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日進月歩 ~Road to MBA~#23

2020/10/12:シードマネジメント特講1A④
 前回に引き続き月曜日のシードマネジメント特講1Aという実務家であり、学問と融合をさせている笠原先生の講義の4回目です。

 本日は戦略マーケティングにおける営業活動と本質について議論を進め、新型コロナウイルスの影響で飛躍的に伸びた「デジタルインサイドセールス」について、研究結果および活動実績を基に説明があった。
 まずは、戦略マーケティング(春学期のB2Bマーケティングにおけるクロージング)におけるB2B領域の営業は、①主要顧客の認識、②販売センターVS購買センターの関係性、③製品の特性、④売り手の特性などを考慮して総合的に判断がされるものと認識している。

①主要顧客の認識
 CLV =m × L -AC
m:一年間で顧客から得られる利益、L:顧客でいる期間、AC:顧客獲得・維持コストで判断されることが一般的ではあるが、顧客ポートフォリオおよびリーチ(数)とリッチネス(提案の複雑性)、購買プロセスにおいて営業形態を検討していく必要がある。ABC分析においては、20%の顧客が売上80%(head)を占め、残りの80%の顧客が売上20%(long tail)を占めると言われており、One to OneマーケティングおよびSTPでのアプローチ方法も異なる要素となる。

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②販売センターVS購買センターの関係性とプロセス
 B2Bの場合は、1対1での関係性ではなく複数対複数でのやりとりとなる。購買担当者を軸に、「設計」「品質」「生産」「管理者」「経営者」といった様々なメンバーが購買意思決定に関与してくるため、関係性がより複雑になるほど、「協働的交換」における質の把握(信頼感、紐帯感など)が重要となる。また、購買プロセスにも動機付け、意思決定、レビューといった活動に応じた対応やメンバーにおける購買決定要因を検討する必要がある。

③製品の特性
 複雑な仕様もしくは高額な設定になっている製品においては、より深い説明や意思決定における時間も長くなってくる傾向がある。また、簡潔で低価格や定期的に購入する製品であれば、反復的に購入する傾向がある(サブスクリプション型も含まれる)。製品の特性によっても、アプローチ方法は変わってくることだろう。

④売り手の特性
 売り手がデジタルに対して友好的か否かにもよって、アプローチ方法は変更されてくると感じている。ZOOMなどのWeb会議システムの利用者が拡大している中で、デジタルになじめずアナログな対応をしている顧客は少なからず存在する。顧客の育成といった面も今後の課題となりそうだ。

 ここまでの判断内容を基に「デジタルインサイドセールス」の効果的な活用を考えてみたいと思う。整理として必要なのは、すべてにおいて従来の営業が置き換わるわけではなく、部分最適や条件によって効果的に活用できるかを考えることである(条件適合的アプローチ)。条件としては、「複雑性がない」、「定期的な購買(反復的)」、「買い手がデジタルネイティブ」となった場合に、デジタルインサイドセールスは有効的に活用されるものであると結果が出ている。最近では、技術的な進歩により、さらなるデジタルの活用(MmhmmやSYNALIOなど)が進んでいくことだろう。デジタルインサイドセールスの成功の可否は、「良質なリードを生み出す」ことであると定義されるが、そのためにはマーケティング≠広告という概念が必要となり、デジタルを取り入れた売れる仕組みを作ることが必要である。最後に、デジタルをどこで利用するかを決めるためには、事前に”戦略”をしっかりと立てて、経営者に近い企画室および戦略部門からの提言が必要となる。

       立教大学大学院ビジネスデザイン研究科   平岩 宗

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