I still love U
「ごめん史帆、別れたい。」
あの時から私の時間は止まったままで、
抜け殻のように、ベッドに自分の身体を置いて
虚空を見上げる。
君をどんなに想い続けても
私にできることなんか、なくって。
あの時、ああすれば良かったのかな
私の何がダメだったんだろう。
考えれば考えれるほど沈む気持ちを
胸にしまいこむ。
「おはよう。史帆」
『おはよう!今日のデート、楽しみだね』
「うん、史帆に楽しんでもらえるといいな」
「ただいま。」
『あ、おかえり〜。ご飯出来てるよ』
ふたりで交わした何気ない会話。
それが、どんなに意味のないことで
一つも変わることがなくても、
一緒に笑い合える関係、
それを守りたかった、それだけだった。
もし、願いが叶うなら、
"さよなら" と笑いあうより
"寂しいね" って言ってくれるよな
そんな、ふたりが良かった。
私はまだ、彼のことが好きなままで、
でも、迷路のように、私の想いは複雑で。
出口もドアも見えないまま。
本当は、彼を笑顔で送り出したい。
その気持ちは、とめどない涙に変わる。
そう。これはどうしようもないことだったんだ。
それはきっと、私自身もそうなんだ。
本当は誰かに助けてほしい。
でも、そんなことなんて言えなくて。
私は視界のぼやけた目を閉じて、眠りについた。
私が再び目を開けると
うっすら夜が明けていた。
薄日に照らされた部屋は、彼がいた時と違って
いたる所にゴミや抜け殻が転がり、
もう、前の自分には戻れないんじゃないと感じる。
反射的に、スマホの画面を開く。
彼からの連絡は来ていない。
でも、私にできることなんか、なくって
曇り空みたいに、ぼやけて先の見えない
この気持ちを、胸にしまいこむ。
ふと、震えた気がしてスマホを見て
気のせいだとがっかりしたりもして
次はいつになれば会えるのかな。
そんなことを思い続ける。
もし願うが叶うなら
"じゃあまたね" って手を振るより
"寂しいね" って言ってくれるよな
そんなふたりが良かった。
私はまだ、彼のことを忘れられないままで、
でも、迷路のように、私の想いは複雑で。
出口もドアも見えないまま。
本当は、自分も笑顔で進んでいきたい。
その気持ちは、終わりのない涙に変わる。
そう。これはどうしようもないことだったんだ。
それはきっと、私自身もそうなんだ。
本当は、彼に助けてほしい。
好きになれとは言わないから、
もう一度、私に目を向けて欲しい。
せめて、もう一度チャンスが欲しい。
でも、そんなことなんて言えなくて。
私は先の見えない目を閉じて、再び眠りについた。
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