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日進月歩 ~Road to MBA~#99

2021/4/24:ビジネス・オーガニゼーション3③
 土曜日は、経営組織論を専門とされている山中先生の講義をとっており、3回目の講義となります。これまでの講義において、バーナードは組織の成立条件として3要素(➀目的、②貢献意欲、③コミュニケーション)を説明しているが、その中でも③コミュニケーションについて解説があった。また、構築された組織を存続していくための要素についても分解されたことで、これまでの経験や何気ない行動が論理と繋ぎ合わされていった。

■組織の成立条件(③コミュニケーション)

 まずは、コミュニケーションにおける媒体と手段(対面、マスコミュニケーション等)についてだが、コロナ禍において多様化していると感じている。オンラインが普及して、それによって人々のライフサイクルの変化、社会への適用によるメリット・デメリットといった点がなんとなく見えてきた現状がある。さらに、伝える意図がなくても伝わってしまうコミュニケーションの動作(例:上司が帰って良いよと言いながらずっと帰らない行為など)もあることを念頭に置き、考えていこうと思う。
 こういった中で、組織の公式的なコミュニケーションシステムとしてご講義いただいたのが「権限のライン(指示・命令系統)」である。組織として何を決定するのか、個人に対しての「命令の権限・権威(authority)」の問題について考えさせられた講義であった。

例:稟議決裁(判子を押されることで指示・命令)

 また、このような命令や指示が出された時に組織として機能するかどうかは(A)個人の権限に依存し、(B)そこに権限や権威を感じるからなどの要素があるようだ。そのため、個人の権限を事前に合意形成する「根回し」が存在し、重要な行為となっている。では、組織において指示や命令が機能するのはなぜか?人が指示や命令に従うのはなぜか?という本質について、グループでディスカッションを実施してみた。

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 ディスカッションからも分かる通り、命令には一定の「権限」というものが存在し、命令を受ける側が権限へ同意することが源泉となっている。これを論理的に説明したのが、「権限受容」説という。
 条件として同意の可能性(※1)を規定する必要があり、同意の度合いによって管理調整コストが変動することも報告されている。有効な組織的行為を実現するためには、指示・命令における”権威”や受け手側の”同意”を高めておくことが必要となる(権限が受け入れられてない事例で、現在の国際問題でもあるミャンマーの軍事紛争についてご紹介いただいた)。

※1:同意の可能性(規定)
a)命令が理解できること
b)命令が意思決定に際して組織目的と矛盾せずに信じられること
c)命令が自己の個人的利害と両立できると信じられること
d)精神的かつ肉体的にも命令に従うことができること

 では、安定して命令に従う組織を作っていくためにはどうしたら良いのか。そこには重要な存在となる「無関心圏」とその大きさについて論議があった。無関心圏にいる個人は、権限の有無や正当性を意識的に問うことなく、組織の命令を受容するという性質を持っている。
 このように安定かつ有効な協働組織を確保していくためには、無関心圏を維持することが重要であり、この存在を持っていることが組織にとって大切なものとなる。また、組織で協働行為をすることによって個人のコミットメントを阻害しないこと、公式でない「非公式組織」の集団における態度や帰属意識も、組織の安定さを増していくことにも繋がっているものである。
 しかし、このように「無関心圏」が多かったら組織が安定するとなっているが、ほんとにそれで良いのか?

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 ディスカッションではネガティブな要素の回答が多かったように見受けられる。イノベーションが生まれない、不正が横行するなどという意見もあったが、究極の組織として「軍隊」があげられ、組織の実施することが正しい場合には、この問いは〇という判断ができるのかもしれない。

■組織の存続(➀有効性)

 ここまでは組織を成立するための条件について論じてきたが、ここからは組織をどう存続していったらよいのかについて、➀組織の有効性、②組織の能率、について考えてみた。組織を存続されるためには、組織の外的均衡と内的均衡を維持し得るか否かに依存していると、以下の図のように整理できる。

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 まずは、➀組織の有効性について考えていった。上記の図から分かる通り、組織があることでどう外的均衡との間を維持していくかということになる。考えていく前提となるのは、組織デザインをするために「分業」が必要ということがある。

組織の有効性:
(1)組織の目的を達成するために「環境」に合わせて適切な手段がとられているか
(2)有効性は環境条件と行為の適切さに依存している
(3)戦略的な「目的の定式化」の問題に繋がる内容となる

 組織目的を達成していくためには、適切な手段をとれる専門化が必要となっており、その中で協働行為がとられていることが必要となる。また、組織における目的が分割され、それを個人に役割を付与して「分業」させることで、どう目的を達成していくかが重要となる。
 このように最終的な目的をどう分割し、細部に目的を持たせて役割を付与していくかが、目的達成の有効性に左右されることが分かっており、組織デザインに必要な要素となっている。

 また、組織を存続させるためには、組織を構成している個人の合理性を高めるための組織の合理性(定式化と再定式化を繰り返して新たな目的を設定することが重要)が必要であり、両方が適合しているかどうかも重要な論点である。考えていくと、最終的な組織の目的になる「企業の理念やミッション」が最も大切な機能となっており、外的均衡に応じて新しく再定式化していくこと(適応させること)が企業全体で必要になってくる。

■組織の存続(②能率)

 次に、②組織の能率について考えていった。上記の図から分かる通り、組織内でどう内的均衡を維持していくかということになる。考えていく前提となるのは、組織と個人との相互交換される「誘因」が必要ということである。

組織の能率:
(1)均衡を維持するための有効な誘因を提供されているか
(2)長期的に存続するには「物質的・貨幣的だけ」では不十分
(3)非経済的誘因の提供によって能率が向上される

 ここでは、誘因を「誘因の方法」と「説得の方法」に分けて説明があった。組織が十分な客観的誘因を提供するというのはどういうことか、提供できなかった場合にはどうしたら良いのかについて考えていった。

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 上記から分かることは組織は個人に対して、すべての誘因を与えることは難しいし、提供することは不可能である。そのために「説得」が必要であり、組織として個人へ伝えていくことが重要になる。

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 このように個人に対して誘因を提供し、組織として存続させていくためには、「いくつかの誘因とある程度の説得」が必要となる。次回は自社に置き換えて、どのような誘因や説得の方法が存在しているか、という内容から学んでいきたいと思う。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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