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生きていくために。

 私が社会人2年目の頃の話です。終わらない残業と否定ばかりの指導が毎日続いていました。それでも我慢して、食い付いていました。3年で一人前。そんな言葉を信じて気づかないうちに身体が壊れて行きました。

 一番最初の症状は、食欲の減退と体重の減少でした。体力仕事だったので、運動量が増えて瘦せていると思っていました。ですが、胃が痛く、眠れない夜が続き、朝起きると体が萎縮してため息が出ていました。今思い返すと、身体は一生懸命にSOSサインを出していたのに、思考が鈍くなっていました。

 このような体調でも頑張って出勤していました。職場に行くだけ自分はえらいと言い聞かせ、壊れかけた身体でつまらないミスを繰り返していました。しかし、限界は来ます。激しい動悸に下痢、動けないくらいの倦怠感が私を襲いました。食中毒を疑い、家族に助けを求めました。状況を説明していると何故か悲しくもないのに涙が溢れてきました。その様子を見て、家族は私を精神科へ連れていきました。

「身体表現性障害だね。ここに来て良かった、もう少し頑張ったらうつ病で死んでたよ。とりあえず休職しましょう。」

 うつ病で死んでいた、という言葉を聞いてぞっとしました。自分ではまだまだやれると思っていました。自分の身体が暴走している私を止めてくれました。症状は辛かったですが、自分自身に感謝しなくてはいけません。それから半年の間療養して、退職しました。

 体調が落ち着いてくると、自分の預金通帳やキャリアのことが気になるようになりました。同時に、採用され働けるかとても不安でした。しかし、失業手当も期限があるので、ハローワークや求人サイトを使いながら仕事を探しました。求人表に「経験がなくても歓迎する」と書かれた企業に応募し、無事採用されました。

 採用されてもうすぐ1年が経ちますが、病気の症状は出ていません。夜はよく眠れていますし、職場では笑顔で同僚とコミュニケーションをとっています。ここには質問して「そんなことも分からないのか」と否定する人も学歴で差別する人もいません。同じ目線に立って一緒に考えてくれます。健康で人間関係の良い職場で働けている今がとても幸せです。

 人生100年時代と言われていますが、働けるのは50年くらいです。50年という時間を我慢の時間にするか、充実した時間にするか選ぶのは自分自身です。限られた時間を大切にしてください。ここは日本という資本主義社会なので、幸せになりたいと願って良いんです。その気持ちがあなた自身だけでなく世界を豊かにしてくれます。

 

#転職してよかったこと


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