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日進月歩 ~Road to MBA~#51

2020/11/23:シードマネジメント特講1B②
 月曜日はシードマネジメント特講1Bとなります。先生は変わらず実務家であり、実務と学問を融合させている笠原先生の講義の2回目です。本日はデジタル変革におけるバリュープロポジションやバリューネットワークについて、D. Rogersの内容を基に講義いただきました。

 まずは秋学期2の第1回に引き続き、「事業破壊」について詳しくお話をいただきました(今回は社会的破壊ではなく、事業破壊をテーマに議論)。まず、事業破壊が生じる条件は以下のようになる。
 ✔ 顧客に対して既存の企業に比べてはるかに大きな価値を提供すること
 ✔ その価値創出の方法が既存企業が容易に模倣できない方法であること

DXによって影響を受けている業界と代替企業/技術
  調査業界⇒Google、タクシー業界⇒Uber、自動車業界⇒Tesla
  ホテル・旅館業界⇒Airbnb、小売・物流業界⇒Amazon など

 このような事例がある中で、事業破壊の定義(D. Rogers)はこうなる。

定義:ある産業が、その既存企業では直接競争できないような方法で、はるかに大きな価値を顧客に提供するチャレンジャーに直面する際に生じる現象

 先週もビジネスモデルキャンバスを活用し、「業務効率(OE)」と「顧客経験(CE)」に分けて整理をしましたが、D. Rogersは「業務効率=Value Network(価値ネットワーク)」、「顧客経験=Value Proposition(価値提案)」と置き換えて整理をしている(以下に定義と図を記載)。

Value Proposition(価値提案):顧客のニーズと提供する価値
Value Network(価値ネットワーク):価値提供するための仕組み

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 後半は、この考え方を基に「デジタル変革と価値ネットワーク」という内容を確認するために、顧客における①Value Proposition(価値提案)と、それを支える②Value Network(価値ネットワーク)について講義いただいた。

①Value Proposition(価値提案)
 顧客価値を生み出す5つの考え方と、価値を生み出すための6ステップ(秋学期1の第7回目参照)についてご説明いただき、価値提案の手法を学ばせていただいた。状況に合わせて選択できるよう、実践して身につけていく。

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②ValueNetwork(価値ネットワーク)
 上記の価値提案を支える仕組みも4種類存在しており、その中でもスピード感やメリットを最大限活用した上で生み出す手法で、「バリューネットワーク」が推奨されるものと認識する。

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(例)大量生産(見込み生産)の場合:make to stock
  Ⅰ:開発 ⇒ Ⅱ:生産 ⇒ Ⅲ:販売 ⇒ Ⅳ:サービスの順に進む
(例)受注生産の場合:make to order
  Ⅲ:販売 ⇒ Ⅰ:開発 ⇒ Ⅱ:生産 ⇒ Ⅳ:サービスの順に進む

 この考え方をケース討議したチームディスカッションでは、「Hiltiの工具管理におけるデジタル化」を基に、バリュープロポジションおよびバリューネットワークで評価し、どういった方向性に進んでいくべきかを議論した。Hiltiの新しいサービスを評価する順序として、(A)どういった戦略をとっているか、(B)顧客にとっての価値GainとPainをどうするか、(C)このビジネスモデルは自社に適しているか、(D)他社に模倣されにくいかを確認することで、破壊性があるかを確認していく方法を実践して学んだ。

A)どういった戦略をとっているか
 自社および競合を、WTPとCOSTの観点で比較して考えてみる。その結果を基にして自社の戦略をどう選択していくのか、考え方は大きく下記2種類の方向性に流れていくことが多い(差別化してWTP・コストも上げていく、コストリーダーシップを目指してWTP・コストを下げていく等)。
※答えはこの2種類だけではないが、大まかな考え方として認識する。

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B)顧客にとっての価値GainとPainをどうするか
 顧客におけるGain(効用的要素)とPain(負荷的要素)に分けて考えることで、新しいビジネス戦略はプラス要素が多いのか、マイナス要素が多いのかを把握でき、顧客のWTPがどう変化していくのかを考えることが可能となる。このときに、誰がその価値を提供して生み出していくかも考えていく。

C)このビジネスモデルは自社に適しているか
 次に、この新しいビジネスモデルは自社の強みやバリューチェーンに適しているのか。各工程の開発・生産・販売・サービスにおける自社のリソース(経営資源)と照らし合わせながら、変革が可能か、対応が可能かを見極めていく。また、各工程の自社におけるコア・コンピタンスが何かを洗い出していくことで、自社の強みや弱みとの関係性やバランスを見ながら、どこを強化していくか、どこを注力して変革していくかを考えていく。

D)他社に模倣されにくいか
 最後に上記の工程で生み出された新しいビジネスモデルが模倣されにくいか、この観点が最も重要となる。上記でバリューネットワークにおける「経営資源」「プロセス」「コンピタンス」を創りあげることで、顧客への価値提案は考えられている。後は”競合”という観点を取り入れ、自社の新しいサービスはどこまで優位に進めていけるかを確認していく。まさしくやっていることは、4Cの把握(自社・競合・市場・環境)だと私は認識している。

 最後に改めて、「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の考え方を学び、前提は顧客の戦略そのものから考えて方法論として最新の技術や製品・サービスが存在していることを認識させていただきました。


        立教大学大学院ビジネスデザイン研究科   平岩 宗

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