マガジンのカバー画像

Zingaro

209
【あらすじ】パートナーとの別離を経て次第に道を踏み外していく銘と、彼を支えようと奮闘する人々。その中でまた、新たな出会いが始まって ──── 前作、Bilheteの続編です。 ※… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

Zingaro(目次&参考音源・BGM一覧)

※この作品はフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません。 Bilhet…

一宮 集
8か月前
3

206.

田町駅で下車して芝浦口へ出、上り専用エスカレーター脇の階段を下りて広々とした歩道に足を踏…

一宮 集
21分前
1

205.

14:30。 「 ──── じゃ、行ってきます。あとはよろしく」 「行ってらっしゃい! ──── …

一宮 集
1日前
5

204.

12:25。 野外の特設ステージの脇に出演者用のパイプ椅子を並べながら、学生達は何処かそわそ…

一宮 集
2日前
2

203.

奥の個室に通され、座椅子に腰を下ろした頃合いを見計らって、先程の若い女性が湯呑みとおしぼ…

一宮 集
3日前
5

202.

7:00。 枕元に置いたスマートフォンのアラームを手探りで止め、昨夜の酒が残った体を横たえた…

一宮 集
5日前
3

201.

11月5日、6:00。 すっかり明るくなった照明の下、ゆっくりと意識が戻ってくる。銘の姿はすでになく、昨日着ていた服はいつの間にか洗濯され、アイロンをかけられ、綺麗に畳まれた状態でデスクの上に積んであった。全く、あの人は!と、瞬は半ば呆れ、半ば感心しながらベッドを抜け出し、身支度を整え、カメラバッグを背負って廊下へ出る。店舗には煌々と照明が点けられ、洒落たピアノトリオのCDが流されていて、淹れ立てのコーヒーのいい香りが鼻腔をくすぐった。恐る恐るカーテンを潜ると、カウンターの

200.

「 ──── ありがとうございます、楠上さん!」 「僕までいつもありがとうございます!お気…

一宮 集
13日前
1

199.

21:15。 アンコールに圭介が飛び入りで参加したこともあり、ライブは大いに盛り上がり、予定…

一宮 集
2週間前
1

198.

18:52。 揺れる視界の中、目的のマンションがどんどん近付いてくる。ドラッグストアを抜けた…

一宮 集
2週間前
1

197.

11月4日、0:48。 市街地と博多港の夜景を見下ろすカウンター席に陣取って、ボビー・ハッチャ…

一宮 集
4週間前
1

196.

長いタキシングを経て、ようやく上空へと解き放たれた時にはもう、すっかり息が切れていた。生…

一宮 集
4週間前
2

195.

友人同士の域を超えてしまってからの抱擁は、これまでのハグとはまるで意味が違っていた。あら…

一宮 集
4週間前
3

194.

「 ──── 今日も本当に、お世話になりました!」 「お世話っした!」 「ありがとうございまーす!」 「お疲れさまでしたー!」 「ありがとうございました!また来ます!」 「お疲れさま。また来てね」 ももよ通りの向こう側で、銘が学生達を見送っている姿が見えた。その瞬間、昨夜の出来事が生々しく脳裏に蘇る。シャッター裏の暗がりでのキスとその後の修羅場、仲直りしてから銘が提案してきた謎の儀式と、光の差さない地下室で、初めて彼の体に触れた時のこと ──── ああ、駄目だ。頼むから、