記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

ブラック・ミラー S6-3 ビヨンド・ザ・シー(ネタバレ)


BLACK MIRROR
BEYOND THE SEA

「ブレイキング・バッド」のジェシー・ピンクマンことアーロン・ポールと、最近めっきり見なくなったスター俳優ジョシュ・ハートネットのSFミステリ。

ストーリーは、前回と違ってこれぞブラックミラーって感じ。
映画界隈ではおなじみのチャールズ・マンソン事件に着想を得てるみたいです。

タイトルの「beyond the sea」は「海の彼方へ」的な意味だけど、本作とどう繋がっているのだろうか。宇宙の彼方とか、そういう感じなのかな。英語に詳しい人いたら教えてくだせえ😢

↓以下ネタバレ↓


主人公は二人。
デイヴィッド(ジョシュ・ハートネット)は二人の子供と奥さんとともに都会の大豪邸で暮らし、クリフ(アーロン・ポール)は郊外の自然に囲まれた小さな家で奥さんと息子と暮らしている。

普通の人に見えた二人だが時計のアラームが鳴り「行かないと」と言い残すと、機械の椅子に座り目を閉じる。
目覚めるとそこは筒状になった近未来的な部屋。首からタグを下げている。オレンジのツナギを着た二人は何やらコックピット的なところで合流。なんかソーラーパネルに破片が当たって亀裂が入ったんだってさ。

トレイ的なやつに指輪やら時計やらタグを外し、宇宙服的なやつを着るクリフ。どうやら宇宙船的なやつの中のようだ。ハッチが開き宇宙空間に出たクリフは、ソーラーパネルを修理し戻ってくる。
「また金曜に」といって自室に戻る二人。タグを壁のスリットに挿しベッドに横たわると、またそれぞれの家庭に戻る。二人は宇宙空間にいながら、特殊な睡眠装置で意識を地球に飛ばしているようだ。

眠る奥さんの隣で物音に気づいたデイビッドは、バットを持ってリビングに向かう。そこには4人の男女が。「機械人間に会えた」とリーダーらしき男。その顔はまさしく、カルキン一族。リーダーらしき男(ロリー・カルキン)はカッパと名乗り、仲間たちをシグマ、シータ、イプシロンと紹介していく。目的のわからない侵入者に「出ていけ」と凄むデイヴィッドだが、少しも怯む様子がない。4対1だ。あっさり捕まったデイヴィッドは台の上に押さえつけられ、包丁で腕を切断される。その断面は紛れもない機械のそれで、黄味がかった油のようなものが漏れ出る。切断されたはずの手はタコのようにうねうねと動いている。
「自然の摂理に反している」と静かに言い放ったカッパは、「家族をここへ」と続けた。デイヴィッドはハンマーで頭を殴られ、気がつくと宇宙船の中へ戻っていた。急いでまたタグを挿し込む。
目覚めると、デイヴィッドは手足を縛られ口を塞がれどう足掻いても何もできない状態にされていた。妻は「子供たちは見逃して」と懇願している。子供たちは事態がよく理解できずソファに座っている。
宇宙にいる人間が機械の体で地上で生活していること、それを受け入れているこの家は間違っていると説くカッパ。そして間違いの代償がお前たちなのだと。
口を塞がれているデイヴィッドは声にならない叫び声をあげ、妻と子供が惨殺されるのをただ見ていることしかできなかった。
そして侵入者たちは部屋中に油をまき、家族の亡骸とデイヴィッドの機械の体を家ごと焼いた。

朝方、クリフの家の電話が鳴る。
昨夜起きた事件のあらましを聞いたクリフは言葉を失う。宇宙船へ戻ってきた彼は、うずくまって啜り泣くデイヴィッドを見つけ声をかけるも「リヴミーアローン(一人にしてくれ)、ゲラウヒア(出ていけ)!!!!!」と追い返されてしまう。

クリフとデイヴィッドはとある任務についていた。作中で明言されてはいないがおそらく宇宙空間で生物が生命活動を維持できるか的なやつ(植物がある部屋があったり体力テストをしたり)で、期間は6年のうちすでに2年が経過している。
犯人の一味は自首し、最近引っ越したクリフの家は都心から離れているので危害が及ぶ可能性は少ない。しかし、デイヴィッドの地上での姿(レプリカ)はカルキン一族に家ごと燃やされてしまったので、クリフが地上にいる間デイヴィッドは宇宙船の中で孤独に過ごすことになる。レプリカを作り直そうにも本人が地上にいないと無理だ。
宇宙船はクリフとデイヴィッドの二人で管理している。最近では会話もないし以前は毎日剃っていた髭も伸ばしっぱなし。明らかに生きる気力を失っている。もし彼が自死でもすれば、クリフの命も危うい。そうラナに相談すると、
「あなたのレプリカを貸してあげれば?うちの周りは自然も多いし、気分転換になるかも」とラナ。
確かに…となったクリフは早速デイヴィッドに相談してみる。
するとデイヴィッドは震えた声で「そうできるとありがたい」と言った。

「彼を外に連れ出してやれ」とラナに頼んでから、宇宙船に戻ってきたクリフ。デイヴィッドが横たわる自室のベッドに自分のタグを挿すと、緊張してるのかなんなのか知らんけどやたら息の荒いデイヴィッドの意識が瞬時に落ちる。
目覚めると、当たり前だがクリフの家。おそるおそる階段を降り、庭へ出る。「どうも」とラナ。「やあ」とクリフの姿のデイヴィッド。彼にとっては何日ぶりかの日差しだ。ラナは彼を森に連れて行った。夫妻お気に入りの大きな木の下でデイヴィッドは泣いた。毛虫と戯れたあと泣いた。子供のように泣く彼をラナはそっと抱きしめた。

宇宙船へ戻ったデイヴィッドはクリフと握手をした。
「しのびねえな」「かまわんよ」的なやりとりをして、今度はクリフが地上へ行く番だ。「また金曜に」とデイヴィッドは言った。

あくる日、デイヴィッドはある絵をクリフに見せた。クリフの家の玄関口のスケッチだった。レプリカを借りた日の記憶を頼りに描いたのだ。
クリフがこれを絶賛したので、デイヴィッドはもしよければ部屋に飾る絵を描かせてほしいと頼んでみた。レプリカをまた借りて、だ。
クリフは黙り込んで断るムーブかと思いきや「少し考える」となって結局週に1時間レプリカを貸して絵を描いてもらうことにした。よかったねデイヴィッド。外に出ないとやってられないよね。やっぱクリフも彼のために何かしてやりたい気持ちがあったのだと思う。

こうして週一でクリフの家の納屋で絵を描くことになったデイヴィッド。
絵を描きながら話をするうちに、ラナとの中が深まっていく。普段のクリフは淡々と話をするしあまり笑わないので、少し女の顔になってしまうラナ。「君も描いてみて」と言って直接手をとりながら絵筆を動かしたりするベタなやつもありつつ、適度な距離感を保っていた。
ある時、絵の具を薄めるのに使う油を買いに街まで行くことになった(クリフの姿の)デイヴィッドとラナ。無事に油を調達したあと、本屋に寄りたいというデイヴィッド。以前ラナが本を読んでいるのを見て、お薦めを教えると言っていたからだ。
その夜、彼に薦められて買ったロバート・A・ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」の背表紙を撫でながら、隣で眠る(クリフの姿の)クリフを見て何やら思案顔のラナ。

絵に自分の姿が描き込まれているのを見たラナは感動。デイヴィッドは彼女をダンスに誘い、彼女はそれに乗った。手をとり踊る二人。やがて距離が縮んでいき、デイヴィッドが後ろから手を回す。頬を彼女の耳へと近づけ、手は乳房を撫でるように触れる。
彼が手でラナの顔を自分のほうへ向け、絶対キスしようとしてるやんってなったその時、突然強い顔になり去っていくラナ。
追ってきたデイヴィッドが「彼にはバレない」とか「彼は君に釣り合わない」とか言い出して、しまいに未完成の絵を手で汚してしまった息子を叩いたので、怒ったラナは「出てって」とデイヴィッドに言う。
交代でやってきたクリフは「ヘンリーが絵をダメにした。あの子にはしつけが必要だ」といって一応はデイヴィッドをかばう。とにかく絵を完成させて、そのあとは何か理由をつけてレプリカを貸さなければいいと。ラナは渋々納得。

デイヴィッドが自分のレプリカで地上に行っている間暇なクリフははじめて彼の部屋に入ってみる。するとスケッチブックに描かれたデッサンがいくつも飾ってあり、ほとんどがラナの絵だ。そして飾っていない束になった絵を見ていると、裸のラナの絵が何枚も。
緊急のアラームを鳴らしてデイヴィッドを呼び戻したクリフ。絵はただの妄想だし混乱していたと説明するデイヴィッドだったが、クリフは聞く耳を持たず、ラナは自分のものだと激昂する。全てを失い人生を壊されてしまったデイヴィッドは、クリフが恵まれていながらもそれらを大事にしていないという。君の奥さんは孤独で、欲求不満だと。

クリフはラナに問い詰めた。デイヴィッドと何かあったのか。絵のモデルをやったのか。本当のことを言え。ラナは言った。誓って何もしていない。
だが彼に惹かれていたのは確かだった。彼に触れてほしかったし、自分を生身の人間として見てくれた。それを聞いたクリフは彼女を抱きしめた。

クリフに一線を超えたことを謝り、レプリカを借り彼女にも直接謝りたいというデイヴィッドだったが、クリフはありったけの言葉で彼をなじった。最悪で傲慢な部類の陰険な詐欺師だと。その日デイヴィッドは伸びっぱなしだった髭を剃った。まるで何かの儀式のように。

アラームが鳴り、宇宙船に戻ったクリフに「冷却管に何かが当たった」というデイヴィッド。例によってクリフが外に行き修理することに。しかし壊れているという冷却管に異変はない。おかしいと思ったクリフがデイヴィッドを呼ぶが返事はなしのつぶて。ハッチを何度も叩いて叫ぶ。返事がない。ほどなくしてハッチが開く。「システムが誤報を。許されない」と憤慨するクリフ。トレーにタグがないので「俺の認識票は?」とデイヴィッドに訊ねる。デイヴィッドは黙り込み、静かに自分のポケットからクリフのタグを取り出す。
「何をした?」と急いで地上へ行くと、自分の体が血まみれになっている。
無事であってくれと祈りながらリビングへ向かうと、そこには惨たらしい光景が。

宇宙船へ戻ると、デイヴィッドが椅子に座って待っていた。
彼は黙って「座れよ。話をしよう」的な顔。

任務はあと4年(絶望)。


感想

胸糞エンドタイプの話でしたね…
まあ途中から胸糞エンド不可避の展開ではありましたけど。

冒頭、クリフが息子の前で黙々と薪を割ったり会話のない食事をする一方、デイヴィッドは家族の絵を描いたり映画を見たり音楽を流して金髪ギャルの奥さんとイチャイチャ。
惨劇の後のラナとの接し方は同じ姿でも全く逆。
最後謝罪をして和解を求めたデイヴィッドを、全否定したクリフ。

ずっと対照的に描かれていた二人が、最後は同じ「すべてを失った二人」になったというね…。
最後のデイヴィッドの頼みを聞いていたらどうなっていたかわからないけど、家族が殺されるとか自分の奥さんに手を出されるとか、二人ともまあ「やむなし」な理由で過ちを犯して必要以上に相手を責めて…っていう感じだから、遅かれ早かれこういう展開になっていたという気はします。
てかもうここまで来ちゃったらいつかどっちかがどっちかを殺して終わりそう。だってあと4年もあるんだもん。

にしてもカルト集団の殺人の動機が「機械は自然の摂理に反している」ってなんか浅いんだよな。なんかとってつけたようなさ。なんだったらシータもイプシロンも機械っぽいし、シグマなんて完全に機械じゃん。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?