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「乗り越えて」
「おはよ」
『おはよう、万理華』
付き合いたての頃とは違って
短い髪が長くなったのが
時の長さを感じさせる。
僕らの下にやってきた小さな生命は、
今、万理華の中で、健やかに育んでいる。
『万理華は、すっかりお母さんの顔だな』
「そうかな?」
そう言って万理華は、
キャンバスの上に、色を重ねていく。
『何書いてるの?』
「今の私、かな?」
キャンバスには、柔らかな表情をした
女性が1人。
その周りには、様々な色が彩られている。
「これはね、私の歴史。」
色んな壁を乗り越えて、
今に辿り着いた万理華。
その表情は、とても幸せに満ちている。
僕も今、同じ気持ちだ。
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