能性のある打席を避けるようになります。
つまり、難易度の高い仕事や、評価の厳しい上司や同僚との仕事、未経験の仕事を避け、現在の自分の実力で確実にこなせる仕事ばかりをやるようになるわけです。
キャリアの前半期においてそのような態度で仕事を選んでいれば学習や成長は停滞することになります。
次に、そのようにして仕事を選ぶことで、そもそも打席が少なくなる、という問題があります。
打席が少なくなれば、当たり前ですがホームランが出る確率は低下することになります。
一般に投資のセオリーでは、若い人はリスクの少ない債券よりリスクの高い株式への投資が勧められますが、これと同じく、若いときは仕事のうえでも果敢にリスクをとることが大切なのです。
成功するのは「たくさん試す人」
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