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『かがみの弧城』上巻

ふらーっと本屋さんに寄ってみたら、ずっと読みたかった『かがみの弧城』が文庫本で発売されていました。思わず衝動買いしちゃいました!

〜感想〜

「かがみの孤城」がこの本の題名である。
ずっと、なぜ孤城というあまり聞きなれない言葉を使っていたのか気になっていた。物語の冒頭にこのような説明がある。『 こじょう【孤城】 ①ただ一つだけぽつんと立っている城。②敵軍に囲まれ、援軍の来るあてもない城。「大辞林」』。この言葉の意味から、誰にも助けてもらえずに衰退していくような悲しいお城を連想した。

 では、なぜ舞台は“立派はお城”ではなく、“孤城”である必要があったのか。そのヒントは登場人物たちが関係していると推測した。
 この物語の登場人物は、6人の中学生と謎の少女“オオカミさま”で構成されている。そして、ある日突然6人の中学生の自宅にある鏡と孤城の鏡が繋がり、自由に行き来できるようになる。6人とも性格はバラバラであるが、学生生活における状況は似たようなものだった。みんなクラスに溶け込めずに、どこか孤立していたのだ。彼らは、暗い日常から逃げられるシェルター代わりとして孤城を使用していた。

 冒頭で述べた、「なぜ“立派なお城”ではなく、“孤城”であったのか。」という疑問に対して、“孤城”そのものが彼らの存在を表していたという答えが浮かんだ。物語の最初、6人はそれぞれ孤独を感じていたが、6人が集まることでもう孤独という感情はなくなっていった。つまり孤城が6棟も集まった状態は、もはや孤城ではないのだ。

 そして、彼らは弧城ではなく現実世界で会う約束をするというところで上巻は終わる。

上巻を読んで生まれた感情は、はやく下巻を読み、6人はかがみの中の弧城ではなく現実世界で会えるのかを知りたい気持ちや謎の少女“オオカミさま”の正体、中学生6人が導かれた理由を知りたいというものだった。

おまけ

ちなみに、書店には辻村深月さんのサイン入りが売っていました!

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