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日進月歩 ~Road to MBA~#22

2020/10/10:企業財務基礎③
 前回に引き続き土曜日の1コマ目は、ファイナンスといえばこの人と呼ばれる下川先生による企業財務基礎の3回目です。本日は、「ファイナンス理論に基づく投資意思決定の判断基準」について講義いただきました。
※リスクが少ない「Simple DCF」で判断できる領域

ファイナンスといえば、将来のことを“キャッシュ”で計測し、それに基づいた投資意思決定をすることであります。意思決定における判断基準として主に用いられる方法は、大きく3種類となります。
 ①回収期間法(PPM)
 ②正味現在価値法(NPV)
 ③内部収益率法(IRR)
となり、あくまでも「ファイナンスベース(定量的)」で判断できる際の判断基準です。

①回収期間法(PPM)
 投資したキャッシュを何年間で回収できるかを判断できる

Q:投資1,000万を何年間で回収できるか(回収金額は以下に記載)

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                 A:回収期間= 4年+ 0.375年= 4.375年

②正味現在価値法(NPV)
 投資を実行すると現在の価値でいくら儲かるかを判断できる(儲けを“金額ベースの大きさ”で判断)

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※しかし、計算をするためには現在価値に戻す際に「割引率の設定が必要」でこの数値によって投資判断に違いが生じる可能性(この設定が難しい…)

③内部収益率法(IRR)
 投資の全期間を通じて、平均で年率何%儲かるかをもとに判断できる(儲けを“率”で判断)

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※ハードルレートはまた後日で書きたいと思いますが、「加重平均資本コスト」となる。

 投資の意思決定は①~③の総合的に判断されるが、投資予算が限られている状況でIRR法は企業価値を最大化する投資案の組合せを導くなど、それぞれにメリット・デメリットが存在するため、そこを理解して使い分けをすることが重要だろう。しかしながら、経営者はファイナンスにおける判断基準だけではなく、前提とした上で「ストラテジーベース(定性的)」を考慮して最終決定をする必要がある。また、複数投資事業を比較する場合は、NPVにおける割引率もそれぞれのリスクを考慮して変動させてもよい、IRRもキャッシュフローのタイミングを変えることで、リスクの観点を盛り込んでもよいということだ。利益を得た上で、それぞれの投資への想いを考慮した意思決定が経営者には必要となると認識する。


        立教大学大学院ビジネスデザイン研究科   平岩 宗

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