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日進月歩 ~Road to MBA~#53

2020/11/27:ネゴシエーション②
 金曜日はネゴシエーションという科目となり、引き続き企業の経営や起業の経験、組織論に携わっている安部先生の講義の2回目です。本日は、前週の振り返りと新しいケース課題、ゲストスピーカーである渋沢史料館の井上館長をお招きし、渋沢栄一氏についてご講演をいただきました。

 まずは前週の振り返りの中で、「アンカリング」の重要性についてチームディスカッションをしました。先週の2者間だけでない、3者間の交渉について、Kさんから実例を交えてお話をいただきました(Win-Winの関係性でなく、Win-Win-Winの関係性)。

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※また、実際の交渉において有用な手段として教えていただいた内容
◎難しい”価格”をアンカリングする際は、「他社事例などの市場価格」をアンカリング価格として利用することが有用となること
◎流れが悪い、自身だけで決められない事象があった場合に、持ち帰るという手法を用いて、流れを変えて仕切り直すという方法もあること


 本日の講義では、以下のケースに基づいて、「経済的合理性」と「感情的納得感」の関係性や力の強弱によって、”判断が左右される”といった内容を学ばせていただいた。また、その中でも相手を見て判断するといった要素も多くの人から意見をいただいた。個人としての判断と企業としての判断においても「経済合理性」と「感情的納得感」の重みは違うようにも感じる。

 ✔ 道端を歩いていたら突然、大富豪が100万円をくれると言ったら?
 ✔ A国とB国の領地問題について交渉

 このように体系的に論理的に交渉を見ていくのも、面白いなと感じるようになってきた。しかしながら、その時々に瞬時に物事を判断しなければいけない場合も多くあるため、場数や経験、切り返しの引き出しの多さといった要素も必要になってきそうだと改めて感じているところである。


 本日は講義以外にもゲストスピーカーである渋沢史料館の井上館長より、渋沢栄一氏の生涯から読み取れる内容を、生い立ちから、哲学から、交渉におけるポイントなど、様々な角度からお話をいただきました。

【生い立ちから学ぶ】
 ①父の影響で経営を学ぶ
  ※13歳から”稼業”を手伝う(実践を通して商売を学ぶ + 読書で学問)
 ②生まれた土地(環境)は”ヒト””モノ””カネ”が行き交う街
  ※中心地である江戸の”情報”が伝わる場所で、好奇心をくすぐられた
 ③江戸へ留学することで、多様な考え方を学ぶ(不条理に対する反発)
  ※「官尊民卑の打破」の芽生え、合理的主義的思考の考え方

        ~~~~転機(渡欧)~~~~

 ④インフラ整備から”合本法”、”道徳経済合一説”の実践と普及を推進
  ※欧州の新聞紙を基に日本でも西欧紙を作る(王子製紙を設立)
 ⑤産業振興に寄与したが、「貧富の差」や「後継者不足」への問題意識
  ※社会福祉の整備で貧困の人々を救う(東京市養育院の設立)
  ※教育設備など文化への貢献(女性の高等教育、一橋大学の設立)

【経営哲学から学ぶ】
 「処世術」を説き、”道理の伴う富の追求(正当な利益)”と”道理は国家への献身(公益が第一)”を基にした『論語と算盤』⇒『道徳と経済』の哲学を論じている。これは企業の持続的な成長をするための基にもなっており、未来像を思い描く前向きさ、存続することで労働意欲へつながるといった思想にて事業経営を推進していた。計500~600もの設立に携わっていく中で、重要としていた経営哲学をまとめると以下の様になる。

 ✔ 論語と算盤、道徳と経済の一致をみなければ持続的な成長はない
 ✔ 未来像を描くための事業の持続・永続が必要
 ✔ 事業の存続こそが、労働意欲・地域貢献・社会のニーズへの対応となる
 ※携わった団体:第一国立銀行、王子製紙、帝国ホテル、東京養育院など

【交渉におけるポイントから学ぶ】
  計500社以上の設立に携わり、数々の経営を実施してきた人物、多くの交渉があったことは考えるまでもないが、渋沢氏の交渉術はどうだったのか。例としてお話いただいた「第一国立銀行の設立」では、渋沢側の陣営は”指導”という表現があったり、受けての三井側の陣営には”恫喝”という表現もあるということもお聞きしていたため、気になって質問をしてみた。

 A)論理的思考による説得力
 B)相手の話をすべて聞く
 C)自分の考えだけでなく、あらゆる考えを理解し最適な選択をする

 このような要素が特出していたとのことで、この要素から考えるに、”全ての意見を出し尽くした後に、全員の落としどころになる案を述べる”ことで、反対を無くしていくスタイルである。と理解した。また、全ての情報や考えを理解した上で選択をしていくため、誰よりも情報が多く何も言えない、更に最適な選択をしていた人物でもあったようだ。しかし、たまには感情などの流される部分もあった失敗談もお話いただき、人間味に溢れる方の一面も垣間見える人物であったようだ。興味が湧き、さっそく「論語と算盤」の本をポチッとしたので、インプット期間に読んでみようと思っています。

最後に・・・
 ✔ 2024年から日本の一万円札の顔となります
 ✔ 2021年の大河ドラマ「青天を衝け」のモデルです(主演:吉沢亮)


        立教大学大学院ビジネスデザイン研究科   平岩 宗

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