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日進月歩 ~Road to MBA~#142

2021/7/3:ビジネス・オーガニゼーション4⑤
 土曜日は、経営組織論を専門とされている山中先生の講義をとっており、12回目の講義(春学期2の5回目の講義)となります。前講義(#137)では「組織のコンティンジェンシー要因」について学ばせていただきましたが、本講義では「組織のコンティンジェンシー要因(続編)」と「組織のコンフィギュレーション(基本的類型)」について講義いただきました。

■組織のコンティンジェンシー要因(③環境の諸特性)

 組織の活動に影響を及ぼす環境諸要因として、「タスク環境」と「一般環境」に分類して分析することができる。自社組織に与える影響範囲(タスク環境 < 一般環境)や影響力(タスク環境 > 一般環境)の違いがあげられる。

◉タスク環境:企業が直接的に相互作用して影響を与える環境領域
※具体的要因は「業界」「原材料」「市場」「人的資源」「国際環境」など
◉一般環境:企業が間接的に相互作用して影響を与える環境領域
※具体的要因は「政府」「社会文化」「経済状態」「技術」「資源」など

 また、組織環境の特性や次元において考察すると、どういった媒介変数が組織デザインに影響を与えるのかを分類することもできる(4つの特性と対応する媒介変数)。

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 このような環境に関するコンティンジェンシー要因としては、以下のような5つの区分けによって考えていくことができる。

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(1)組織の環境が変動的になるにつれて、有機的になる
⇒環境が安定的な場合は、将来について予測可能性が高まるため、標準化に向けた調整と効率的な組織構成が可能になる。しかしながら、動態的な環境においては将来が予測困難であるため、標準化による調整は難しいので直接監督や相互調整による柔軟かつ有機的構造が必要となる。

◉機械的管理システムと有機的管理システム(Burns and Stalker,1961)
 機械的管理システムは、市場や技術の変化率の低い安定的な環境において適合的である。反対に有機的管理システムは、技術や市場環境の変化率が高くより変動的な環境においては適合的である。
※環境の特性ー組織の内部特性-管理システムの適合関係パターンを探求

(2)組織の環境が複雑になるにつれて、分権的になる
⇒単純な環境においては意思決定を集権化する傾向があり、且つ安定的な環境であれば標準化する傾向となる。複雑な環境になればなるほど、必要な情報や知識を個人単位で処理することはできなくなるため、理解可能な下位意思決定群に分割し分権化への動きを見せる。

◉複雑だが安定的な環境(官僚制的構造):総合病院や大学など
◉複雑かつ動態的な環境(分権的かつ有機的な構造):研究開発型企業、クリエイティブ企業など

(3)組織の市場が多角化するにつれて、規模の経済がともなうと事業部に分割していく
⇒様々な基準によって上位単位を分割し、それぞれに広範な統制力を与える傾向がある(垂直的分権化)。また、異質なタスク環境に直面している組織は、構造的な単位で組織構成をしようと動き、規模の経済によって事業部化が進められる。作業核が技術的に分割不可であったり、重要な機能を集中的に調整させる場合は、分割が効率的でないこともあげられる。

◉Diversification breeds divisionalization 多角化は事業部化を生む:『オーガニゼーションインアクション』(トンプソン)
◉フロント-バック型組織:職能別部門と事業部制のハイブリッド形態(ガルブレイス)

(4)環境内の極端な敵意は、一時的に集権化へと駆り立てる
⇒敵意の脅威に合わせて、迅速かつ緊密な意思決定が要求される。そのために、意思決定権を集中させ情報の集約化を実現し、時間の浪費を回避する。

(5)環境内の差異は、分化した業務活動への選択的な分権化を促進する
⇒文化や環境の差異によって、組織は有機的に構成されるか官僚制的に構成されるかが分かれる。環境内の差異がおきると組織は分化されやすく、それぞれの活動群を創出するように動く傾向がある。


 ここまでをまとめてみると、環境が及ぼす組織デザインへの影響においては、多様性の程度と不確実性の程度の観点から考えられるのが分かる。

◉組織の条件適合理論(ローレンス・ローシュ)
 組織におけるタスク環境の多様性や不確実性の程度に応じて「分化」もしくは「統合」の観点からパターンを考えていく。より高度な多様性/不確実性がある場合は複雑な組織構成となり、より低度な多様性/不確実性の場合は単純な官僚制的な構造となる(このバランスが企業においては重要)。

 また、環境と組織デザインの適合関係は以下のように説明が可能となっており(軸1:単純・複雑、軸2:安定的・動態的)、区分けされている。また、その内容に応じたグループディスカッションも実施して考察を深めていった。

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■組織のコンティンジェンシー要因(④権力関係)

 意思決定において影響される要素でもあり、研究者によって定義も様々である。権力に関するコンティンジェンシー要因としては、以下のような4つの区分けによって考えていくことができる。

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(1)組織の外部統制が増大するにつれて、構造は集権化され形式化される
⇒組織が外的に統制される程度に応じて、権力は戦略尖に集中化され行動が形式化される。さらに、外部統制による自律性の喪失は、組織を集権化させて形式化させる。
※まさしく自社の組織に当てはまるなぁと振り返って感じる部分(課題であり構造的に考えられているんだなと、理論を通して学べた)

(2)権力に対する要求が、過度に集権的な構造を発生させる傾向にある
⇒組織構成員が自分の職務に対して影響を及ぼす意思決定には、権力を求めようとする。機能するためには階層的構造を必要とし、ある程度の形式的統制が必要となる(権力をライン管理者へ保持させ、階層の最上位に権力を集中させる)。

(3)分裂した外部連合は、政治色化した内部連合を誕生させる傾向にある
⇒コンフリクトは飛び火する。大株主間の利害対立が社内政治に反映されることもあり、他には親会社と子会社における対立も起きえる。

(4)流行がたとえ不適切であっても、選好される
⇒コンティンジェンシー要因に応じて適合的に選択されるべきであるが、実際には「流行」が大きな影響を及ぼしてしまう。コンサルティング会社やビジネス書による新しい手法が普及されていく傾向がある。

■組織のコンフィギュレーション(基本的類型)

(1)企業家的組織(単純構造)
(2)機械的組織(機械的官僚制)
(3)多角的組織(事業部制形態)
(4)専門職業的組織(専門職業的官僚制)
(5)革新的組織(アドホクラシー)
(6)伝道的組織
(7)政治的組織

  組織構造は7つのパターンに分けることができ、次回の講義では「組織のコンフィギュレーションにおける基本的類型の7パターンにおける特徴(構造的特徴、環境条件とコンテクスト、戦略形成過程、その組織構造における諸問題)」について考えていこうと思う。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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